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おとぎ話のむだ話  作者: 高野聖泉
桃にまつわるエトセトラ
2/12

おじいさんニート説


 こっから会話形式です。


「なーなー、アリカさん」


「何かしら、橋里」


「桃太郎って変な話だよな」


「事前に閑話休題していなかったなら、流石の私もついていけない見事な話題転換ね。で、突然どうしたというのかしら」


「だってさ、桃太郎ってさ、桃からうまれたから桃太郎なんしょ?」


「そうね」


「ありえなくね?」


「貴方が具体的に何に対してあり得ないと言っているのか今いち分からないのだけれど、敢えて言うなら……ま、そうね。あり得ないわね」


「それにもし桃太郎が桃から産まれたなら、おばあさんが桃を切った時にいっしょに半分になっちゃうんじゃね?」


「そうね。そのお婆さんが余程刀剣の扱いに長けているか、或いはメメタァできる程度に波紋が使いこなせなければ不可能な所業ね」


「じゃあやっぱ桃太郎っておかしな話だよな」


「ええ、おかしな話だわ」


「だから俺たちで桃太郎を作り直そうぜ!」


「ああ、これまたおかしな話だわ。どうしてそこから作り直すという方向へ思考がシフトするのかしら。何より、何故そこに私が含まれているの」


「だってアリカさんだって桃太郎は変だって思ってるって言ったじゃん。だったら仲間じゃん」


「今日ほど自分の不用意な発言を後悔した日はないわ。口は災いの門とはよく言ったものね」


「じゃあ早速やってみようぜ!」


「人の話を聞きなさい。けれど……ま、いいわ。仕方がないから付き合ってあげる。どうせ貴方一人だけではさっさと破綻してしまうことは目に見えているのだから。じゃ、始めなさい」


「あいよ!えっと…………アレ、桃太郎ってどんな話だったっけ?」


「いくら何でもさっさと破綻し過ぎじゃないかしら。まさかスタート地点が崩壊済みだとは、さしもの私も予想の埒外だったわ」


「たしか……おじいさんとおばあさんがいて」


「あら、何よ。分かっているじゃない」


「おばあさんは山へしばかりに、おばあさんは川へ洗たくに行ったんだっけ?」


「とりあえずお爺さんに職を与えなさい。それと橋里、どうせ間違えているだろうから言うのだけれども、芝刈りではなく柴刈りよ」


「え、どう違うんだ?」


「漢字が違うわ。サッカーのグラウンドに生えている植物などを指す『芝』と、かつて焚き付けの燃料などに利用された山の雑木を指す『柴』。貴方が考えていたのは前者の、つまりサッカーのグラウンドの方の芝ね」


「へー、じゃあサッカーってスゲー昔からあったんだな」


「私の説明した時間を返しなさい。と、言うよりも、橋里、貴方桃太郎の物語についてどのくらい把握しているのかしら」


「ぶっちゃけよくわかんね!」


「本当に貴方の潔さは一級品ね。大事になさい。で、それはそれとして、よくそれで桃太郎に物申そうと思い至ったものだわ。やはり度胸のずば抜けた人間はやることが違うのかしら。でも多分、桃太郎も貴方みたいな人にとやかく言われたくはなかったでしょうね」


「えっと……結局どうする?」


「貴方に進行を任せたら船頭が一人でも山に登りそうだから、とても不本意ではあるのだけれども、私が話を進めるわ。異論はないわね」


「色んな胃はね?」


「私が悪かったわ。言い直すと、私が桃太郎のストーリーを語るから、橋里がおかしいと感じるところがあったら言いなさい。それを最終的に私がまとめるわ。不満はあるかしら。それ以前に、私の言ったこと分かったかしら」


「わかった!」


「そ。で、不満かしら」


「不満じゃねえ!」


「貴方の潔さに、逆に私が不安だわ」


「んじゃ気をとり直してやってみようぜ!」


「気を取り直すのは私なのだけれど、いいわ。これ以上言っても時間の無駄みたいだから始めるわね」


「お願いします!」



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