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140字SS   作者: 冬香
2/5

2014/11/1~11/15

2014年11月に書いた140字SSです。忘れなければ12月から再開したいなと思っています。

11月1日「ウソつきなきみへ」

きみの口はスラスラと物語を紡ぐ。主人公はきみ。舞台は学校。まるで事実のようにきみはフィクションを話す。きみの生み出したものとばれていることに気づかずに。心配をかけたくないのだろうから、ぼくはそれについて何も言わない。それでもたまに言いたくなるよ。無理はしないでね。


11月2日「不安定な未来」

さよならと手を振った。君は笑顔を浮かべて、また明日と返してくれる。明日が本当に来るかなんてわからないのに。君は明日が来ると確信している。それは君からしたら当たり前のことで、僕からしたらうらやましいことで。こぼれそうになった悔しさを飲み込んで僕は笑った。「また明日」


11月3日「砂糖菓子のように甘く」

優しくあなたの頬を撫でてたくさんキスもして、あなたを甘やかしましょう。あなたとわたしの甘い甘い時間、あなたが耐えられなくなるまでずっと続けるの。それはまるで砂糖菓子のような。はじめはその甘さに癒されるのだけど、だんだん気持ち悪くなって苦痛になっていくのでしょうね。


11月4日「こたつの誘惑」

居間のこたつから寝息が聞こえてくる。12時だよと言っても寝ぼけた返事をするだけで起きあがる様子はない。3回声をかけたところで私は起こすのを諦めた。今部屋に響いているのは秒針と呼吸だけ。単調なBGMのせいで睡魔が私を襲う。寝るなよ私。そう思いながらもこたつに潜った。


11月6日「別れまであと、」

カチカチと規則正しい音が聞こえる。それに合わせて動く針は、私に約束の時間が近いことを訴えていた。呼び出しの手紙も届けて、部屋は暗くして。あとは彼がこの扉を開けるだけ。さあ、早く来て。私の意思が変わる前に。月明かりで銀色に輝くそれを握りしめて、私は扉を見つめていた。


11月7日「死まであと、」

頭の中で警鐘が鳴る。君からの呼び出しは罠なのだと。あの部屋に行ってはいけないと。さっき君がナイフを握りしめていたから、凍傷になりそうなほど冷たい目を君がしていたからそう思ってしまうのだろう。あれが僕に向けられるとは決まっていないのに。息をついてから僕は扉を開けた。


11月8日「光の先へ」

光はずっと遠い所にある。手を伸ばしても届かないような遠い所に。光の先に僕の幸せはないよ。僕は暗い所の方が合っている。頑張る必要はない。諦めて手を下した瞬間に君の声が聞こえた。「君もおいでよ」強い力に引っ張られて、僕は光の中に飛び込んだ。光の先には君の笑顔があった。


11月13日「冬空」

白い息が暗がりに消え、冷たい風が肌を刺す。月のない暗がりは私を飲み込もうと迫り来た。まぶたが重くなり、私は眠気を払うために空を見上げた。そして足を止めた。その時の空にはたくさんの星が輝いていた。息を飲むほど美しい。寒さも眠気も忘れて私はしばらくそれに見入っていた。


11月14日「目標」

頭上に明るい光があった。手に入れたいと思ったから僕は手を伸ばした。届かなかったから、足元にあった棒を光に向けた。光は器用に棒を避ける。さて、どうしたものか。僕はあたりを見回した。少し歩いたところに網があった。これを使えば。棒につけて振りようやく僕は光を手に入れた。


11月15日「異変」

先生は化学を嬉々とした表情で語っている。教室を見回す限りそれを真面目に聞いている生徒は多くない。落書きをしていたり、寝ていたり。私も眠いなあ。私は窓の外に目をやった。綺麗な秋空が広がっている。今日も何もなくて平和だな。ため息をこぼしたとき、空から何かが降ってきた。


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