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ホリック・ワーカー  作者: 舌百合
第1章 仕事
10/11

5

 いくつかの目覚めを経験したら、昼飯時になったので食堂に向かう。

まだ朝飯の効果が残っているのか、デスペナルティー以外のモノは発生していない。

だが能力やスタミナは低下しているので走らずにスキップで行くことにした。

いやこれは別にナンデモないのだよ。

ジャガイモが楽しみすぎて心がランランして、ウキウキして、ヒャハァァァア!なわけではないのだよ。


 誰に言い訳しているのかわからないが・・・一つ言いたいのは大自然の中でオッサンがスキップするのは他人からの見た目もきついが、体力的にも結構たいへんなのだ。

それなのに足はスキップである。結構息は荒い。だが止めない。なにが彼をそうさせるのか。


 心の中で思い続ける。

私はまだまだ若者だと。心の中で

若者、若者、若者、わかもの、わかもの、わかもの、ワカモノ、ワカモノ、ワカモノ、ジャガイモ、ジャガイモ、ジャガ・・・・・・・


 途中からジャガイモに変わりだして、さらにはジャッガイモ、ジャッガイモと掛け声も出始めた。

もう先ほどのことは忘れジャガイモのことしか頭にない主人公である。


 ようやく食堂が見えてきた。主人公は奇声をあげる。


「キッヒャィィィィィイ! リィラホォォォォォオイ!」


 そして猛烈なダッシュである。

皆さんは経験したことはあるだろうか、急に人は走り出すと身体がついていかずこけたことは。

ここは農場、土の道で整備もされてないデコボコ道であり、さらに通いなれた道でもない。

その結果は・・・


「ヒャア・・・あっ」


 全力で駆けてた結果頭から地面にゴロゴロと転がり最後には食堂にぶつかって止まる。

痛かったが食堂に着くことはできたと、立とうとしたら目の前が真っ暗となった。


 普通の方は焦るだろうが主人公は違う。よく見慣れた光景に自分の未来を悟る。

真っ暗な状態で1分といういつもの精神修行を終え、心が穏やかなまま納屋を出て食堂に向かう。

今度はスキップなどせずに、無心の状態で駆け足程度である。

いっさい浮かれずただ時間までに着くそれだけだ。


 今度は油断せずに進み食堂に着くことができた。誰かが言っていた、食事とは食べに行くまでの過程が重要なのではない食べれることが重要なのだと。

なんと素晴らしい言葉だと心に噛み締めながら食堂に入っていく、するとマリーちゃんがいた。


「シード! 遅かったじゃない、なにかあったの」


「いや、途中まで来てたんだが、野暮用で納屋まで戻ってたから遅れちまったよ。まだ飯あるか?」


「まだ時間は大丈夫だからいっぱいあるわよ。それにシード用に準備しておいてあげたから感謝しなさい」


「そうなのか! ありがとなマリーちゃん」


「ふふふ、じゃあ取ってくるわね」


 そう言ってマリーちゃんがボールみたいな大きい容器とそれに刺さった黒いパンを持ってきてくれた。

容器の中身はたっぷり注がれたマリーちゃんお手製のジャガイモ塩スープだ。


「こんなにいっぱいいいのか」


「シードだけの特別よ。でも残したら容赦しないから」


「おう。じゃあいただくな」


 今日は後ろに人が並び始めたので食堂の机で食べることにする。空いてる席を見つけ手を合わせて挨拶をして食べ始める。

食べていると隣の席についた人物に声をかけられた。


「お前さん、みたことねえな。新入りか?」


「はい、昨日からこの農場お世話になっております」


「そ、そうなのか。でもどこかに新入りが入った話なんて聞いてないな。仕事場はどこなんだ?」


 隣の人が聞いてくるが周りも話題がないのか、みんなこっちを気にしているようだ。


「場所ですか。ここから西にある荒野を耕してますよ。わかりますか?」


 そういうとなぜか周りがどよめく。隣の方が驚きながらも尋ねてきた。


「あんなとこ耕しているのか。お前さんなにかやったのか」


「なにもやってないはずですが。オッチ・・・いやこの農場の持ち主の方に紹介してもらいました。住む場所もそばにある納屋を貸してもらいました」


「ログさんがそんな酷いことするとは思えないんだが・・・」


 隣の方がなにか小さい声でぶつぶつ言っています。それよりジャガイモうまうま。


「そうだそれ、マリーの御嬢ちゃんにデカイ容器貰ってたがそれなんだ?」


「これですか? マリーちゃんが特別に用意してくれました。やさしい子ですねぇ」


「おお、そうなのか。中身はえぇと・・・・なんだと!?」


 隣の方が容器の中身を見て呆然としていました。他の方も容器の中を確認すると固まりました。どうしたんだろうか。


「どうしたんですか?」


「いやそれって塩のスープだよな。ジャガイモしか入ってない」


「そうですよ。美味しいですよねこれ」


「ハハハ、ソウダナ・・・用事思い出したから俺は先に行くわ」


「はい。お仕事頑張りましょう」


 そそくさと隣の方は食事を食べ終え去っていった。

周りの方々も「大量の塩スープとかやべえ」「あの荒野を耕させるとか」「セフィロ家にいったいなにしたんだ」「関わらないほうが身のためだな」とか喋ったあと手早く食べ去っていきました。

 休憩を早めに切り上げるなんて、皆さん仕事熱心なんだと感心してしまいました。さすが先輩方々は違うな、私も頑張らないとと気合を入れなおします。

そのあとスープは3杯ほどお替りしましたが、マリーちゃんは「さすがシードね」と食べっぷりを評価してくれました。周りの方はなぜか引いています。よくわからん。


 昼飯を食べ終わりマリーちゃんとも別れて納屋に戻って着ました。

必要なものはオッチャン揃えてくれたのでいいのですが、一人なので時間が掛かります。

脚立も持ってきてくれたので屋根に上り腐ってる箇所を見つけその板を外しそしてその板の大きさに新たな板を加工し取り付ける。そして塗料みたいなものがあったので塗っていきます。他も同じようなものです。

 後は余った木でベッドを製作します。といってもスノコに足が付いた程度の一品。それに納屋にあったボロボロの布を敷くと完成。さすがに床に寝るのはきつかったので満足です。


 荒野を耕しもせずこの木工作業だけで、3日も掛かってしまいましたが納屋の補修完了。

農家なのに大工仕事とは、やはり仕事とはたいへんであり楽しいものだなぁとしみじみ感じる主人公でした。

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