オペレーション・カーレッジ
現在、タイタンホークはサーガノアへ向かっている。
「・・・いよいよだね。」
「うん。なんか緊張してきた。」
もうすぐでサーガノアに到着しようとしている時、タイタンホークの屋上デッキで空を見ていたウルトラレックスとキュアリアスは今まで以上に緊張している様子だった。
「今回の怪獣、明らかに僕達を狙っているよね。」
「うん。今から戦う怪獣って簡単に命を消すことができるんだと思うとなんかいきなり恐くなってきた。」
今まで様々な怪獣との命のやり取りをしてきたウルトラレックス達。時には死を覚悟する場面もあった。
しかし、今度の怪獣は明らかに殺意を持っている。しかも狙いはウルトラレックス達WISHのメンバー。
そんな相手に今までとは違う恐怖を感じていたと当時に命を何とも思わない怪獣に憤りも感じていた。
ウルトラレックスとキュアリアスが上を向き空を眺めていると後ろから大きな飛行船が現れた。
「凄い、大きい・・・」
キュアリアスが呆然と眺めているとその飛行船に国旗が描かれているのを確認した。
「あの国旗・・・インナーフェイト公国だ。」
ウルトラレックスが飛行船の所属に気付く。同時刻、オペレーションルームでも飛行船の所属を確認すると向こうから通信してきた。
「久しぶりだな、WISH。」
「あなたは、レーテリウスさん!」
連れてしてきたのはレーテリウス・ヤクトリオン。シグナルベースの責任者で以前、ギガヒュドラを相手に戦った同志でもある。
「今回の作戦、俺達にも召集がかかった。よろしく頼むぞ。」
「分かりました。こちらこそよろしくお願いいたします。」
日比野はレーテリウスに一礼した。タイタンホークはストームダッシュという飛行船と共にサーガノアへ到着した。
そこは軍事国家の首都らしく街全体が軍施設みたいになっていた。空に浮かぶ滑走路やストレイザーの格納庫、海には大量の戦艦、その中には皇凰院達がかつて乗艦していた雅馬もあった。
タイタンホークとストームダッシュは浮かぶ離着陸場に着陸させると担当の案内で地上で一番大きな建物に入って行った。
そこで一番大きい部屋に入ると圧巻だった。国会議事堂よりも大きな会議場で前面には映画館にあるようなスクリーンが設置されていた。
初めて見る光景に驚いていると1人の女性が語りかけてきた。
「やっぱり君達もきたのか。」
「お久しぶりです、テレサさん。」
彼女はテレサ・アミアス。クラークシードの首都マークタウンで出会った対怪獣防衛魔導部隊、MDMのメンバーである。
「久しぶり、テレサ。」
「アリスも元気だったか?」
「もちろん、ベルッドもみんな元気よ。」
「そうなんだな。」
テレサはアリスと話している途中、ウルトラレックスが目に写ると顔を少し反らしたがすぐに戻すと彼にも語りかけた。
「久しぶり、夢宮。」
「お久しぶりです、テレサさん。」
「元気そうでなりより・・・その、あの時はすまなかった。あれから私も考えが少し変わった。」
「そうなんだ。それでテレサはトゥルディス教に入信した?」
「そこまではしてない!しかしまぁ、無害な怪獣の保護ぐらいはしている。」
テレサは顔を赤らめいろいろと説明した。すると、今回の作戦責任者らしき男が壇上に上がったのでみんな席についた。
「初めましての方もいるだろうから作戦会議の前に簡単な自己紹介を行う。私は今回の作戦の総指揮を担当するギーラ・グレイストンSTORCH総司令特務長官、階級は准将だ。」
ギーラは簡単に自己紹介を済ませるとモニターに事件の概要を映し出した。
「今回討伐する怪獣はコードネーム“キラーゴン”。10年前にこのアースラタシア大陸各地で多くの犠牲者を出し消息不明になっていた怪獣だ。そいつが今回、またこの大陸で虐殺を始めた。その狙いは今まで数多のナンバーズと呼ばれる怪獣の撃破に貢献してきたWISHに対する挑発だと推定した。」
ギーラの推測はおそらく正しく周りの人達がウルトラレックス達を見るとウルトラレックス達は顔を下げてしまった。しかし、そのことを誰も責めることはなかった。
「・・・以上のことからこの怪獣キラーゴンもナンバーズの怪獣と思われる。これよりWISHと共同して怪獣キラーゴンの討伐作戦を遂行する!奴は相手の脳に直接恐怖を煽るような声を聞かせる能力があると推察される。我々はその恐怖に打ち勝ち奴を討伐する!作戦名は勇気を持って立ち向かう。“オペレーション・カーレッジ”!」
「オペレーション・カーレッジ・・・」
(勇気、僕と同じ勇輝・・・)
ギーラの凄みを感じる声はみんなを奮い立たせた。ウルトラレックス達も周りと同じように奮い立っていた。
用語集
STORCH
サーガノアに拠点を置くアースラタシア大陸防衛部隊の総称。主にナイトサーガを防衛しているが要請があればアースラタシア大陸のどこにでも向かうことが出来る。
アースラタシア大陸
夢宮達が転生した大陸。物語の舞台は全てアースラタシア大陸内にある街である。