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第1話 夜空の下で


全てを無くしたその先には


絶望しかないのならば


全てが満たされているその先には


幸福があるのだろうか


それは違う


同じ時は永遠に続くことはない


全てを無くした先が絶望なら


全てが満たされた先も絶望である


始まりの先が終わりのように


今がどんなに悪くても


今がどんなによくても


いずれ全てが絶望と終わる


生まれたからには死ぬのだ


しかし、終わりを絶望と考えず


始まりと考えいくつもの希望を残す事が


人生だと思う




ふと気づけば今になっていた

ふと気づけばそれは過去になっていた

ふと気づけば死んでいた


誰でもこんな一生は嫌だ。


最高の一生をすごしたいのが人間というものだろうが、最高という基準はいったいどこからが最高なのだろう。それは人によって違うだろうが、一つだけ言える事があるとすれば『結果はどうあれ自分の人生をしっかり生き抜けた事』が最高の一生であり最高の幸せである。




これは遥か昔の話。いったいどれくらい昔かっていうと数字では表せないくらい昔の話。地球が誕生する前、今の宇宙が誕生する前、それよりも昔の世界であった話さ。

その世界は、みんなが魔法を普通に使えたんだ。でもそのせいで世界は戦争を繰り返した。みんなが力を持ってるから争いが起こるんだ…。その疲れた世界を癒そうとしたバカがいるんだ。この話はそいつの最高の一生のお話しさ。



第1話 夜空の下で



魔法兵士養成学校…。昔から歴史的にも有名な名門学校としてその名をはせてきた養成所。俺はここの3856期生なんだけど、まぁ学校は楽しくないね、自分の名前で毎日馬鹿にされる。あ、俺の名前は 聖羽羅末子。きようら まつし って読むんだ。

俺の両親は俺が産まれてすぐに死んだらしい。まぁ今から18年ぐらい前は戦争真っ只中だったから仕方ないさ。自分の親でも顔がわからないし記憶もない。

するとやっぱり死んだ事に対して悲しめない。気がつくとこの学校で暮らしていて親代わりの校長先生を親として見てしまうからかなぁ。俺は正直その事に罪悪感を感じている。いつの日か本当の親に会いたくなるのかなぁ。本当の親の事を知りたくなる子供の気持ちがよくわからんね俺は。変わってるからだろうか。

多分、自分の中で本当の親を知った所でどうなる?という感情があるからだと思う。だって死んでるんだぜ?俺も生きてたら会いたくなってたと思う…。


末子はいつも1人になるとふとそんな事を考える。孤児として育った末子は本当の親に対する考えがこれでいいのかと。そしていつもこの考え事は『あー!答えが出ない!時間の無駄!』という答えが出て終わる。

しかし、末子の人生は始まったばかりである。まだ19歳の末子はそう自分に言い聞かせ、毎晩布団に入るのであった…



末子は布団に入り、上を見上げ静かに目を閉じた。

この学校には寮があり、およそ全体の6割が利用している。部屋は全て1人用でトイレ付きの狭い部屋である。風呂は共同でもちろん男女別々だ。

末子は部屋の奥、窓側に枕が来るようにベッドを設置している。眠れない夜に音楽を聞きながら夜空の星を見上げるのが大好きなのだ。

末子は閉じたまぶたをゆっくり開けた…。

「今日も眠れねぇな…」

だるそうに体を起こし、棚からCDを2、3枚適当に選び手に取る。

プレイヤーに選んだCDを入れ再生ボタンを押し、冷蔵庫の方にそそくさと歩いていき流れる音感にリズムを合わせながら冷蔵庫から水の入ったペットボトルを取りだしガブガブ飲む。

そのままベッドに行き横になり空を見上げた。

「あの光り輝く星は、自由なんだろうか…?」

ふと末子はそんな事を口走った。

「俺みたいに毎日つまらない事を繰り返すのに比べてあの星はただ光ってるだけ…。自由というより退屈なのかな…星って。」

また始まった。末子の悪い癖なのかもしれない。この答えのなかなかでない事を考えてしまうのは末子の悪い癖であるだろう。

「いや…自由とか退屈とか関係ない。あの星は生きてるんだ。頑張って光り輝き、自分は今ここで頑張って生きている、今を生き抜いているぞ!って俺達に励ますように光り輝いてんだ!きっとそうだ。あーすっきりした。」

末子の悪い癖その2である。それは答えを自分勝手に決めてしまう事だ。

自分の人生を自由に生き抜く上では大切になる事だろうが、末子は自分だけでなく他人の答えまでも自分で勝手に決めてしまう。それがきっかけで末子は友達が少ない。数字で書くと1人しかいない。

その友達は末子の数少ない理解者と呼ぶべきか、そいつも変わってるが、周りからは末子と絡むのだけは止めておけて言われてるらしい。

「にしても星が綺麗だなぁ…あいつ読んでみるかな。」

末子は壁を3回ノックした。



すると隣の部屋から壁越しに3回ノックの音が聞こえてきた。末子は入り口の方へ走りカギを開け、そのままベッドに戻った。ガチャリとドアが開き男が1人入って来た。

「よう、まつし。まだ起きてたなんて奇遇だな。」

この男は 一津尾(いづお) (ひかり)。末子の数少ない理解者であり、幼なじみでもある。

「おうおう光。早くこっち来いよ。空が綺麗だぜ。」

「まつし、まさかこんなん見せるために呼んだのか?」

光はCDプレイヤーの停止ボタンを押して末子の横にどかっと腰を落とした。

「わかってるよ。お前がこういう綺麗な景色とかに興味もたない野郎って事はな!」「てめぇ、喧嘩うってんのかぁ?」

「ハハッまぁ落ち着けよ。

なぁ光、お前…学校楽しいか?」

「!?」

急な質問に光は即答できなかった。

末子は続けた。

「正直に答えてみてくれ…。俺はまぁ孤児として育ったわけだ。親代わりの校長先生には感謝してるさ。でも今になって気付いたんだ。俺達、ただの戦争の道具として育てられてるんじゃねぇかって…」

この言葉に対し光は即答した。

「その通りだ。俺達は道具として育てられている。」

末子は立ち上がった。

「そんなん俺は嫌だぜ!光はいいのかよ!」

「バカ野郎!俺だって嫌さ!だから学校も楽しくないさ…。毎日戦闘の訓練なんて…遠回しに人殺しの練習さ…。」

光は横を向き悔しそうに歯をくいしばっていた。光はそのまま末子に質問した。

「なぁ、まつし…。なんで急にそんな事を俺に聞いたんだ?」

末子は空を指差した。

「あの星だよ!」

「?」

光も空を見上げた。

「あの星がさっき教えてくれたんだ。輝け…って。だから俺は決めたんだ…」

「何をだよ…?」

末子は胸を張り光を見下ろしながら言い放った。

「この学校を脱走して、戦争を終わらす!」

「…………はぁ?」完全に滑った空気を星は空から静かに見守っていた…



第1話 夜空の下で




どうもプーちゃんです(´∀`*)

『聖羽羅末子の一生』を読んで下さった方どうもありがとうございます。これからどんどん書いていく所存ですのでどんどん応援してくれる事を祈っております(`・ω・´)



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