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恐怖を迎撃せよ!

ジェノジュファーが消えた後、ティモスラニアは廃墟と化していた。街は悉く破壊され辺りには無残な姿の兵士や妖精達がいた。そして、ウルトラレックスはしっぽを、ルギリナは両腕を失っていた。

「早く手当てを!」

「生存者は他にいないか!?」

「すぐに治療魔法だ。早くしろ!」

ジェノジュファーが去った後、すぐに救助活動が行われた。ジェノジュファーによる被害は莫大で死屍累累たるさまだった。遺体の処理、生存者の捜索及び救護、その様子は正しく戦場だった。

「・・・」

初めて見る光景に日比野達は絶句していた。礼崎や朝比奈に至ってはあまりの惨さに吐いてしまっていた。

「ここは一旦サーガノアへ帰投する。ティモスラニアのみんなも一緒に来てくれ。」

「はい。分かりました。」

被害者の中でも特に重症だったルギリナを率先して治療しながら一同はサーガノアへと向かった。


その翌日、サーガノアでは負傷者の治療で騒然としていた。サーガノアで一番大きい病院“デバン”にはジェノジュファーによって腕や足を斬られた者達で満室状態だった。ジェノジュファーの襲撃から寝る間も惜しんで救助活動を行ったおかげで負傷者の8割は助かった。しかし、残りの者達は既に手遅れとなっていた。

救助及び遺体の埋葬が一通り終わるとオペレーション・カーレッジに参加していた者達とモルフィナ達妖精全員が作戦会議をしていた建物に集合していた。

「諸君、集まってもらったのは他でもない。昨夜、コードネーム“キラーゴン”もといナンバーズNo.5ジェノジュファーがティモスラニアを襲撃した。その時の被害は凄まじく悲惨であり亡くなった者達に哀悼の意を捧げる。」

そう言うとギーラは目を瞑り黙祷した。日比野達も同様に目を瞑る。しばらくして黙祷が終わるとギーラはなんとか撮影に成功した写真をモニターに映し出した。

「昨日、怪獣ジェノジュファーによって失われた命は何物にも置き換えることはできない。そして、奴は宣戦布告した。明日、ウルトラレックスとルギリナの命を奪うと。」

ギーラは冷静に昨日の状況を説明した。ジェノジュファーの狙いは自分達、そう思ってしまった日比野は責任を感じてしまい重圧に押し潰されそうになっていた。

「奴は愚かだ。愚かにも二人の殺害予告を出した。ならば全力で二人を守ろうではないか!」

責任に押し潰されそうになった日比野にその言葉は深く刺さった。

「明日、奴をここで迎え撃つ!奴が今まで奪ってきた命!その償いをさせようではないか!奴は何度も我々に恐怖を打ち込もうとしている!今こそ!我々は奴を倒し恐怖に打ち勝とうではないか!」

ギーラが腕を高くあげ宣言するとみんな立ち上がり歓声をあげた。その光景に日比野達は驚きつつも感動していた。ここにいる者は誰一人彼らを責めることをしなかった。お前達がきたせいで、お前がいたから死んだ。そんな言葉を、罵声を浴びせる者はおらず中には日比野達を励ます者達もいた。

「我々は明日、勝利する!そのために全力を尽くす!まずはこの街を対ジェノジュファー用の要塞にするために市民の避難を優先する。各自、防衛準備開始せよ!」

「「了解!」」

ギーラが話を終えると全員そそくさと退出し、命令通り市民の避難誘導や防衛に必要な装備の手入れ、戦闘訓練を始めた。

「日比野・・・」

「分かってる。俺達も負けていられない。みんなと共に戦うぞ!」

「OK!待ってました!」

「こっちはいつでも行ける。」

自信を取り戻した日比野はウルトラレックスとルギリナを守るためにみんなと共に恐怖に立ち向かう準備を始めた。

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