俺!!誕ジョッえ?まだなんですね
ここは中央大陸から少し離れた砦アマダム、ここでは日夜訓練校から上がってきた新兵達への訓練が行われている
「ご苦労さん、どうだい?今年の新兵達の具合は…あ、これ差し入れ」
「おお!いつも悪いね~、そうだな~どれも平均ってところか?」
砦の見張り台で、男は金髪の男が持って来たサンドイッチに手を伸ばし、かぶりつく
「だがいいのか?ストリーク、お前ん所の女房は今二人目の子供が腹ん中いるんだろ?」
「ああ、もうすぐ産まれるんだ‼…男の子ならブレイク女の子ならユーリって名前にしようってアマンダと決めたんだ」
ストリークと呼ばれた男は小さく笑みをこぼし空を見上げる
「で、いつ産まれるんだ?」
「それが…今日…なんだ」
「ハ?」
サンドイッチを口一杯に頬張りながら男の動きが止まる
「今日なんだ、子供が「イヤ聞こえてたよ!!てかお前なんでこんな所にいんの!!」」
口の中の物をコーヒーで流し込みストリークに詰め寄る男
「緊張しちゃッ「オメー、一人目の子供もそれで仕事に逃げていなかったじゃねーか!!あん時は俺が付き添いでアマンダの出産に付き合ってやったが、医者に何て言われたと思う?「お父さん、元気な女の子ですよ」って!!どうリアクションすりゃいいんだよ‼」」
「それは何度も聞いたよ、クレイド「ぺガス隊長、奥様からお電話がきていますが」」
そこに新兵の一人がドアをノックして中に入ってくる
「ほらみろ、アマンダだって不安なんだ電話には俺が出るからお前は家に戻れ、おい君「ハッ‼」悪いがここの監視を頼む、直ぐに戻る「了解しました!」」
ストリークは帰宅、クレイドは電話に出る
「よう!アマンダ俺だ、クレイドだ!すまねーなストリークの奴は直にそっち戻るから安心して「女の子よ」ハ?」
受話器を持ったまま固まるクレイド遠くで赤ん坊の泣き声が聞こえてくる、電話の相手は嬉そうにこう続けた
「ほら聞こえるクレイド、元気な女の子ですって「良かったですね!お父さん」」
クレイドの瞳からキラリと涙が頬を伝いそして声を掠れさせながら一言こういった
「…良、良かった…です」
クレイドは静かに受話器を戻すと見張り台へと戻っていき代わってもらった兵士に礼を言うとゆっくり椅子に腰をかけ空を見つめた
「俺も、あいつがいたら今ごろ…」
そんな小さな呟きは夜空に吸い込まれ、やがて夜が明け辺りが徐々に明るくなってくるまだ太陽は上がっていないものの、代わりの兵士がクレイドと交代し彼は自室に戻りベッドに倒れこむ、そして睡魔に体を受け渡し寝息をたて始める
「クレイド!!起きてくれないか?大変なんだ」
「おぉ、ストリーク無事に産まれたみたいじゃねーかzzz悪いがうちの子自慢はまた今度にしてくれ俺は今から夢の世界なんだ、じゃーなzzz」
ストリークを背にして再び夢の世界へ旅立とうとするクレイドにストリークはこう告げた
「男の子を拾ったんだ」
「何言ってんだストリーク?アマンダは女の子って言ってたッ「だから男の子を拾ったんだ」ハ?」
クレイドは起き上がり声のする方へ顔を向ける、そこにはストリークが小さな赤ん坊を抱いていた
「なんだ男の子だったのか?「違~う‼うちの子は女の子、この子は誰の子かわからないんだ」」
大きな声に反応して腕の中の赤ん坊が泣き出す、ストリークはあたふたしながら赤ん坊をあやすが泣き止む気配は無い、見かねてクレイドがストリークから赤ん坊を抱き抱え静かに自分のベッドに寝かせると赤ん坊は泣き止み寝息を立て始めた
「この子の親は?「わからない、ただこれがその子と一緒に」」
ストリークはポケットからビー玉ぐらいの玉を取り出す
「契約珠か持ち主の魔力によって精霊や魔獣を呼び出し契約する「ああ、俺たち兵士や貴族にはかかせない物だ」」
クレイドは契約珠と赤ん坊を見る、赤ん坊の寝顔を見ながらクレイドは契約珠を握り締める
「決めた!!ストリーク、コイツは俺が育てる」
「本気か!「あぁ、どうせ親の事もわからないんだ、身寄りもねーんならいっそコイツは俺が育てる…ってもお前やアマンダにも協力してもらうがな」…ハァ、わかったできるだけ協力しよう、と…その前に…」
コンコンっとタイミングよくドアがノックされ白髪の老人が入って来た
「話はついたみたいじゃな「「ディーモンド司令官」のじいさん」」
二人は慌てて右手を斜め前に突き出し敬礼のポーズをとる
「では話して貰おうかな?昨日の早退とそこの赤ん坊の事を」
ディーモンドは笑顔で二人を手招きする、二人はゴクリと喉を鳴らしその後をついていった