約束の決闘
ジャギュラと決闘の約束をした翌日、ウルトラレックスはいつも以上に張り切って特訓に勤しんでいた。
「・・・どうしたのじゃ?いつもと違ってものすごい張り切っておるようじゃが?」
「次の相手がジャギュラだからじゃない?」
いつも以上に張り切っているウルトラレックスにルージュ達は驚いていた。さすがのルギリナも目を丸くしていた。
「ここまで。少し休もう。」
「僕は大丈夫です。まだやれます。」
「休むことも特訓だ。」
「は、はい。」
ルギリナに言われ一旦特訓を中断して休んでいるがウルトラレックスは目を瞑ってフィディスに言われた自分をよく知ることを念頭に変身するための自分を思い描いていた。
「本当にどうした?いつもと違うぞ。」
「が、頑張っているんですよきっと!」
「?」
不思議に思っているルギリナ達にとっさに言い訳するキュアリアス。
それから一週間、ルギリナやルージュの特訓に加え山瀬こらは截拳道、フィディスからは変身魔法を教わっていた。
そして、一週間後の朝
朝早く起きたウルトラレックスは外に出るとラウマシティに向かって飛び立った。
しばらく飛んでいるとラウマシティのコロッセオが見えてきた。闘技場に降り立つと既に愛条崎が待っていた。
「来たよ。」
「待ってたよ。これ、食うか?」
そう言って愛条崎は袋を投げ渡してきた。ウルトラレックスが袋を開けて中を見るとカレーパンが入っていた。
「これって?」
「腹減ってるだろ?決闘する前に食っていけ。」
「あ、ありがとう。」
ウルトラレックスはカレーパンを手に取り口にすると辛さの中にコクのある味わいを感じた。
「このカレーパン・・・」
「隠し味に八丁味噌を入れている。俺の故郷のパン屋で売っていたパンで一番好きだった。」
「うん。美味しい。」
ウルトラレックスはカレーパンを平らげると袋を愛条崎に返した。愛条崎もカレーパンを食べ終わると袋を回収し二人揃って闘技場の中央に立った。
「あのカレーパンをこの世界で再現するのに結構苦労したかいがあったよ。」
「料理するんですね。」
「どうしてもこのカレーパンが食べたくなってきてな。今んところナンバーズで料理に興味あるの俺とバルトロスだけだからな。」
(嘘でしょ!?)
愛条崎のカミングアウトに驚くウルトラレックス。しばらく世間話をしているともうすぐで正午になろうとしていた。
「・・・さて、そろそろ決闘を始めるか。」
「はい。」
二人が正面を向き合った瞬間、正午を報せる鐘の音が鳴り響いた。そして、音が鳴り止んだ瞬間に二人は同時に飛び出した。