双子の姉妹
グレイ家にはダークエルフとしては珍しく二人の双子の姉妹がいた。
エレノア・グレイとリリアン・グレイである。
二人とも目がくりっと大きく可愛らしい顔立ちをしているが
可愛らしいさに加えて美しかった。
エレノアは活発でリリアンはおとなしい性格
双子なのに性格は全く違っていた。
今日は5歳の誕生日でもあり
邪神洗礼を受ける日でもあった。
邪神洗礼とは、
洗礼では額にクリスタルをのせそれが体内に取り込まれ融合するとスペルキャスターとなる
一旦取り込まれたクリスタルは融合後に分裂し分裂した後額に浮かび上がるのである
分裂したクリスタルの破片の数が
1つであれば、魔術師
2つであれば、呪術師
3つであれば、僧侶
4つであれば、召還師
5つであれば、付与魔術師
6つであれば、死霊術師
洗礼時に用いられるクリスタルは
ダーク、ブルー、レッド、グリーン、イエロー、ホワイトのどれでもいいのだが、
洗礼素体と融合する場合に優秀な素体であればあるほどホワイトに近づく
要は、とてもいい素体なのにダーククリスタルを使うと、融合後に
グリーンになっちゃったと、いうように
ダーククリスタルで素体が悪いとダークのまま、
ホワイトクリスタルで素体が悪いとレッドになるといったように
額に浮かび上がるクリスタルの色でキャスト出来る魔法の種類や威力が左右されるのである。
洗礼でも使われるクリスタルだが、ダーク、ブルー、レッドは段階に合わせて上位魔法使用時の触媒にもなるのである。
もちろん洗礼で全ての素体が融合化される訳ではない。
融合されなかった素体の右腕に紋章が浮かび上がるもの
それが特定の職業を得る事となる。
当然その色はクリスタルの色と同様である。
ちなみにゼノの腕にはブルーのレンジャーの紋章がある。
貧しい家庭に育つ者はダーククリスタルで洗礼を受けることになる、可哀そうなゼノ・・
現在額にホワイトクリスタルを持つキャスターはどの種族にも存在していない。
腕に紋章が出現しない場合はなんのスキルも無いので特化された職業に就くことはできないのである
グリーンであれば王族直下の親衛隊
レッドであれば暗黒騎士団
ブルーであれば通常の暗黒戦士団
ダークだと城塞の衛士と
運命付られるのである。
二人の娘の父親であるノーサン・グレイは子爵であり、
腕にレッドの暗黒騎士の紋章を持つ♂である。
暗黒騎士団に従事し、武勲を上げた事により今の地位にいる。
彼は洗礼官と話をしていた。
「今回は希少なホワイトクリスタルを入手していますのでホワイトクリスタルで洗礼を受けますか?」
「ん、ホワイトクリスタルがあるのか?」
「はい」
ホワイトクリスタルで洗礼を受けるは寄付金として20金貨を結果の有無に関わらず納めなくてはならない。
それに加えて結果がグレーだと100金貨、ブルーだと80金貨、レッドだと60金貨、
最悪二人ともグレーの結果に終わる事になると、240金貨納める必要がある。
納めれない額ではないが、破産に近い出費となる。
だが彼は自分の子に夢を託す事にした。
どの世界でも親は子に対して馬鹿である。
「では二人ともそれでお願いできるか?」
「勿論よろしいですとも、では、こちらの書類にサインをお願い致します。」
そう言って洗礼官は手に持つ書類を差し出し、ノーサンは書類にサインした。
洗礼台は大理石で出来ており、魔法陣の中央に座している。
複数の洗礼官は魔法陣の隅々にレッドクリスタルを差し込み始めた。
白いワンピースを着た我が子であるエレノアが洗礼台に寝かされており
その上座には初老のダークエルフであろう洗礼官長が立っており、
彼の額には5つのグリーンクリスタルがあった。
彼は小指の先程ホワイトクリストるをエレノアの額に載せ術式を唱え始めた
「エンチャント オブ クリスタル ラーク ボーン」
赤く輝き出す魔法陣、全体的に白さを増して行く中で、額のホワイトクリスタルが
沈み込みそして一つの菱形として浮かび上がった。色は真紅のレッドである。
それを見たノーサンはほっとした、これでこの子は自分と同じ暗黒騎士団が約束されたと。
次は、リリアンの番である。
先ほどと同じく進行し、彼女の額には3つの菱形のクリスタルが浮かび上がったが、
色はブルーだった。
「仕方ないか・・」
誰にも聞き取れない程の声でノーサンは呟いたのだった。