古着屋アップル 第4話 短編版
掲載日:2026/05/17
水曜の朝、詩は久しぶりに紺のPコートで登校した。
古着を着ていた数日間、自分に向けられていた視線がなくなり、少しだけ胸がさみしくなる。
塾では自然と決まった席に座り、視界の端に見える湊の横顔が気になって勉強どころではない。
ふと見ると、彩葉がピンクのリップをつけていた。
家に帰ると、古着のコートを見つめながらため息。
今日は湊と話せなかった。
一緒に帰れたらいいのに、と思うけれど、断られたら怖い。
翌日、ママが熱を出し、詩は塾を休むことに。
カレーを作りながら、塾の様子を想像する。
彩葉が湊に話しかけているのかもしれない。
胸がちくりと痛む。
――これって、ヤキモチ?
その夜、パパから両親の馴れ初めを聞き、なんだか照れくさくなった。
一方、塾では詩の欠席を聞いた湊が心配していた。
彩葉は湊の視線をそらし、何を考えているのか分からない。
翌朝、ママは元気を取り戻し、詩は古着のコートを着て家を出た。
背中を押されるような気がした。
――今日こそ、少しだけ前に進める気がした。
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