絶望の再挑戦
オペレーションルームの電源が復旧する前
「A地区、B地区の避難完了。」
「CからG地区の避難も滞りなく進んでいます。」
サーバーが動かずトランシーバーで状況を確認しているヒジリ達。すると、彼のトランシーバーにモルフィナから連絡がきた。
「1から4階の人達の避難が終わりましたわ。」
「ご苦労。次は5階から上の病棟とホテルの避難を手伝ってくれ。」
「分かりましたわ。」
ヒジリがトランシーバーを切った瞬間、オペレーションルームの電源が復旧し明るくなった。
「復旧した!みんなやってくれたんだ!」
「礼を言う、みんな。」
明るくなったことで一先ずは良かったと安心していた。しかし、メインコンピューター機器は動かない。そのためモニターも付かず外の様子が分からない。
ラフィ達チームヴィヴィアンが中心となってサーバーの復旧を急いでいると飛鳥崎達がやってきた。
「どうだ!?」
「電気は復旧した。が、サーバーが応答しない。まるで何者かにハッキングされているようだ。」
「怪獣にハッカーがいると?」
「可能性の話だ。」
ヒジリが説明しているとまたトランシーバーから連絡がきた。ヒジリはトランシーバーを手にとり耳に当てた。
「なん・・・」
「か、怪獣!怪獣出現!怪獣出現!」
「なんだと!?場所は!?」
「5階病棟フロア、現在ウルトラレックスと交戦中!」
「よし、分かった。」
ヒジリはトランシーバーを切ると飛鳥崎達に指示を出した。
「早速で悪いがレックスの援護に向かってくれ。」
「OK!行くぞ!」
「了解!」
飛鳥崎達は返事するとすぐにオペレーションルームを出て行った。
そして、1階の受付があるエントランスへ向かうと自分の目を疑った。今、ウルトラレックスとモルフィナ達が対峙しているのはスパンダーだったからだ。
「な、なんで・・・」
「なんでてめぇがここにいる!?」
山瀬と飛鳥崎の声にウルトラレックスが気が付くと振り向いた。
「飛鳥崎さん!みんな!」
「どういうことだ?あいつは南で空咲とやり合ってるはずだろ。」
「え?」
飛鳥崎の発言に疑問を持ったウルトラレックスは再びスパンダーを見る。スパンダーはニヤリと笑うとそのカラクリを話した。
「俺だって成長する。例えばあれの遠隔操作とかな。」
「!?」
「そんな・・・」
「今も俺の分身がその空咲という女と戦っている。魔王の女も足止めしている。」
スパンダーは意気揚々と種明かしをした。その事実に気付いた皇凰院がすぐに連絡しようとトランシーバーを取り出した。その時、スパンダーは尻尾を伸ばしトランシーバーを破壊した。
「!」
皇凰院はとっさに避けて下がる。スパンダーは尻尾を鞭のように振り回してウルトラレックス達を攻撃した。ウルトラレックス達はスパンダーの攻撃を避け続ける。
すると、モルフィナに向かって口からスパンダートブレイカーを発射した。スパンダートブレイカーはモルフィナに命中し大きく吹き飛ばされ壁に激突し倒れた。
なんとか意識を保っていたがダメージが大きく上手く動けない。スパンダーは彼女に追撃するように尻尾を伸ばして突き刺そうとした。
その瞬間、一番近くにいたウルトラレックスが守るように彼女の前に立ち腕を伸ばした。そして、尻尾が両方ウルトラレックスに刺さった。
「レックスさん!」
「大丈夫!これぐらい・・・」
ウルトラレックスが振り返ってモルフィナに話しかけた途端、口から血を吐き出した。そのままグラッと体が揺れ意識が朦朧としてきた。
「夢宮!」
「夢宮さん!」
山瀬達が慌てて駆け寄る。飛鳥崎がウルトラレックスの前に立ちスパンダーを睨んだ。
「何したてめぇ。」
「毒だよ。」
「!?」
「ウルトラレックスは脳や心臓を穿っても再生、復活する能力がある。それに対抗するために細胞を壊死させる毒を手に入れた。」
スパンダーが説明する。ウルトラレックスは毒の影響で体中から血が溢れてける。レックスタイマーも赤い点滅を激しくさせていた。
「毒はだんだん体中を蝕みやがて全ての臓器の機能を停止させ死に至らしめる。」
スパンダーがそう説明すると血を吐き続けていたウルトラレックスの動きが止まった。そして、レックスタイマーの点滅が止まり光が消えるとウルトラレックスの目からも光が消え仰向けに倒れてしまった。