寒雷
寒雷の下に梢は凍え
雪の下に街は眠る
渦巻く良心は虚空に散り
私はいやに泣きたくなる
息と息とが混ざり合う中で
なぜこんなにも君が遠いのか
君は口の端に嘲弄を滲ませ
私の首に腕を絡ませる
耳を撃つ愛の一言が
これほど私を苦しめるとは
君と眠るこの部屋の中で
なぜこんなにも君が遠いのか
君は私を愛さない。私も君を愛してはいない。君はいつだって私を捨て去ることが出来る。そうして私は、それを堪らなく苦しく思う。
君が女だったなら。そう思えて仕方ない。けれどそれは行き場のない仮定でしかなく、君が誰であろうと私は引き寄せられるのだろう。猿は月に殺される。月は静かに私を見つめる。
闇の中、光で君を描いていく
君は感傷癖の私を嘲笑う
夢の中で君に笑われる時
私は何か落ち着く気持ちがする
君の中で眠るこの時に
なぜこんなにも君が遠いのか
窓の外で寒雷が響き
街は良心と共に凍え
私は君を抱き締めながら
確かな熱を感じている
その時にさえ、私には君が遠いのだ