悪夢からの挑戦状
ゲドルフが話した事件を聞いた瞬間、皇凰院が震え出し、ルギリナの顔が強張った。
「それってどういうこと?」
「この事件は今から10年前まで同じ事件が発生していたのですがその時からパッタリとなくなっていました。しかし、2ヶ月前からクラークシードのオッヴ、エレニスタを皮切りにワンダーマリーナ、テレカト村、インナーフェイト公国のアースロット、タクマック、魔界のサタニシア、そして、6日前にパネットでも同様の事件が起きてます。」
「え・・・パネットって俺達が怪獣と戦った街だろ。」
「タクマックもだ。初めてルージュと一緒に戦った街だ。」
被害にあった街の中に以前行ったことのある街の名前が出たことで日比野達は動揺した。そして、皇凰院が踞りさらに激しく震え出した。
「おい、大丈夫か!?」
飛鳥崎が慌てて皇凰院に駆け寄る。
「ワンダーマリーナ・・・僕のクラスメート達はそこで・・・」
「もう言うな。」
飛鳥崎は皇凰院を自室へ送って行った。ルギリナがそれを見届けると口を開いた。
「サタニシアの事件。これ、我が魔界を出て行ってからの出来事だな。」
「そうです。そして、調べていくうちに今回被害にあった街の共通点が見つかりました。」
そう言ってゲドルフは空中に地図を出すと被害にあった場所を赤丸で表示した。
「ここがオッヴ、マークタウンの少し南にある村です。それからエレニスタ、ワンダーマリーナ、テレカト村、アースロット、タクマック、サタニシア、パネットがここになります。」
「あれ?これって俺達が行ったことのある街かその近くだよな?」
「はい。そして、事件が起きた日付も調べるとWISHがナンバーズを交戦、または撃破した翌日から数日後になります。」
「そんな・・・」
「まさか、オッヴって・・・」
驚きの事実に言葉が出ないウルトラレックス達。オッヴは夢宮勇輝と星雲寺友子がグランドファングに連れられた時に初めて見た村だった。
「あの時の村だ・・・」
「エレニスタも綾宮市と近い街だ。」
「テレカト村もミリカトの森にあるエルフの集落の一つよ。」
ウルトラレックスに続いて新庄とエルシアナも口を口を開いて説明した。その後、資料を読んでいると新たに分かることがあった。
「背中に書いてある“恐怖せよ”の文体、日本語だけじゃなくて英語、中国語、ロシア語、フランス語、ドイツ語などお前達の世界の言語の他に元からこの世界にあった言語であるティールナ語や魔界で使われるサタナ語まで使われている。」
「そして、パネットの市長の背中には“恐怖せよ”と一緒にWISHに✕と刻まれていた。」
「こいつは明らかに俺達に対する宣戦布告だな。」
事件の詳細を知れば知るほど日比野達は憤りを見せてきた。
「酷い。」
「こいつは俺達を追っている。ってことはこの近くの街や村が狙われる可能性が高い。」
「そうだ。だから、今回は他の国とも合同で討伐を行うことが決定されている。」
バンデロがそう説明すると日比野がバンデロに歩み寄りお願いしてきた。
「その作戦、俺達も参加させてください!」
「そうだな。君達がいると心強い。わかった。上には俺から報告しよう。君達はナイトサーガの首都サーガノアが集合場所だ。向かってくれ。」
「分かりました。」
こうして、WISHは謎の事件をおうためサーガノアに出向した。