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剣聖の時代の魔法使い  作者: あんはつ
サハラ迷宮異変編
6/13

5 英雄、集結

魔法には突然変異に似たものがある、それはこの世界では『固有魔法』という。

固有魔法は基礎魔法、派生魔法、常用魔法とは違い個人の魔核が独自に進化したことで現れる魔法である。

前回のあらすじ!

前回の最後の方を見ろ!

前回のあらすじ終わり!




日が落ち始め夕焼け空が広がる頃、カラスはほとんどの生徒が帰った時間に学園長からもらった元講義室に親友を集めた。


「それは本当なのか、カラス。」

ヨハネスは珍しく深刻な表情をしながら言った。


「こればっかりは本当だろうな、キルケまで言い出してしまったから言い切れる。『ダンジョンブレイク』が起きる。」


カラスが断言したあとティラナが言った。

「でも前回から五年しか経っていないじゃない、本来サハラ迷宮は小規模なダンジョンブレイクが多くても十年に一度だったのよ。」


「でも実際多くの占い師が起きると言っていて全員が今回のブレイクは大規模になると言っているんだ。もし予想が外れてもブレイクは確実、でもキルケさんの予想は今まで一回も外れたことがない、つまり五十年前が最後だった大規模ブレイクが起きるのは避けられないのじゃないか。」

ヨハネスがそういうとティラナは納得したような顔をした。


「それもそうね、私たちが今やるのは議論じゃなくて準備ね。」


全員が頷くと、カラスが続けて言った。

「今回は国王と闇の賢者メーディアから直々のご指名でのクエストだ。」


ヨハネスが不思議そうな顔をしながら言った。

「珍しい、今回は光の賢者じゃないんだな。」


「光の賢者は五年前のブレイクの後に代替りしたからな、今の光の賢者じゃまだこの規模のブレイクの統率は無理だと判断したんだろう。確か今の賢者の名前はレヴィだったかな、イカルイト家の者だったはずだ。」


「何気にこの代替りで回復の賢者以外みんな名家の人間になったのね。いや、数人はエルフの子も居たわね。」


ティラナがそういうとカラスは腕を組んで言った。

「そうだな、これでみんな4代目になった訳だが全体的に若いからな、どうなることやら。」


「そういえば今回は八賢者は何人来るんだ?」

ヨハネスがカラスに聞いた。


「それが話の続きだな、今回は全員来るらしい。」


カラスの話を聞いたヨハネスは驚いた顔をした。

「珍しい、てことはキルケとガイタスも来るのか。」


ティラナはヨハネスの方を向いて言った。

「それほど今回はやばいって事の裏付けになるわね。」


「じゃあ今回の集合はどうなるんだ?長くても一ヶ月後にはブレイクだろ?間に合うのかよ。」


ヨハネスがそう言うとカラスは即答した。

「一週間後だ。」


二人は驚いた顔をしてお互いを見つめ合うと、こちらに向き直して言った。

「流石に無理じゃないか。ここはパルゲノア大陸の北西にある学園だぞ、確かソロモンは南東部にいたろ。」


「大丈夫だ、あのバカやっと自分の固有魔法の使い方理解したっぽいからな。」



一週間後



カラス、ヨハネス、ティラナは嘔吐にある宮殿の前の大通りを歩いていた。


「すごい、あれが引退した伝説のパーティ、フィニックスの3人だ。」


「引退して3人とも母校の教師になったと聞いていたが今回のダンジョンブレイクにも参戦するのか。」


周りの話を聞いているとティラナが言った。

「懐かしいわね、前回の小規模のダンジョンブレイクの時は私たちまだ冒険者だったのよね。」


「懐かしいな、あの時は俺らはまだ名前は広まってなかったのにカラスが王様から注目されすぎてて召集されたんだよな。」


「うるせぇよ。」

カラスは笑いながら言った。

(懐かしいな、あの時も人数が多いと思ったが。)

カラス達は宮殿の中に入ると、そこには八賢者や王国騎士団、王国魔法兵団、数々の冒険者達の姿があった。

(こんな大人数は初めてだな。)

(驚いたな、三組しかいない特級冒険者パーティーが珍しく一組きてるじゃないか。)



周りのメディア達が一斉に写真とビデオを撮り始めた。

「あっ、来ました!引退した特級冒険者パーティーのフィニックスの3人です!」


ある冒険者達がこちらに気づくと、近寄ってきて話しかけた。

「久しいねフィニックスの面々、いや今は教師だったね名前で読んだほうがいいかな。」


「別にいいさ、うちらはそう言うの気にしない主義でやってきたからな。」


(こいつらは、クレイGフォースか。)

クレイGフォース、特級冒険者パーティーでカラス達のパーティー、フィニックスとは同期の関係。リーダーはジャズ・モンド彼の剣技はヨハネスにも見習ってほしいな、特にあの可憐さとか。


「ティラナさん!お、お久しぶり、、です。」


「久しぶりねリッチちゃん。」

リッチ・プーラ、こんなに小さいのにヨハネスと同等レベルの力がある、そりゃ特級パーティーで盾できるわな。


「リッチ、ちゃんとできたわね、えらいわよ。」


リッチは小さく、だがとても嬉しそうに頷いた。


今このリッチちゃんを褒めたお姉さんはフレス・ニーア、このお姉さんオーラはロウヒにも負けを取らない。ちなみにファンクラブのメンバーは僅差でロウヒの方が多い、後噂でフレスとロウヒは犬猿の仲とか。


「そういえばフレスさん、レスティ知りませんか?俺あいつと一回決闘したいんですけど。」


「ごめんねヨハネス君、彼今トレーニングしてるのよ。」


そう言うと遠くに大男が棍棒を振り回しているのが見えた。


あの大男はレスティ・エント、あの見た目で盾じゃない、まぁしゃあないあいつは棍棒の固有魔法だからな。てか棍棒の素振りしてるだけなのになんであんな音してんだろ、こわ。



「皆様、こちらにきていただいてもよろしいですか。」


「中継です、今フィニックスの3人とクレイGフォースの5人が臨時会議室へと入って行きました。」


中に入るとそこには丸い大きな机があり政府の要人、ダンジョンの最高管理人、そして八賢者がいた。


「この面々が揃うのは結構ひさしぶりだな、いつぶりだ?」

火の賢者ソロモン・ソフィア、魔導騎士で武器はリボルバー、リボルバーが主武装だから勘違いされがちだがこいつ一人いればこの星の海水はなくなる、らしい。


「確か、、、五年前じゃないですか。」

水の賢者キルケ・キエフ、水晶で戦う魔法使い、水魔法ももちろんトップクラスだが一番は固有魔法の予言だろう、あでもこの人魔力量もトップクラスだったよな、一番はどっちなんだろう。


「、、、やはりこの私は美しいな。」

風の賢者アロン・マニラ、何気に八賢者で杖で戦ってるのこの人だけ、それとこの人はエルフで、マニラ家の養子。

え、他に言う事?、、、ナルシルトぐらい。


「君も少し俺と筋トレしないか?」

土の賢者、パシエパ・ボストン、八賢者で武器なしで戦うのはこの人だけ、杖なしだが安定して上級魔法を使えるのはすごいと思う、でもこんな筋肉いるのかな。


「いえ、わたくしは機動力が命なので遠慮します。」

雷の賢者、ガイタス・ウルムチ、すっごいイケメンなイケメン、俺も惚れかけたことがある。レイピアで戦う魔法剣士、めっちゃ早い。


「でもガイタスちゃんちょっとは付けるべきよ、そのほうがかっこいいもの。」

回復の賢者、ロウヒ・ダルク、ぱっと見はお姉さん要素強いお姉さんだがただのビッチ、異常性癖である。


「レヴィ、ちゃんと眠れたか?」

闇の賢者、メーディア・モルドバ、ムチで戦う魔法騎士、この中で最年少のレヴィを面倒を見てるめっちゃ良い人、でも魔法といい武器といいそういうお嬢様にしか見えない。


「ちょっと緊張して、夜しか眠れませんでした、、、」

光の賢者、レヴィ・イカルイト、見た目はロリだけどちゃんと大人、こんなに可愛くて清楚で天然、めっちゃさせてあげたい。でもこの見た目でハンマーで戦う魔法騎士。



「全員集まったようですね。」

臨時会議室の横にある扉から一人の女性と二人の護衛らしきもの達が入ってくると、女性がこの部屋で一番豪勢な玉座と言える場所に座った。

その王がくるとその部屋にいた全員は立って敬意を示した。

王が少し手を挙げると全員は椅子に座り王へと向いた。

「皆さんとこうして顔を合わせるのは初めてですね、私は大変嬉しく思います。」

王は少しだけニコッと笑った。


第24代ソビリア王国女王、チェリーナ・パラケル。この世界での超大国ソビリア王国では代々男たちがその『王』と言う立場を継いできた、なぜならそれは圧倒的な力が必要な立場であるからである。それは実績ではなく、一見するだけでわかるだろう。


「今回皆さんに集まっていただいた事にまずは感謝をさせてください。」

そう言うと女王は頭を少し下げた。


「チェリーナ様、そんなことはおやめください。」

メーディアは驚きながらいった。


理由は言わずともここにいる全員が分かる、この世で一番の権力者がいくら自分たちのような力を持つものといえど、歴史でこのようなことは今前なかったからである。


カラスは気難しいような顔をしながら言った。

「でも頭を下げたくなるのもわかる、今回このメンツの中から誰か死んでもおかしくない。」


全員が否定したい気持ちだった、だが今のを発言したのがカラスだろうが一般市民だろうが否定できなかった。


「チッ。」

ソロモンは舌打ちをした、否定したかったのがわかる。


「ここにはカラスとロウヒ、回復魔法のトップクラスの人間が二人もいるが、それでもなのか?」

メーディアが聞いた。


カラスは少し考えた後言った。

「十七年前のチョウコウ迷宮の大規模ブレイク、ここの半分程度の大きさの迷宮にも関わらず特級相当の騎士団、魔法兵団が多く死んだ、単純に考えればそれの二倍近い被害が出る、そしてこのダンジョンは世界最大級、あとは言わなくても分かるだろ。」


全員が深刻な顔をした。それもそうだ、腕の一本もげようが治せるものが二人だけではなく、一級冒険者などを含めると大勢いるのだ、それでもと言われればこうなるのも仕方がない。


「でも俺は誰も死なせる気じゃない、そのために全員をこの短期間で集めたんだ。」

カラスはそういうとキルケの方を見た。


キルケは小さく頷くと魔法石を取り出し、空中に迷宮の立体の地図が出てきた。

「カラスから頼まれて僕のところで発生の大体の場所と時間の目星はつけてきた。発生場所は最深部の第56層で今から二週間と三日後に起こるのがわかったよ。」


「ありがとうキルケ、それで俺たちは第56層のワープポイントから少し離れたここを防衛線にする。」


ガイタスが聞いた。

「防衛線はそこだけなのかい?あまりにも少なくはないか。」


「防衛するだけなら第54層でやった方が良いがそれじゃ55層と56層にモンスターを自由にさせてしまう、そこでモンスターが最終進化でもされたらさらにこっちがしんどくなる、ならまだ発生して間もない成長段階で潰すのが妥当だろう。」


「なるほど、ありがとう続けてくれ。」


「作戦は簡単、と言うよりそれしかない、『守れ』。」


「、、、えっそれだけなんですか?」

レヴィが驚いた。


「それしかできないと言った方が適切だな。」

パシエパが言った。

「変に作ってもいざ戦いが始まると全体を動かす作戦はできない、そこを守るので精一杯になるからな。それに今回は守る範囲が広い、カラスが守りに有利な場所を選んだがそれでも200メートル近い防衛線だ、維持で精一杯だろう。」


「正直作戦はこれだけ、これからは訓練と要塞の構築にかける予定だが、何か質問はあるか?」


レヴィが手を挙げたのを見て、カラスはどうぞと言った。

「作戦に重要なわけじゃないですけど、いいですか。」


「どうぞどうぞ。」


「なんだかこう言うのってそこの管理人さんとかメーディアさんが作戦を作ったり指揮したりするのかと思いました。」


「まぁ初見だとそうなるよな。」

ジャズが笑って言った。


「レヴィ、理由は簡単なのよ。」

メーディアがそう言うとレヴィは息を呑んだ。

「それはここにいる全員、こいつにボコボコにされてるからこいつなら大丈夫だと言う謎の信頼感よ。」

ここにいた八賢者と冒険者、ヨハネスとティラナがうなずいた。

「そ、そんなにお強いのですか、じゃあなぜ八賢者にならないんですか。」


「それは見てれば分かるわよ。」


「メーディアさんレヴィは今気になります!」


「じゃあ後で教えてやるよ、俺はやりたいことがあるから、じゃ。」

そう言うとカラスは部屋から出ていった。


「なんだかカラスさんってかなり変わってますね。」


「それが良いとこじゃねーの?」

ヨハネスがそう言った。


「なるほど、、、」

レヴィは少しポカンとしていた。

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