10/21~10/31
抜けているのは書くのを忘れた日です……
10月21日「別れのとき」
何年前だろう。空が高いよと、太陽のような笑顔で君が言ったのは。一生懸命手を伸ばして秋の高い空を掴もうとしていた。その時、僕は小さな体を抱き上げて君のことをずっと守っていくと誓った。けれどもうその必要はない。綺麗になった君は、守ってくれる頼もしい人を見つけたのだから。
10月22日「記憶」
あの日で覚えていることは、心の中に強い風が吹き込んできたことだけ。きっとこの風があなたの面影も思い出も吹き飛ばしたのだろう。私に唯一残されたのは、あなたを愛しく思ったこの心だけ。あなたを恋しく思い続けるこの心だけ。顔も知らないあなた。今あなたはどこにいるのだろう。
10月23日「自殺」
「逃げて、逃げて」頭の中でこだまする声。何から逃げているのかも、その声が誰なのかも分からない。ただ恐怖だけが体を動かす。「あの角を曲がれば大丈夫よ」声が言う。私もその言葉を信じる。角の壁に手をかけて角を曲がった。開放感と空気の冷たさを感じて、私の体は落ちていった。
10月24日「恋は盲目」
あなたに喜んでほしかった。そのためなら私はなんでもできたの。友達だって自分自身だって欺いて、利用して、捨てて。あなたの笑顔が見られるなら、感じている悲しみなんてつまらないものだと思ってた。だからあなたに飽きられたら終わりの人生なのに。私はこれからどう生きればいい?
10月25日「結ばれた未来」
これが切れたとき、あなたの願いが叶います。そんな謳い文句に釣られて買ったミサンガ。あの人を思いながら手首に結ぶ。あれは何年前のことだろう。学校も卒業したからあの人とはもう会っていない。恋心だってなくなってしまった。懐かしいな。そう思ったとき突然、ミサンガが切れた。
10月26日「僕はいるよ」
僕を映さない君の瞳に、どうにか僕を映したい。地味で面白くない今の僕じゃ映りようがないのだけど。明るくて面白い人のほうが君にはお似合いなのだけど。今更面白い人になれる訳がないって分かっているのだけど。それでも僕は君の隣にいたかったんだ。今だってずっとそれを願ってる。
10月27日「幸せをください」
派手で甘々な幸せなんて望んでいなかった。あなたの温かい頬に触れて、小さく笑いあって。そんな、ありがちな幸せだけを私は欲していたのだ。もう十分悲しみは味わったんだから、それくらいの褒美があってもいいじゃないか。そう信じて生きてきたのに、神様はまだ私の幸せを許さない。
10月28日「ごめんね」
「ごめんね」何度あなたに言われたことだろう。デートに遅れたとき、遊園地ではぐれたとき。そんなあなたも好きだったし、次は気を付けるからって言ってくれたから、何度だってあなたのことを許せた。でも今回ばかりは無理だ。好きじゃなくなったことを謝られても、許せるわけがない。
10月30日「目撃者」
ただ仕事をしていただけだった。人のいない職場で、ひたすらパソコンとにらめっこをして。だからあの時目が疲れてしまった私は会社からの夜景でも見ようと思ったのだ。だが悲しいことに私は不運だった。カーテンを開けた瞬間に目に飛び込んできたのは、上から落ちてきている男だった。
10月31日「いたずらさせてね」
今日はハロウィーン。仮装を楽しむ若者もお菓子をねだり回る子供もいる。皆楽しそうな笑顔を浮かべていた。私もいつもと違った服装で、あなたのもとに走る。右手にはお菓子を持って。きっとあなたはお菓子を準備していない。それを分かってて言うのだ。Trick or Treat!