攻略不可能 -デスペアー-
いきなり分身したインペリガーレに戸惑ってしまったウルトラレックス。しかも、どの分身にも攻撃が通じないことでさらに困惑した。
「なんでいきなりこんな理不尽な技使ってくるのよ!?」
「知るか!」
あまりの出来事に空咲や飛鳥崎が不用意にインペリガーレに攻撃した。もちろん、攻撃はインペリガーレを通り抜けるだけで効果がない。
(落ち着け。こいつがこんな能力を持っていたら最初に使うはず。なのに今になって使ったということはなにか弱点があるはず・・・)
ウルトラレックス達が狼狽えている中、ルギリナは冷静に分析していた。すると、ルージュが3体まとめて炎魔法で攻撃すると一体だけ前面にバリアを張って攻撃を防いだのを確認した。
(あいつだけバリア・・・そういうことか!)
一部始終を見たルギリナはウルトラレックス達を集めた。
「同時だ!同時に攻撃しろ!こいつらは3体で1体の実体を持っている!つまりどいつも三分の一ずつ本物だ!だから同時に攻撃を当てれば分身が消える!」
「なるほど!そういうことか!」
「分かりました!」
ルギリナの提案に乗ったウルトラレックス達は各々の攻撃を同時に放ってインペリガーレに当てるようにすると1体は避け、1体は先ほどのようにバリアを張って防ぎ、1体は突進してわざと攻撃に当たるような素振りを見せた。
「その程度で攻略できるとでも。」
正面のバリアを張って防いだインペリガーレがニヤリと嗤う。それでもウルトラレックス達はなんとか攻撃を同時に当てようと攻撃を続けた。しかし、インペリガーレは上手く立ち回りながら回避や防御を駆使して攻撃が同時に当たらないようにしていた。
(このままじゃラチが明かない。だったら・・・)
日比野は3体のインペリガーレを観察しながら攻撃すると近くにいたウルトラレックス、佐古水、郷田、空咲、朝比奈、エメラナ、姫樹、ルギリナに何か指示を出していた。
「よし、わかった!」
「了解。」
「みんな!佐古水と郷田に続いて攻撃を集中させろ!」
先に返事した郷田と姫樹がそれぞれ避けるインペリガーレと突撃するインペリガーレに向かって攻撃を始めた。日比野もそれについでみんなに左右のインペリガーレを攻撃するように指示した。
「何度やっても無駄だ!」
「それはどうかな?」
嘲笑うインペリガーレに対して日比野がニヤリと笑った。すると、タイミングを見計らってルギリナが正面のインペリガーレに向かって走り出した。
「今だ!」
日比野が叫ぶと佐古水達の攻撃で逃げ場を失ったインペリガーレに朝比奈が、突撃してくるインペリガーレに空咲が向かって攻撃をした。そして、正面のインペリガーレが張ったバリアをルギリナが拳で破壊し、その隙に後ろに周り込んだウルトラレックスがルギリナと同時にインペリガーレを攻撃した。
「なに!」
「いけぇぇぇぇぇぇ!」
みんながタイミングを合わせて一斉に3体同時に攻撃を当てた・・・・はずなのに攻撃は全てインペリガーレをすり抜けてしまった。
「!?」
「嘘だろ!?」
「だから言っただろ。何度やっても無駄だと。」
インペリガーレは高らかに嗤うと全身からの電磁波や背鰭の先端から放つ青い稲妻でウルトラレックス達を攻撃した。
「な、なんだよ!?同時じゃなかったのか!?」
「誰かずれた!?」
「それか、ルギリナさんの見解が間違っていたか・・・」
「・・・」
攻撃が通り抜けたことで日比野達はさらに動揺した。その隙をついたインペリガーレが3体同時にシャドーを出してウルトラレックス達に纏わり付かせた。
「い、いや!」
「ヤバいぞこれ!」
みんななんとか引き剥がそうとするがシャドーは無情にも爆発した。しばらくして爆煙が晴れると黒焦げになったウルトラレックス達がその場に倒れてしまった。ウルトラレックスの胸の発光体は赤く点滅してしまっている。
「わかったか?貴様ら程度で俺を倒せるわけないのだよ。」
倒れるウルトラレックス達を見てインペリガーレは勝利を確信し不気味に嗤っていた。




