接触 -コンタクト-
ザ・レイダーに向かうタイタンホーク内部
その一室に礼崎、橘、エメラナ、ルギリナ、エルシアナがいた。
「みんなでアイドルしない?」
「しない。」
「なんで!?」
礼崎の提案を橘が即却下した。言葉には出していないがルギリナも橘と同意見のようだ。
「いきなり呼んできたと思ったらくだらない。」
「くだらなくない!アイドルはみんなの心を癒す凄いジョブなんだよ!」
「あの、何故私達を選んだんですか?」
エメラナが挙手して質問する。すると、礼崎は目をキラキラさせて答えた。
「みんなでアイドルグループ“ウィッシャーズ”結成するのよ!」
「無理だ!しかも、その名前って有名グループの名前をパクってないか!?」
橘が顔を赤くして猛反対した。しかし、エルシアナは興味あるのか礼崎の提案にうんうんと頷いた。
「ダメだ!私はそんなものになるつもりはない!」
「私もだ。そもそもそんな何の戦力にもならないくだらないやつになりたいと思う奴の気が知れない。」
「そ、そんな・・・」
涙目になる礼崎を放ってルギリナが部屋を出て行った。それに続いて橘も出て行った。残ったエメラナとエルシアナは涙を流して項垂れている礼崎を励ましていた。
「千春ー、そろそろ到着するから準備してね・・・って何があったの?」
呼びにきたキュアリアスが部屋に入ると項垂れている礼崎と励ましている二人を見て困惑していた。
ザ・レイダー航空離発着場にタイタンホークが到着した。日比野が先頭に立って入ると軍服を着た男達が整列して待っていた。すると真ん中にいる男が日比野の前に来て挨拶を始めた。
「はじめまして。私はレイダーの隊長を勤めているリーボルトです。よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。」
日比野はリーボルトと握手するとタイタンホークに新庄やベルッド達を待機させてリーボルトと一緒にザ・レイダーを見学した。
(特におかしいところはないみたいだな。)
日比野達は怪獣の気配がないかどうかを確認しながら歩いているとリーボルトがホテルに日比野達を案内した。
「長旅お疲れでしょう。ここで休んでください。」
「ありがとうございます。あの、お話よろしいでしょうか?」
「いいですよ。」
「ありがとうございます。」
日比野は佐古水、橘、エルシアナを連れてレイダーの本部に向かった。隊長室に着くとリーボルトは机に座り肘をついた。
「それで話って言うのは?」
「はい。以前、パネットとシャーネイドで怪獣を倒しました。その怪獣はどちらもその街を支配して民衆に酷い仕打ちをしています。」
「・・・」
「何故、助けなかったのですか?」
日比野の質問にリーボルトは少し黙った後、答え始めた。
「そうだったのか。それはすまないことをした。実を言うと私達はそれを全く知らなかった。」
「街の人達はあなた達に助けを求めてましたよ。」
「いや。ウチにはそんな報告は一切なかった。けど、そうなったのは私達の失態であり君達には感謝しないとな。」
リーボルトは笑顔で答えると立ち上がり日比野に握手を求めてきた。
「ありがとう。これからはしっかりしないといけないな。」
「は、はぁ。」
日比野は握手に応じると一礼して部屋を出て行った。一人残ったリーボルトはニヤリと笑うと先程案内したホテルの方を見た。
「・・・飛んで火に入る夏の虫だったか。しっかり貴様らを支配しないとなぁ。」
一方、ホテル内
「アイドルしよう!」
礼崎が南、天谷、エメラナと一緒にキュアリアスを誘っていた。
「いきなり何?」
「この世界に足りないのはやっぱりアイドルだと思うの。」
「今、戦争中よ。」
「だからこそ心が荒んだみんなに私達の声を届けるのよ!なのにルギリナちゃんがくだらないって言った!それが悔しい!」
「そうにゃ。一度やってみると結構楽しいにゃ。」
南もノリノリで礼崎の肩をもつ。天谷とエメラナは何も言わずにニコニコしてキュアリアスを見ている。
「わ、分かった。分かったから、ちょっとだけね、ね?」
「「やったー!」」
キュアリアスがおれたことで礼崎達は大喜びだった。
そんな彼女達を他所にホテル内には蠢く影が忍び寄っていた。