【エッセイ】御朱印集めの第一歩目
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今回は、ふとした思いつきから「御朱印集め」を始めようとした作者の、ちょっぴりドタバタな初挑戦を描いた実録エッセイとなります。
気楽にクスッと笑っていただけたら嬉しいです。
僕はある日、新聞の記事を見てピンと来た。
そこに載っていたのは御朱印だった。
僕は集めるのが好きな性分で、小学生時代には生き物のフィギュアを集めたこともある。
それに僕はロケ番組が好きでよく見るのだが、そうした番組では決まって寺社仏閣に寄ることが多く、神社や寺に興味があった。そこで僕は御朱印集めを始めることにした。
(御朱印集めを始めれば、駐車場から寺社仏閣まで歩くことになるから健康にも良い。それにご利益で運気が上がれば一石二鳥だ。)
という、邪な考えもあったが、行為自体こそ罰は当たるまい。
そこで早速、大手通販で御朱印帳を購入した。
続くか分からないし、僕の貧乏性が出て安いのを探していたら、女性をターゲットにしたような水色をあしらった御朱印帳があった。中は渋い御朱印が埋め尽くされるので、ギャップがあっていいかと気に入って購入した。
最初は家から一番近い神社に向かうことにした。季節は初夏を迎え、もう不要不急の外出はするなよと最終通告を受けるような時期だった。猛暑の中でも仕事をされている方には心から敬意を申し上げたい。
僕はネットで調べて賽銭と初穂料の相場である300円と御朱印帳を持ち、100円ショップで買ったクマ鈴を鞄に付けて車で向かった。
最近はクマのニュースが多く、住んでいる市でもクマのニュースは引っ切り無しに入ってくる。怖さはないのかと聞かれたら、怖いに決まっている。だから、クマ鈴を買って携行して行く。
僕は神社の中腹の駐車場に止めて、参拝に向かう。途中、大きな蜂に出迎えられて慌てたが、刺されて断念……なんてことにならず、一安心した。
無事に参拝を済ませて、御神籤を引く。
(そういや、今年は正月の初詣には体調が悪くて来られなかったな……。)
と回顧して、引いた御神籤を持って車に帰った。
車に戻って御神籤を開くと「小吉」……。僕は過去に引いた時、「吉」か「末吉」しか出なかったから、
(今年はこれまでよりは良い年になるのかな。)
なんて、胸が躍った。
そして、御朱印を貰いに社務所へ向かった。
勿論、地方の神社なので巫女さんが授与所の窓口に鎮座している訳ではない。
ここからは神主さんに書いてもらえるか交渉が必要だ。
胸が高鳴ると共に緊張してくる。
社務所へ着き、ドアを開けると誰もいない。ドアには鍵はかかっていなかった。
「すみません…!」
「すみませーん!」
「すいませんーー!」
どんどん声を上げて呼び出す。
この調子で10回ほど声を掛けてみただろうか。一向に誰からの反応もない。
色んな言い方をしてみた。
「すみませーんー!」
「あのーすみません!」……
なんだか何度も謝っているようで言うのをやめた。
初夏独特の蒸し暑さと少し恥ずかしさもあり頬は紅潮していたと思う。汗もしたたり落ちる。
(諦めて帰るか……。幸先の悪いスタートだったな。)
と思って帰ろうと社務所を出ると、一台の車が入ってきた。
その主は社務所へと入って行こうとしたので、勇気を出して声を掛けてみた。
「すみません!御朱印が欲しいのですが。」
「あ、御朱印ね。」
少しぶっきらぼうだが、神主さんで間違いなかったみたいで胸をなで下ろす。
後で、
(失礼だったかな……。)
と思ったが、先に納める金額を聞くと、
「うちはお気持ちでやらしてもらっています。」
と、仰った。僕は持っていた300円を握りしめながら、御朱印帳を開いて渡し、御朱印を書いてもらった。かなり達筆で満足だった。
御朱印帳を受け取り、300円を納めると神主さんは足早に去っていったので、大きめの声で、
「ありがとうございました!」
と伝えた。
帰ってから御神籤を読みながら「小吉」ってどのくらい良いのかなと調べるとなんと、大吉、吉、中吉に次ぐ4番目だった。しかし、諸説あるようで大吉、中吉の次に良い説も見つかったのでそれを信じることにした。(繰り返しになりますが、諸説あります。)
中身は「脇目もふらず動け」といった内容が書いてあった。
なんだか今の僕に最も必要な言葉に感じられて心に突き刺さった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
無事に素敵な御朱印をいただけて本当に良かったです(社務所で呼び続けるシーンは少しドキドキしてしまいますね笑)。
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長編連載『売れないっ!』も毎日絶賛連載中です!
こちらのエッセイとはまた一味違う熱いヒューマン小説となっておりますので、ぜひ作者マイページよりチェックしてみてくださいね!
【注釈・補足】
※本作は、投稿サイト「note」にて先行して掲載されたエッセイ作品をベースに投稿しております。
※連載小説『売れないっ!』を執筆している作者・橋本紘のリアルな日常をお届けしています。




