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103 is white 〜love is put from that world〜


愛は凄い。

ホントに。



◎◎◎◎◎love is where?



シィン………。



キィ。


『……………。』


キョロキョロ。



『…………よし。』

「よしじゃねぇよ!」



部屋の明かりがつく。

カーテンも全開にされ、朝の光が一気に流れ込んできた。


その先には、パジャマ姿で仁王立ちしている青年と、戸口に向かってダッシュで逃げようとしている黒タイツが。


「おいコラ待てやぁ!!!!」


そういって青年は、見事な飛び蹴りをくらわせた。蝶のように舞、蜂のように刺す。



『ぐべぼっ!!!……み、見逃してください、私には病気の女房と7人の双子が……』

そんな嘘はもちろん信じてもらえず、青年に捕まる黒タイツ。嗚呼、惨め。


「んな見えすいた嘘誰がかかるかぁ!!お前は第一独身真っ只中だろがぁ!!!」

『いぎゃああああ!!!!!』


哀れ黒タイツ。





「…ったく、あの人もいつになったら懲りるんだ?」

あの人というのは、もちろん黒タイツのこと。

名前は吉岡さんというのだが、どぉーも泥棒癖があるらしく。

毎度毎度こうやって俺の部屋に忍び込んでる。

しかも必ず朝。泥棒業って夜するんじゃないのか?

ちなみに俺の名前は斐川尚之。

東京に上京し、いろいろあってこのオンボロアパート《冬月荘》の202号室に住んでいる。

初めはこの華の都東京に希望を抱いていた。

…そうさっ!!!俺の胸には夢と希望で満ち溢れていたさ!!!なのにここの住人ときたらシュワちゃんあり泥棒あり鬼と悪魔があり…



「誰が何だって?」

「のぉわっ!!!?そ、蒼馬…。」

俺の背後にいつの間にか立っていた、黒髪の美少年(らしい)

こいつこそが、《悪魔》もとい俺の隣人の七式蒼馬だ。


こいつは見た目は優等生で、どこか物欝気な雰囲気をかもしだしてる。だが、


「てか蒼馬君。ここ俺の部屋なんだけど…何で普通に菓子食ってんだよ。それに菓子だって俺のだし、しかも」

ドゴゥッッ!!!

壁に刺さる鉄パイプ。

「文句、ある?ミジンコレベルの考え方しかないホニュウ類。」

「……………。」

ゆっくり首を横に振る。

それを見て、ご満悦に黒い笑みを浮かべる蒼馬。



この通り、物凄い俺さま気質で他人にも普通に鉄パイプを投げるような高校生君なんです。

人は見た目によりません。


そしてこいつの兄弟で、もう一人。

「くおらぁぁぁ!!!どぉぉこいきやがったあのバカ馬ぁぁ!!!」

……来たよ。金髪の《鬼》が。

バッコォォン!!!

蹴り倒された、部屋のドア。

あぁ、俺の部屋なのに……。

「おい蒼馬!!てっめぇ俺の靴にガビョウ入れやがったろ!!」

「おいおい言い掛かりはよしてくれ。いったい何を根拠に俺がそんなアホ臭いことを。」

「わざわざ部屋の中まで他人が入るかぁぁ!!!!」


カーンッ。

ドンガラガッシャン!!!

ラウンド・1。

今怒鳴りながらドアを破壊したこの金髪男。こいつこそが、《鬼》である七式紅平だ。

風貌からして不良、言動からみても不良、喧嘩っ早い所を含めて不良。不良オブ不良な高校生だ。

しかも、全てが正反対な七式蒼馬と一卵性の双子らしいのだ。ミステリー。

んで、こいつら仲が悪い。


「死にさらせぇぃ!!」

ガキィン!!!

「ほら、紅平こそ神からお迎えが来てるよ。さぁ、天国なんて滅多に行けるものじゃないし、一度くらい行ってみなって。そして二度と戻ってくるな。」

バッキィィ!!!!


ま、こんな風に毎朝必ず外でK-1並の死闘を繰り広げている。

しかし神の助け、この滅茶苦茶な住人の中で唯一まともっぽい人が出てきた。


「斐川さん?」

「はっ、はいっ!」

「カレー余ったので、よろしかったら差上げようと思ったのですが……ドア、どうしたんです?」

「ハハ、七式兄弟にやられまして……」


そう、この白いスカートに身を包んだけなげな通い妻(違)こそ、103号室の住人、まともなお方、綾部ナコさんだ。

「んでも、いっつも悪いですね。ナコさんから貰ってばっかで。」

「いいんですよ。どうせ私も一人暮らしで、食べきれなくて困っていたんです。逆にこちらの方が助かっていますよ。」

ナコさんは、近くの専門学校に通っている学生さんらしい。

吉岡さん事件の後、挨拶回りに行った時に意気投合し今では、夕飯を貰う仲にまで発展している。


そういえば。ナコさんに会ってから、残りの部屋にいってない。

………ま、いっか☆


ーAM11:00―

「ん………。」


寒い。

今の季節は春、ぐらいだと思うのだが。

風が強く吹いている、これのせいか………。


俺はまだ、重いまぶたを開けることが出来なかった。


「(確か、あの後ナコさんに部屋に来ないかって言われて。部屋で一緒に昼飯食べて、それで……)」


それで、どうしたんだっけ?

どうやらうっかり寝てしまったみたいだが、酒とか飲んでない筈なのにどうして………。

てか、マジ寒い。

なんでだ?さっきから部屋の温度が下がる一方のような気がする。

風だけでこんなに寒くなるはずないのに……。

俺は、起きて部屋がどうなってるか確かめようとした。

が、まぶたが開かない。

体も動かないのだ。

何かに縛られてるという感覚はない。

体がゆうことをきかないのだ。まるで睡眠薬を飲んだ時のような気だるさで……………



「(睡眠薬、まさかな。)」


俺は有り得ぬだろう予感を立ちきった。

いくらなんでも、あの人がそんなことするわけないな。


そんなことより、この部屋から出ねば。

考えてる間にも、部屋の温度は下がっていく。


「(くっそ…体が…)」


ヤバイ。

ホントに意識が遠のいてきた。

俺は、勢いつけて体を起こしてみた。

(ガバッッ!!)

「……なんだここ?」

俺のいる場所は一応部屋だった。

だが、電気も付いてない、窓も閉めきってある。

それに何故か、クーラーがついている。さっきの風はこれから出てた物のようだ。

しかも設定温度が19度。……起きてなかったら死んでたな。

ん?でも何で俺はこんな部屋に?ナコさんの部屋にいたんじゃ?


「また、失敗した………」


扉の方から聞き慣れた声。

「な、ナコさん。」

俺はナコさんのもとへ行こうとした。

けれど、ナコさんの様子がおかしい。部屋に入ったまま、うつ向いたままだ。


「ナコさん?ナーコーさーん?」


いくら呼び掛けても返答がない。

そういえば、【また、失敗した】ってどうゆう…………


「ンガァァァァァァァァァァ!!!!!!!!」


いきなり、いきなりだ。

悪魔が地の果てから復活したような奇声、いや殺声を発し、彼女は台所の出刃包丁を持って俺に襲いかかってきた。

「(いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)」

声にならぬ悲鳴を上げながら、向かってきた包丁をしっかり両手で挟んでいた。人間やればなんでも出来る。


「ちょっ…ちょっと待て!!待て待てストップ!!!たんま!!どうしたんですかナコさん!!」「どうもしてないわ。

「いや、してる!」

「斐川さん、私、斐川さんのことずっと前から好きだったんです。」


ハイ?今、好きっていったんだよな。

…ダメだ!!!こんなバイオレンスな状況じゃ素直に喜べない!!むしろ逆に怖いぞ!!なんかありそうな予感が!!


「斐川さん。だから、あの、私と……心中してください!」

予感的中ぅぅぅ!!意味分からん!そこ普通付き合って下さいだろう!

そうこうしている内に、包丁は俺の目の前1cmまで距離を縮める。


「ま、待て!落ち着け!」

「落ち着いてます

「なら包丁置け!!!今すぐ置け!!!」


渋々包丁を置き、ナコさんはペタリと座り込んだ。すると、いきなり泣き出した。今さっきの鬼の様な形相は、そこにはなかった。


「何でよぅ…グスッ…何で死んでくれないのよぅ…心中こそ究極の愛の形じゃなぃ…」

「ナコさん……それはどうかと。まず告ってすぐに、心中てのは愛なんてないでしょう。」

「私はあるわ!」

「俺は無いです。」

心中が究極の愛。

いつの時代の考えだよそれ……。でも、また失敗てことは前科ありってことか。幸い死者も出てなかった。

て。俺が最初の犠牲者になってたかもしんなかったな。



「……グスッ、じゃあ、」

「じゃあ?」

「じゃあ、斐川さんが私を本気で愛してくれたら、死んでくれるんですよね!」

「え?」


ヤバイ。彼女の瞳に輝きが戻ってきている。瞳の中には、心中の二文字。



「わかりました!私、斐川さんが私のことを愛するように頑張ります!そして、絶対心中させます!待っててください!じゃあ!」


(バタン)


やっぱり、こういう展開か。

待っててください。告白がこんなに恐怖に感じたことは生まれて初めてだ。



俺、斐川尚之の今後の課題。

綾部ナコに惚れないこと。






「そういえば、ナコさん出てったけどここは誰の部屋なんだ?」


ー202 斐川ー


…で、電気代がっ!!!

今回は愛と死をもとに書いてみました。無駄に長くなってしまいましたが。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!m(_ _)m

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