ひーろーになるために
ぼくのおにいちゃんは、とてもおっちょこちょいでたよりない
きょうもビルのうえからおちてくるうえきばちにあたまをぶつけていたし、
くだりかいだんをいちだんめからつまづいて したまでとんでしまったし、
こわいひとにつれていかれていたし。
もうこうこうせいなのに。まったくしょうがないなあ。
つぎこまったときはぼくがまもってあげるんだ!だってぼくはおにいちゃんの"ひーろー"だからね!
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私の名前は
英野雄 高校2年生
生まれつきの不運で毎日ぼろぼろである
今朝もうえから植木鉢が頭にぶつかってきた。幸いすぐに土を変えれば花は植え替えるだけで良さそうだ。
しかし・・・
「はぁ。。。こんなことばかりじゃ参るなあ。。。」
と落ち込みながら下校する私。
ふと前の方を見ると、少し先にクラスのマドンナ、佐々木さんの姿があった。
「これは・・!一緒に帰れるチャンスだ・・・!」
と、前ばかりを気にしすぎていたら下り階段をすべってしまった...!!
「うわっ!!」
勢いあまって最上段から最下段までジャンプしてしまった。
「....まずいっ!」
あたりを見返すが、幸いにもいまの光景を見ていたのは弟だけのようだ。
こういう異常な行動は避けたいものだ。
何はともあれ佐々木さんを追いかけなくては…!
佐々木さんの向かった方向に走ると
商店街の入り口に佐々木さんの姿を見つけた。
私は駆け寄り、
「佐々木さ…」
と声をかけようとしたとき、
「きみかわいいなぁ。ちょっとお茶しない?」
前から来た柄の悪そうな二人組に佐々木さんが絡まれてしまった。
すかさず私は身を隠し、しばらくものかげからその様子を窺った。
佐々木さんは相手をせず無視しているものの、二人の男はしつこく佐々木さんに絡んでいる
そしてつれない態度に頭にきたのか、しばらくして一人の男が強引に腕を掴んだ
「ちょっとだけって言ってるじゃねぇか!」
「…っ!やめてください!」
か細く抵抗する佐々木さんーー私は見てはいられず
「か・・彼女嫌がってるっじゃぬぁいですかああ!」
と、かなり噛み噛みで屈強な男たちの前に割って入った。
「はぁ。。なんだおまえ」
二人の男は私の胸ぐらを掴んだ
「正義のヒーロー気取りで出てきたんだから、覚悟はできてるんだよなぁ」
「暴力はやめましょうよ、暴力は・・」
「なさけねえなぁ!!邪魔すんじゃねえよこしぬけくん!!」
男は胸ぐらを掴んだまま私を路肩に吹き飛ばした。
が、それでも頑なに男たちの前に立つ。
「あ〜もういいやおまえこっちこい」
二人は私をつかみ、路地裏の方に向かわせようとする。
わたしはふたりに押されながら路地裏に向かう
後ろを振り向くと
うしろでは
”英野くん...!!あぁどうしよう...警察呼ばなきゃ”
と言わんばかりに、腰を抜かしうるんだ瞳で私を見ている佐々木さん
と
そのもう少し後ろで
“これはもうぼくが出るしかなかろうか...!!!なかろうか..!!!”
と言わんばかりに興奮気味な表情の弟が目に入った。。。。。
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「はぁ。。。こんなことばかりじゃ参るなあ。。。」
結局二人の男たちは走り去ってしまった。
ぽかんとした顔で佐々木さんは
「だ..大丈夫だったの?」と一言
あんまり大丈夫じゃないんだけど
私はにっこり笑って「大丈夫」と言って佐々木さんを起き上がらせてあげた
その後佐々木さんを家まで送り届けてあげたのだが
家についてさよならを言うまで、顔を背けて全く目を合わせてくれなかった。
まあ…こんな男不気味だろうなぁ。まあでも一緒に帰るということは程なく達成できた。
「明日また話しかけてみよう」
そう言いながらスキップした。
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目の前で何が起きているのかわからなかった。
さっきまで頼りなさそうに噛み噛みで立ち向かってきた ”こしぬけ野郎” が
相棒の首を片手で掴み、持ち上げて何か言っている
「ごめんね。弟に”ヒーロー”の血筋である自覚を芽生えさせるために、親に言われてるんだ」
「できるだけやっかいごとに巻き込まれるようにね」
そう言うと、そっと相棒をその場に下ろした。
俺はすぐに相棒を肩でかつぎ、全力で路地裏から出て走った。
何が起きたか、何を言われたか何もおもいだせない。ただただひたすらに逃げ帰った。
思いついた設定の一部を、とりあえず短編ぽくしてみました
今後反響があったりしたら長く書きたいです。