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灰の魔女と9人の子供たち  作者: 鈴生り けいな
第1章 檻の中の商品たち
1/7

プロローグ 『ラズリシア』

初投稿です。どうぞよろしくお願いします。


「重い」


 ラズリシアはつぶやいて、首にかかった鉄輪を撫でた。

 くすんだ茶の髪、同じ色の瞳は鬱々としている。程よく焼けた肌や、節くれだった指から、一目で農民の子供だとわかる。


 今しがた、親に売られたばかりの少年である。


 ラズリシアは、ちらと後ろを見てみた。

 生まれてからの八年を過ごした家が見える。その前に並ぶ、自分の家族の姿が見える。

 

 父が渋面を作ってこちらをにらんでいる。その手には数枚の銀貨が握られている。

 ほかのみんなも、父と同じような顔だ。母だけが泣いていて、兄に支えられている。悲しいと思う。けど、どうでもいいとも思う。


 彼らの背後を見やる。家の屋根の向こうに山が見える。ラズリシアにとって、庭といえるほどに慣れ親しんだ場所だ。

 冬になって、木々の葉はすべて枯れ落ちてしまっている。乾いた枝のみが広がる、寒々しい景観。


けれども、それを望んだラズリシアの胸の内には、柔らかなぬくもりが満ちた。


「アルーサ」


思わずといった調子で、ラズリシアはつぶやいた。

それは、今あの山にいるはずの、最愛の妹の名前だった。


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