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瓦落多ガジェット  作者: 緒環 咲冴
強者と弱者
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第2話 フォルトとキャラバン

街は全部で8つの区域に別れ、第一番街、それも中央に近い程治安が良いとされているが例外もある。

それが第一番街と第二番街の間に3つ、第二番街と第三番街の間には6つ造られた“フォルト”と呼ばれる砦である。

フォルトは第二番街に居住し所属する旧帝国軍の下級軍人が隊を成して保守を務め、常に砦とその近辺を警戒している。だからフォルトのある区域は他の区域と比べて比較的治安が良い。


…但し、それは第一番街と第二番街の間にあるフォルトに限られた話である。




この国の物流の流れを説明しよう。

国外から仕入れた良質な品物は全て、真っ先に王族が住まう王宮へと運び込まれる。それらは臣下達の手によって特に質の良い物、高価な物、希少価値の高い物から王族への献上品として納められ、残った王族に献上するに相応しくないとされた品々は王宮から運び出されて政治的権限を持つ大臣達と旧帝国軍の上級軍人に渡り、やがてそれらは第一番街の住民達へと割り振られる。

王族への献上品として相応しくないとされたとはいえ王宮へと運び込まれるだけの価値があると集められた品々。第一番街の住人とは言っても国政や旧帝国軍の要人の身内や関係者というだけのただの民間人が生活を送るには十分な品々だった。


…では、国外から仕入れた良質とは言い難い品物はどうか。

まずそれらは国内に入り次第第一番街と第二番街の間に造られた3つのフォルトへ運び込まれる。

第二番街のフォルトには第二番街に住む国と旧帝国軍から許可を得た一部の商人とフォルトに在籍する旧帝国軍の下級軍人数名で“キャラバン”と呼ばれる10人程の旅団を2組組み、品物でいっぱいになった荷車を引いて一週間掛けて第二番街に住む国民へ品物を売り歩きながら第三番街のフォルトへ向かう。

第三番街のフォルトは旧帝国軍が“理性と責任、愛国心ある者”として第二番街の住民の中から選ばれた人物とその一族のみで保守を行うよう定められている。

そのため、第二番街のフォルトとは異なり旧帝国軍からの保守や警戒と言った恩恵は無い。


キャラバンによって第三番街のフォルトへ運び込まれる品物の数は少ない。第二番街では買い手が付かなかった物だけでなくキャラバンの移動道中で傷んだ物も多いが、それらも全て“国からの支給品”として第三番街へ無償配給される。

第三番街への配給方法は各フォルトに一任されているため、キャラバンは品物の引渡しが完了しすれば空になった荷車を引いて第二番街のフォルトへと帰還する。

第三番街のフォルトの保守を任されている者達は、受け取った品々を各々の方法で第三番街へと配給する。あるフォルトでは第三番街側の外壁に配給日を貼り出して通達し、あるフォルトでは受け取り次第第三番街側に設置した物資台に物資を並べ、あるフォルトでは配給と共に炊き出しの真似事を行う。

具体的な方法こそ様々だが、フォルト側は一貫して第三番街へは立ち入らない事になっている。そのために配給の恩恵に与れるのは“自らの足でフォルトへと向かう事が出来る者のみ”になっている、と気付く者は多くはない。



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