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ホリック・ワーカー  作者: 舌百合
第1章 仕事
8/11

3

 オッチャンの後を追い納屋の中に入った。

納屋の中はなんと期待を一切裏切らないボロボロだ。外からではわからなかったが、屋根や床や壁など腐ってたり穴が開いている箇所がある。

外装は酷いが中は良い状態なのかもと期待したのだが。


「オッチャン。中も酷いな」


「俺も、ここまでとは。雨風は凌げると言ったが補強しないと無理かもしれん」


「簡単に確認しても雨漏りは確実にしてたようだしな」


「だが、農具に関しては錆びてはいるが使えないことはないな」


 納屋に置いてある農具を確認しているオッチャンがそういった。今見ている農具も錆びている物が多く見える。


「どう見ても無理そうにみえるが」


「いや、修理には出しても意味が無い状態だが、初心者が練習で使う分には問題ないだろ」


「まぁ貰えるもんは何でも貰っとくが、これじゃあすぐ壊れると思うが・・・」


「それまでには、新しいの用意してやるぜ。急ぎの物は板と釘、あと工具か。注文しておくから届いたら悪いが自分で修理してくれ」


「わかった、どうにかしてみる。もし板が余ったら自由に使ってもいいか?」


「それぐらいはいいぜ。おっと、そろそろ戻らないとな」


 二人で納屋の外に出る。


「いろいろありがとな、オッチャン」


「まぁ、なんかあったらすぐこいや」


 そう言ってオッチャンは去っていった・・・全力疾走で。自分で時間無いって言ってたのに、普通に喋ってたからしょうがないだろう。


 一人になったのでボロ屋をの修理する箇所を時間を掛けて確認してみると、元がちゃんと作られていたのか私でも修理できそうだ。

どうにかできそうなので安心していると太陽が結構暮れてきているのに気づく。

 そろそろ寝る時間だ。はっきり言って明かりがないので、夜にできることなんて無いのだ。

寝るために我が家(ボロボロの納屋)の中に入るが寝具なんて無いので、腐っていない床を選び寝ることにする。


 仰向けに寝転び自分の現状を確認してみる。

オッチャンの好意で家と道具を手に入り、食事もできる。これで仕事に必要なものは揃ったな。

 あれ・・・最高に恵まれてね。二日目で必要なものが揃うなんてほかの人たちだと無理だろう。私は運がいいな。

(※他の人たちは、宿屋で寝れていて装備もある程度いいものに変わっています)


 主人公は自分の幸運な状況を喜びながらログアウトした。




・・・次の日・・・




 ログインして目が覚めると見えたものは腐った天井だった。修理しないとなぁ。

今日から仕事。仕事の最初はあれだろってことで外に出て体操をして体を解す。


イッチニー、イッチニー。


 充分に準備体操して、家にあるクワを取ってくる。

家の裏手にある荒野に立ち錆びたクワをしっかり握り締める。

これが私の農家としての最初の一歩。クワを振り上げこの荒地に振り下ろす。


 一耕入魂


 地面にクワが当たった時「バギャーン」と音が響く。

これは何かすごいことが起きたのでは、と思った瞬間、体中に痛みが走り地面に倒れこんでしまった。


 なんだこれ・・・動けないんだが。何かの陰謀かと冗談で面白く考えていたら、視界の端に何か点滅してるのに気づく。

なんだろうと意識するとパネルが表示された。



====================================



<マイナス効果があります>


<お腹が減っています:能力が25%ダウン、体力半減、自然回復無効>


<のどが渇いています:能力が25%ダウン、スタミナ半減、アーツ・マジック・ファクトリー使用不可>


<能力が低いため反射ダメージを受けました>


<ダメージにより体力が1割以下です>


====================================



 パネルに書かれていた内容は自業自得すぎるものだった。

あぁ確かにこの世界では半日以上何も食べていなかったなぁ。

最後に食べたのもリンゴ一個だけだし。


 しかたない食堂に向かおうと走ってみると、1秒も続けて走れない。

そうか能力も落ちてるしスタミナ無いからなのか。走って30分ぐらいだったはずなので歩くとなると・・・



・・・3時間後・・・



 食堂に着くことができた。なんでこんなに時間が掛かったかって? 

・・・迷ったんだよ。


 気を取り直して食堂に入っていくとすごくいい匂いがする。

中にはほとんど人が居なく、片手で数えれるほどの人数が見えるだけだ。来るのが遅かったからこんなもんだろう。

 たぶんここがご飯を貰えるとこだろうって場所に行くと、厨房の中が見え女の子が一人だけ居るのが確認できる。

女の子は可愛いエプロンを着ていて厨房内を忙しそうに動きまわっている。

熱心な仕事ぶりに感心してみていると、女の子が私に気づいたのかこっちに来た。


「どうしたのあんた。なにか私に用事?」


「いや、ご飯を食べに来たんだが」


「朝飯の時間なら1時間も前に終わってるわよ。昼飯もあと4時間は後だし」


「マジで・・・」


 女の子の前で膝をついて落ち込んでいると


「はぁ、しょうがないわね。いい年した大人でしょ。はっきり言って見てられないからさっさと立ちなさい」


 女の子に怒られて立ち上がる主人公?。 


「さすがに可哀想ね。スープぐらいしか残ってないけど食べる?」


「いいのか!! ヤホーイ! 嬢ちゃんは女神様だぜ!」


「もう、女神様って・・・確かに私は綺麗で可愛くて性格もいいけど、そんなに褒めたってスープしか出さないんだからね。わかった?」


 あれ、そんなことは言ってないぞ。でも年齢的に娘みたいなので少々程度の変さなら可愛く思える。

女神といったが駄目なあの女神(笑)より、断然いいのでこっちを女神に置き換えよう。そうしよう。


 女の子が皿にたっぷりスープを汲んで持ってきてくれた。


「これしかないけどいっぱいあるから食べていいからね」


 皿の中のスープを見てみると、芋いもイモ。

ジャガイモがいっぱいゴロゴロと入っていた。というよりジャガイモしか入っていない。


「嬢ちゃん、これ食っていいのか」


「いいって言ってるじゃない。それ私が作ってるんだけどあまり人気がないのよね。なぜかしら?」


「いただきます」


 手を合わせて挨拶をして食べ始める。食べてみるとこれは


「最高だ! こんなの美味すぎる」


「え、本当に? そんなこと言ってくれたのあんたが始めてだわ。嘘言ってるんじゃないわよね?」


「本当だぞ。塩加減がよくジャガイモ本来の味がすごくしていいぞ」


 スープを食べてみたがジャガイモの味と塩の味しかしないが計算されたバランスは神がかっている。やはりこの娘、女神か。ジャガイモ好きも私には最高の料理だ。


「ジャガイモの味が引き立つように研究した塩のバランスを気づくなんて・・・あんた気に入ったわ。いくらでも満足するまで食べなさい」


 どんどんスープを飲むたびに継ぎ足してくれる。女の子は満面の笑みを浮かべながら目の前で私を見ているが私はジャガイモを食うのに集中している。

何杯分食べたか忘れたがお腹がいっぱいになってきたので女の子に


「もうお腹いっぱいだ。ごちそうさん!」


 と最後に皿の中にあった分を飲み干す。


「よく食べたわね。そんなに良かったんだ」


「ああ、最高だったぜ。また頼むな」


「もうしょうがないなぁ」


 そう嫌そうな言い方だが女の子は笑顔である。これで飯は万全だ。


「じゃあそろそろ行くか」


「今度はちゃんとご飯の時間に来るのよ~」


 女の子に見送られながら食堂を出て仕事場に戻ることに。

ちゃんとお腹も水分も補給したので走れるようになり30分も掛からず戻れた。


 仕事場の荒野に戻り、落としていたクワを拾い握り締め今度こそはと振り下ろした。

すると変な音もせず、体中に痛みも感じない。手には痺れを感じるが許容範囲内だ。

やっと耕すことができたと喜んでみたものの、クワを振り下ろした地面を確認してみると1㍉程度しか刺さっていない。


これは私への大地からの挑戦状だな。受けてたってやるぜと意気込み、クワを振り下ろし始めた。

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