自分の事を神って言う奴がする事は大体ロクでもない事が多いですよね
「ここは?」
目が覚めると男は白い靄の中を漂っていた、周囲には家具も壁も床すらない、体を動かそうとしても、全く動かない、ただ自分の意識だけはあるのはわかった
「確か俺はあの時、少年を庇って」
「君は死んだ」
頭の中から声が響いてくる
「誰だ?そこに誰かいるのか」
「私は宇宙の管理者、君達の世界の言葉を使うなら神とでも名乗ろうか」
声はするが姿を見せない自称(神)は男が少年を庇い車に衝突したが、男がクッションになり少年は助かったものの庇った男は直ぐに病院に運ばれたが打ち所が悪くそのまま死亡したと
「そんな、嘘だ…」
「事実だ、現に君の体と魂は今、分離を始めようとしている」
靄の空間が晴れ霊安室に棺が一つあった、男はゆっくりとそれを覗きこむと男の顔があった
「そんな、俺が死んだ…まだ…まだ何も…」
そして男は気づいた先ほど動かなかった体が動く、手元を見ると男の手は透けている、男は悔しさと絶望で声が掠れる
「だが君の子供を救う姿は勇敢だった、その姿に私は「でも!!死んだら…自分が死んだら意味がない」」
男の体は力なく崩れ落ちる
「本当にそう思うのか?君が命を賭けて救ったその小さな命に、君の行動そのものに」
「…少年が助かったのは素直に良かったと思う、でも俺がもっと上手くやれてたら…まだ生きていたかった、もっとたくさんの特撮ヒーローを見れていたのに」
男は涙を流す、その涙の意味は大好きな特撮作品を見れなくなるという悔しさや寂しさ、無念の涙だ
「ならば、違う世界で君を甦らせよう」
「ハ?ナニイッテンダ」
「君がヒーローになればいい」
するとまた靄が出て先ほどの空間に戻り男の前に小さな光が現れる、その光は徐々に大きくなり男を呑み込んでいく
「無理!!絶対無理だから!!「安心しろこの世界の記憶と必要最低限の力は私が用意する、力を伸ばすも使わぬのも君の自由だ」話聞いて!聞いて下さい、ヴァァァァァ」
やがて男を完全に呑み込むと光は消えていった
「…ここで君は終わり、そして始まる」