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全裸VSゴブリン

戦闘回です。

 幸いここに居る魔物は大した強さじゃない。下層は分からないが、上層なら勝手知ったると言った話だ。


 おまけにコチラは霊体。普通の武器ではダメージは無い。つまり一方的に倒せる……そう思っていた。



 フヨフヨと漂いながら見つけたのはゴブリンと呼ばれる小鬼。ボロ布のような腰巻きと、刃こぼれして斬ることは出来ないだろう短剣を手にしている。

 まぁ、銀等級どころか、銅等級の冒険者でも倒せる雑魚だ。


 逸れている一匹を見つけ、壁から顔だけを出して神眼で見る。


[ゴブ雄]

 種族 : レッサーゴブリン

 レベル : 2/5

 体力 : 14/15

 魔力 : 0/0


 ふむ。ゴブリンならこんなものか。レッサーということは、ゴブリンの中ではまだ子供だな。というかこの身体になったからなのか、魔物にも名前があることに気づいた。今までは名前なんて出てなかった筈だが……ちょっと倒すのに罪悪感を覚えるな。


 とは言え、魔物を倒してきたのは今に始まったことじゃない。気の毒だが俺の為、サーヤとアリアの為に糧となってくれ。


 バレないように、壁に潜ったままゴブ雄に近づいていく。背後に回った所で腕だけを伸ばし、ドレインタッチを発動する。


 不意に訪れた違和感に、ゴブ雄がキョロキョロと辺りを見渡す。フハハ、残念だったな。俺は壁の中だ。


 ──いかん、これじゃなんだか悪役みたいだぞ。


 神眼を使い、ゴブ雄のステータスを確認する。体力は10,9,8……と徐々に減っているのが確認できた。


 ──むぅ……じれったいな。


 俺はジリジリと減る体力に夢中になり、目の前のゴブ雄に集中していなかった。

苦し紛れにゴブ雄ががむしゃらに振るう短剣が、突き出していた俺の腕に当たる。



 ──痛ぇ!



 予想もしなかった急な痛みに、思わず腕を引っ込めようとするが、目ざとく見つけたゴブ雄がガシリと俺の腕を掴む。そのまま何度も振り下ろされる短剣。


 ──いててててっ! なんでだ!


 実体の無い俺の腕を逃すまいと掴み、短剣を繰り返し叩きつけてくるゴブ雄。しかしゴブ雄の体力は残りわずか。俺は思い切って壁から飛び出し、ゴブ雄に覆いかぶさるような格好でドレインタッチを発動した。


 はたから見れば、半透明の全裸オッサンがゴブリンに抱きついている姿だが、ココには俺以外誰も居ない。大丈夫だ。うん。そうだと言ってくれ。



 全身で覆いかぶさったのが功をなしたのか、みるみる内にゴブ雄の体力は減っていき、ついに力尽き息絶えた。随分叩かれたが俺の体力はどうなったかと神眼を使うと、



 [トーマ・アルウォール]

 種族 : レッサーゴースト(偽)

 レベル : 1/10

 体力 : 27/50

 魔力 : 27/30

 状態 : 欠損(左腕)

 


 こうなっていた。魔力が2減ったのは途中で中断されて、2回使ったことになったからか。しかし痛みと叩かれた回数の割に体力は1しか減っていない。残念ながらレベルは上がっていない。相手のほうが上だったから少し期待したんだが。


 後は何故か攻撃を透過できなかった件だな。魔物同士だと透過しないのか? それとも俺だけ特殊なのか。

 これは確認しておかないと命に関わる。そう思い俺は他の獲物を探しに行くことにした――。




 ◆◆◆




 あれから俺は何匹か弱い魔物を見つけ、狩ってみた。結論から言うと、魔物の攻撃は透過できない。と言うか、魔物には触れることが出来る。しかし魔物が持つ武器や道具なんかは、魔物から離れた瞬間持てなくなってしまう。おかげでゴブリンの持つ短剣なんかを装備することは出来なかった。


 ──いい加減、何か服がほしいな……。


 ゴブリンですらボロ布で大事なところを隠しているというのに、俺は依然フルオープンである。生前も今も、魔物の弱点を見抜くことが出来る俺だが、当の本人は弱点むき出しってどうなんだ。何度かゴブリンの短剣がかすめ、冷や汗がでたぞ。



 ちなみに確認がてら狩りをしたおかげで今のステータスはこうなった。



[トーマ・アルウォール]

 種族 : レッサーゴースト(偽)

 レベル : 1/10

 体力 : 28/50

 魔力 : 23/30

 状態 : 欠損(左腕)

 スキル : 剔抉の神眼、ドレインタッチ、透過



 どうやらドレインタッチには体力吸収の効果もあるようで、今の所順調に狩りができている。レベルは相変わらず1のままだが。まぁ、弱い相手ばかり狙ったからな。仕方ないことだろう。


 そういえば魔物に触れると気づいてからは劇的に狩りの効率が上がった。壁をすり抜け背後から近付き、羽交い締めにする。そのまま後ろに下がって壁の中に入り、腕だけを出せば必勝パターンの完成だ。

 攻撃しようにも壁から出ているのは俺の腕だけ。後はそのまま吸いきるだけだ。


 

 しかしそろそろレベルが上って欲しいところではある。ゴブリンを楽に狩れた所で何だというのか。傷を負う覚悟で、強敵に挑むべきだろう。そう思い俺は洞窟内を漂いだした。


ここまでお読み頂きありがとうございますm(_ _)m


絵面にすると酷い戦い方だった……。


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