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ホリック・ワーカー  作者: 舌百合
序章 ゲーム開始
3/11

3

 意識が浮かび上がると広場みたいな場所に立っていた。

目に入ってくる光景は、広場みたいなとこに人が溢れかえっている。お祭りみたいに賑やかだ。

 肌に風を感じるし、ちゃんと匂いがする。五感で感じ本当に、リアルにしか思えない。

ゲームも進化したもんだと感心するが、ログインする時の浮遊感はどうにかならないのだろうか。エレベーターみたいな感じだ。

いつかは慣れるだろうか。


 周りに人が沢山いるが、みんなみすぼらしい布の服を着ている。

これを着ているのが同じプレイヤーかな。だとしたら私もこの格好なのか。


 確認してみたがこれは酷いと思う。布の服(ボロ布)は肌触りも悪く、保温性も無いだろう。

仕事をするにしてもちゃんとした服装は最低限必要だ。それを怠ると効率が悪くなってしまう。

やはりこれは服ではない。ただ恥部を隠すだけの布だ。


 一応他に何か持っているのかもしれないから確認してみよう。

さすがにゲームだから何かあるかもしれない。

あるといいな。

ほんとに。


・・・確かオプションって念じるか、言えばパネルが出るんだっけなぁ。

お、出てきた。


====================================

オプション

・ステータス

・スキル

・アビリティ

・アーツ

・スペル

・ファクトリー

・ログアウト

====================================


 ・・・少なすぎないか。装備とかアイテム欄とか設定とか無いのか。

まぁこれぐらいは許容範囲内だ。よし、ステータスを開いてみるか。


 パネルに表示されているステータスと書かれている場所をタッチしてみる。

そうすると画面が切り替わった。


====================================

ステータス


・名前 シード


・ジョブ 農家


・所持金 0G


・武器


なし


・防具


頭 なし

上 簡素な布の服

下 簡素な布のズボン

腕 なし

脚 簡素な布の靴


・装飾品


なし


・下着


上 簡素な布のシャツ

下 簡素な布のパンツ

====================================


 期待はしてもいなかったが、こう表示されるといろいろ酷いのがわかる。

確認してみたがやっぱり何も無かったな。金も武器もなく防具もボロ切れみたいな布だし防御力は皆無だろう。・・・酷すぎないか。

しかし下着の欄もあるってことは脱げるのか。これもR18要素だな。

 確かに開発者がリアルを追求してることはわかるがこれは無いな。

それよりも思うことがある。


 おい、女神(笑)祝福はどうした?


 今周りをみわたしても人が多い。こんなゲームによくこれだけの人が、こんなものをやろうと思ったもんだ。私も人のことは言えないが厳しいだろう。

 他の項目も、どうせ何も無いだろうからフィールドに出て魔物でも狩るしかないか。

まずは、お金稼ぎをしないと何もできないしな。


 街の外に出るにはどう行けばいいんだ?

ここから見てもなにも目印がないし、街並みも入り組んでいる。

マップは・・・オプションには、無かったな。


はぁ、街を歩き周って門を探しだすか。


・・・1時間後・・・


 歩き回っていたが街の外に出れない。ここまで門の形状すら見かけていない。

最初にいた広場を出るのに10分以上掛かったけどそれにしてもな。

確かに、この製品一万本売れたはずだからこれだけ広くしないと街の中には入れないからしかたがないが、街の出口までの案内板とかなぜないのだろう。これでは迷子続出じゃないか。


 どうしたもんかね。外に出れずに街の中で餓死とか勘弁してくれよ。

途方にくれ困ってたたずんでいると、兵士の格好をした二人組みが声を掛けてきた。


「どうしたんだ、そこの兄ちゃん。悩み事か」


「そんなに落ち込んで彼女にでも振られたか」


「そんなことならまだ良かったのですが、恥ずかしいことに道に迷ってたんですよ」


「ハハハ、確かに恥ずかしいな。でも俺達に会えてよかったな」


「俺達はこの街の警備兵だからこの街ならだいたいの場所を案内できるぜ」


「そういうことだ。どこに行きたいんだ?」


 気さくな人たちでよかった。どうにか餓死せずに、街の外に出れそうだな。


「あの・・・街の外にでる門までお願いします」


「どの門だ?東西南北あるぞ」


「一番近くにあるのはどれですか」


「ここからだと西門だな。西門になにか用事があるのか」


「用事ってほどのことではないのですが、外に出てモンスターを狩ってお金を稼ぐためにですね」


 それを聞いた兵士二人に笑われた。まぁ仕方ない、私も逆の立場だと笑ってるだろう。


「笑って悪かったな。さすがにその格好で武器も持たずに、さらに街の中で道に迷っている人が魔物を狩りに外に行くとは思わなかったよ。すまんな」


「いえ、私も立場が逆なら笑っていたと思うので気にしないでください」


「ありがとな。笑ってしまったお詫びに、西門まで連れて行ってやるよ」


「兄ちゃんの場合、行き方を教えてもまた迷いそうだしな」


「ありがとうございます。私もそんな気がします」


 また二人に笑われたが、門まで案内してもらえることになった。10分ほど歩くと街の外に出るための門にたどり着いた。


「どうにか街の外に出ることができました。お二人ともありがとうございます」


「この辺はあんまり強い魔物はいないが気を付けろよ~」


「じゃあな~」


 そう言うと、兵士達は手を振ってこの場から去っていった。

いい人たちに会えてよかった。本当に助かった。

あのままだと、あと何時間街の中で彷徨っていたか分からない。


めぐりあわせに感謝だな。

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