勇気の選択
オペレーションルーム
アルギラはずっとモニターを見ていた。
「あの、溝霧さん。」
「はい。」
「溝霧さんはみんなが酷い目に会っているの我慢できるんですか!?」
エメラナがアルギラに必死に問いかけていた。アルギラは悲しい目をして答え始めた。
「我慢なんて出来ないです。でももう、戻れないです。僕は人を殺した。みんなを騙した。僕はみんなのところには戻れません。」
アルギラが語っていると扉が吹っ飛んだ。アルギラが入口を見るとそこには空咲と勇輝がいた。
「夢宮、さん…」
「溝霧君、ごめんなさい!」
勇輝は謝りながらアルギラを殴った。アルギラは吹っ飛ばされて壁に激突した。
「え!?夢宮さん!?」
「みんな、大丈夫!?」
空咲が天谷達に駆け寄った。
「空咲さん、大変!委員長が!」
「え!?」
空咲が辺りを見渡すと気絶している日比野を発見した。
「ちょっと、日比野!」
空咲は日比野に駆け寄るとアルギラが起き上がってきた。勇輝はアルギラに振り向くとラッセル議長が勇輝に声をかけた。
「夢宮君!謝罪は後でする!今はみんなを助けてくれ!」
ラッセル議長に言われてモニターを見るとクラスメート達が怪獣に捕まっていた。
「みんな!」
「夢宮君、そのまま真っ直ぐ行けば最短で着く。頼んだぞ!」
勇輝はラッセル議長の言う通りに目の前の壁を光線で破壊してクラスメート達の方に向かった。
スパンダーがモニターを見ると勇輝がアルギラを吹っ飛ばしていた。
「ほぅ、復活したか。あれを見るに救出に向かった仲間は殺られたか?」
「勇輝!」
「夢宮君!」
クラスメート達が勇輝の復活に喜んでいた。そして、友子も勇輝の復活に喜んだ。
「夢宮君…」
すると、勇輝は城の壁を破壊してこちらに向かってきた。勇輝はすぐにスパンダー達目掛けて光線を放つと頭の2本の角から光のカッターを出して全員を拘束している蜘蛛の糸を切った。
糸が切れ、喜ぶクラスメート達。スパンダーはその様子を見ても余裕な態度だった。
「これで形勢逆転だな!」
郷田がスパンダーに叫ぶもスパンダーは冷静に返した。
「今まで虐げた少年を今度はヒーロー扱いか?ちょっとむしがよすぎないか?」
「うっ!」
スパンダーの言葉に口をつぐむクラスメート達。スパンダーはクラスメート達を見た後、勇輝の方を向いた。
「夢宮勇輝、私は君をこちらに勧誘したい。どうだ、私達と一緒に来ないか?」
「駄目だ、夢宮!そいつの言葉にのるな!」
「そうだ!」
「今言った奴の顔を見てみろ。」
勇輝はスパンダーに言われ、クラスメート達を見るとほとんどのクラスメート達は顔を反らし、目を背けた。
「思い出してみろ。こいつらが君に何をした?偶然、怪獣になったという理由で虐げ、差別し迫害し笑って拷問した挙げ句、君の自由を奪った。そして、殺そうとした。」
スパンダーの言葉に誰も異論を唱えなかった。
「夢宮勇輝、ここにいたら今後もこういうことがいくらでも起こる。君が得られるものは何も無い。いつか今回と同じように迫害され殺される。私達なら君を受け入れる。君を一人にしない。どうだ、夢宮勇輝?もう一度尋ねよう。私達と共に来ないか?」
スパンダーの勧誘に勇輝はクラスメート達を見ながら考えていた。そして、ゆっくりと口を開いた。
「・・・確かに僕は怪獣になってからいいことはありませんでした。」
「夢宮君…」
「差別され、迫害され、殺されそうになったのも事実です。」
「・・・」
「・・・でも、すみません。僕はあなた達のところには行けません。」
「・・・え?」
勇輝の回答にクラスメート達は言葉を失っていた。スパンダーも黙って勇輝の回答を聞いていた。
「なら、質問を変えよう。何故、そっちに残る?そこに残れば、これからも迫害される可能性は高い。君にとって利益はないはずだ。」
スパンダーの質問に勇輝はまた考えた。そして、静かにゆっくりと回答を始めた。
「・・・確かにどれだけ考えても利益はないかもしれません。でも、みんなが困っている。みんなを守りたい。みんなを助けたい。僕がここに立っている理由はそれだけで十分です。」
「・・・勇輝、お前って奴は!」
勇輝の回答に郷田を始めクラスメート達は喜び始めた。
「お人好しを超えて聖人だな。」
グランドファングが口を開いた。
「全くだ。仕方ない。戦争を再開しよう。」
スパンダーがそう言った瞬間、怪獣達は一斉に勇輝達に襲いかかってきた。
勇輝は光線で牽制したところにクラスメート達は各々の武器をとり怪獣達に向かっていった。