火鳥と不死鳥
迷いの竹林前、白い髪に白い服で赤いズボンを履いた藤原妹紅。ヒナイは彼女を見付けた。
「妹紅」
「ヒナイか、手伝え」
因みに此れが何時ものやり取り。
「よっ、鳥人間の兄ちゃん。今日は来たのか。宜しく頼むよ」
「ガハハ」と笑って居るが一応病人だ。
実際ヒナイは鳥人間では無い(が羽毛の生えた獣族で有るのでそうと言えばそうで有る)ものの、顔見知りの人間から度々そう呼ばれる。
「はい。任せて下さい」
来れない日の有るヒナイは此方に向かって来る初見の初老の女性に気付いた。彼女は白髪が混じった茶髪で小柄。一瞬某白黒魔女に空目した。
「此処ですか? 永遠亭迄送る所って」
「そうですよ、乗りますか? 」
「はい、お願いします」
リヤカーに乗せる為に腕をとったが其の腕がとても細かった。食は細そうに見えるが元気な理由はきっと永琳の作った薬のお陰かも知れない。
妹紅は耳打ちをする。
驚きの余りか雫と妹紅の顔を交互に見る。雫も此方を見返して会釈を返す。
あの女性の苗字に聞き覚えが有った。確かにあの白黒魔女のだ。
キャッチコピーが「なんかします」のあの店の店主の母親が此の方? 嘘だと思った。そんないい加減な雰囲気は感じ無い。
「じゃあ皆さん行きますよ」
妹紅が後ろから呼び掛け、ヒナイが車体を引っ張る。永遠亭への案内は地上の因幡の白兎も幸運を分け与える事はするが、自然と単体行動に成ったり、妖怪に襲われる等で無事に着く保証が有る訳では無かった。
しかも最近は白い蛇に似て非成る正体不明の妖怪が現れたり、竜神が現れたりと(主に前者が)物騒な事例が発生したらしい。慧音に聞いた。
竜神とはブレードの事なのだろう。確かに鱗と尻尾と鋭利な爪を隠し持って居た。
体が弱い方も居てゆっくりとした移動が必要。時間は掛かるが其の中でコミニュケーションを取られて居るので急く事も無い。今も演歌を歌って楽しそうな雰囲気。
「ほら、門が見えましたよ」
永遠亭は目と鼻の先。
「はいはい解ってるよ兄ちゃん」
扉の前のあれは竜神もといブレードか。
更に近付く。
「よおブレード」
「久し振りかな? 」
「ま、待ったぜ」
ブレードの額に冷や汗。
「あの御姿は正に竜神様! 」
一人の老人が叫ぶ。
「お、俺の事か」
ブレードが自分を示す。だが老人の指は上を指して居た。
(ピー助!? )
そうかピー助も竜か。なら竜神と言われても仕方無いな。嗚呼、既に拝まれてる。
「此のピーちゃん頂き! 」と言う声が確かに聞こえ、ブレードが猛ダッシュして消えた。
後で話を聞くと神様らしかった。ブレードは神様になつかれる体質なのか?