135 迷路3
モニターに『報酬の鍵をお渡しします。グループ全員のカードをかざして下さい』と表示された。
カードをかざし終えると、モニターに『麒麟の鍵を手に入れました』と表示された。
「……麒麟の鍵、そんなの説明にあったか?」
「あのダルマは、鍵は二つ用意しろと言っていたわね……」
「だよな、あと何がいるのかわからないな」
「とりあえず、もう一つ、キーマスターを探しましょう」
また迷路をスタート地点へと戻るように逆走していく。
いくつかの分岐点を超えて戻っていくと、キーマスターを見つけた。
キーマスターを見つけたというより、人だかりを見つけたが正解なのだが。
別のグループがキーマスターに挑戦中だった。
「ついでだからやり方見とこうぜ」
「そうね」
近くに行って、見てみると最初に見た機械と同じタイプ。ボタンが四つ付いていた。
『さあ、次の問題、いくぞ?』
キーマスターのモニターにはカブトムシのキャラが映っている。
どうやら、ここのナビキャラのようだ。
『問題:化学式 C6H4Cl2はどれか?』
『A:ニトログリセリン』
『B:クロロベンゼン』
『C:クロロニトロベンゼン』
『D:パラジクロロベンゼン』
なんだこの問題? そんなのわかるわけねえだろ。こんなにハイレベルなのも出るの?
「これ簡単じゃん! DだよD。歌の動画で見たことあるもん」
問題をやっていたグループの女の子が言うなりDのボタンを押す。
いや、それ出処が信頼できるの?
『ピロリロリローン♪ 正解だ。おめでとう。これでクリアだ。鍵を授けよう』
正解なのかよ⁉
前のグループが鍵を取得して移動を開始する。
移動する際に俺たちにペコっと頭を下げてきたので、こちらも頭を下げる。
礼儀には礼儀で返すのが俺の主義だ。
空いたキーマスターに、響と二人カードをかざす。
画面の端から見たことがある猿が二匹トコトコと現れる。
一個目の鍵を手に入れた時に現れた猿だ。
カブトムシじゃねえのかよ。
「また、こいつらか?」
「私たちのナビパートナーなのかしら? 変えてもらいたいわね」
『やあ、また会ったね』
「会いたくねえよ」
「明人君、モニターに話しかけていると変な人に見えるわよ?」
中の猿が二匹とも何故か大げさに笑っている。
まるで俺を笑ったかのようだ。むかつく。
『ここではクイズに五問答えてもらうよ。君たちが三問正解すれば鍵をあげるよ』
左の猿が簡単に説明する。
右の猿は、また正拳突きを繰り返している。それに何の意味があるのか教えてくれ。
モニターにクイズ説明が浮かび上がる。これも時間制限型のようだ。
五問中、三問間違えた時点で、五分間再挑戦できなくなるようだ。
四択クイズなら、なんとかなるだろう。わからなくても四分の一だからな。
『では第一問いっくよー♪』
『問題一:京都タワーの高さで正しいのはどれ?』
『A:131メートル』
『B:120メートル』
『C:100メートル』
『D:97.4メートル』
「知らねえよ!」
「なぜ京都タワーなの?」
京都に行ったこと無いし、形もわからねえよ。
どうやら響も分からない様子。
「どれだ?」
「ひとつだけ小数点があるのはフェイクかしら?」
「東京タワーは333メートルだろ」
「ヒントにならないわ」
カウントダウンが進む。
「とりあえず一番高いのにしよう」
ポチッとAのボタンを押すと。
『ピロリロリロ~ン♪ 正解!』
四分の一の確率に成功した。次の問題に期待しよう。
モニターの猿たちも喜んでいる。お前ら踊れないのなら無理して踊らなくていいぞ?
『次の問題いってみよー♪』
猿の合図で新しい問題が表示される。
『問題二:京都市内の通り名で、正しいのはどれ?』
『A:下駄屋町通り』
『B:為替町通り』
『C:衣装棚通り』
『D:鍵屋町通り』
「また京都かよ?」
「京都検定にでも出てきそうな問題ね」
全くわからない。そもそも、こんな通り名が本当にあるのか?
「この字だったかしら? ……余計な文字がはいっているようで自信がないわ」
響も悩んでいる。容赦なく進むカウントダウン。
「響、間違ってもいいから選べ!」
「これで!」
選んだのはDのボタン。
『ピロリロリローン♪ 正解! すごい!』
「あら正解だったわ?」
「おお、運がいい。あと一問だこれならいける」
『次の問題いってみよー♪』
猿の合図で新しい問題が表示される。
『問題三:京都と名のつく駅から行ける一つめの駅名で、間違ってるのはどれ?』
『A:二条駅』
『B:五条駅』
『C:東寺駅』
『D:東福寺駅』
「どんだけ京都が好きなんだよ?」
「偏ってるわね……」
「響わかるか?」
「東が二つあるのが気になるのだけれど」
響も完全にお手上げのようだ。
いや、もうこれ完全にわからない。勘に頼るしかない。
「直感でCだ! 東が二つあるなら、そのどっちかがフェイクだろ」
Cのボタンを押した。
『ブッブー♪ 残念でした~。間違えちゃったねー』
くそ。答えはなんだったんだ?
『次の問題いってみよー♪』
猿の合図で新しい問題が表示される。
おい、答え教えろよ。夜に眠れなくなるだろ。
容赦なく次の問題が提示される。
『問題四:明智光秀が築城させたのは、次のうちどれか?』
『A:田辺城』
『B:福知山城』
『C:伏見桃山城』
『D:二条城』
「……これ京都の文字ないけど京都の問題だよな」
「……二条城と伏見桃山城は京都にあるわね」
「俺はわからん」
「これはBね。この数年後に本能寺の変を起こしたはずですもの」
響が絶対の自信を持って答えた。これは安心できそうだ。
Bのボタンを押すと『ピロリロリローン♪ 正解! おめでとう。鍵をプレゼントするよ』
猿が画面の中で端から端まで走り回って喜ぶ。
「やっぱりイライラするわ」
モニターに『報酬の鍵をお渡しします。グループ全員のカードをかざして下さい』と表示された。
カードをかざし終えると、モニターには『鳳凰の鍵を手に入れました』と表示された。
「……なんだかゲームの世界みたいだな」
「他にもあるなら、次は四神獣あたりかしら?」
「玄武とか白虎とかか? 意外だな、響がそういうのわかるって思わなかった」
「母が、そういうのに詳しいのよ。私には意味がわからないけれど」
静さんは、おそらくゲームで覚えたに違いない。
とりあえず鍵を二つ手に入れたことだし、一度関門に行ってみることにした。
関門までの道のりを早足で抜けていく。右へ左へと進んでいく。
ようやく関門のところまで戻り、機械にカードをかざしてみる。
カードをかざすと鍵が表示された。画面の端からヒゲダルマが現れ、鍵を掴む。
『ほほう、鍵を持ってきたか。では、今日の組み合わせを発表しよう……』
もったいぶったように瞼を閉じるヒゲダルマ。
目をクワっと見開くと同時に、『鳳凰と麒麟じゃあ!』と、言った。
「一発来た!」
「あら……少し残念」
無表情に言うので残念そうな顔には見えない響だった。
なにはともあれ関門突破だ。次のステージへゴー。
お読みいただきましてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。
『問題三:京都と名のつく駅から行ける一つめの駅名で、間違ってるのはどれ?』
『A:二条駅』
『B:五条駅』
『C:東寺駅』
『D:東福寺駅』
|ω`)問題の答えはAの二条駅でした。間に丹波口駅があります。