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剣聖の時代の魔法使い  作者: あんはつ
ただいま学園編
3/13

2 ハンデなんて気にしない

一般的に障がいと聞くとどんなものを想像するだろうか、体の一部がなかったり脳の機能が他の人と比べて違っていたり、他にもいろいろなものがこの世にはあるがそんなところが一般的だろう。


では、魔法がある世界だとどうなるのだろうか。

目が覚めるとそこには豪勢な天井が鎮座していた。

「おっ、目が覚めたな。」


「ヨハネス、どれくらい寝ていた?てかここどこだ。」


「今回はそんなだったぞ、一時間半とかだ。あとここはお前のこれからの家、学園から近いから保健室じゃなくてこっちに持ってきたんだ、よかったろ。」


「ああ、それでいいよ、ありがとう。てか一時間半か、結構寝てしまったな。」

そういうとカラスは身を起こした。


「仕方ないだろうお前は魔力障害があるんだから、魔力を多く使うことをやるとこうなるのは当たり前、昔は五時間とかもあったんだから、もっと聖水飲んだり衣服などに魔力込めとけって、ティラナが言ってたぞ。」


「そうだな、前はしっかり込めていたから多少無茶してもいけたんだが、最近は忙しかったからな、また時間見つけてやるか。」


「まぁ俺は剣しかできないからな、なんかあったらティラナに頼れよ、あいつ前よりもっとすごくなったんだぜ。」

「それと、お目覚めな所悪いが次のお客さんだ。」


ヨハネスがそう言うと部屋の扉が開き、リガが入ってきた。

「カラス先生、今日は申し訳ございませんでした。」

リガはそう言うと深く頭を下げた。


「いや、何も君悪い所なかったでしょ、と言うかよく魔力制御やり遂げたんだからMVPクラスでしょ。」


「いえ、私は先生ということを知らず無礼な態度をとってしまったことと、私の不手際を先生に助けられてしまったことです。」


「いやまぁ初めましてなんだから別にとやかくいうつもりはないんだけど、あれは君のせいじゃないでしょ、ティラナから説明されなかったの?」


カラスが言うと、ヨハネスが説明した。

「ティラナのやつ、違法呪物持ってたあいつの尋問と呪物の解析で研究所に篭りっきりらしいぞ。」


カラスはよくあいつら教師をやっていけれたなと思い頭を抱えたが、すぐにリガに説明をした。

「あれはリガ君は悪くない、対戦相手のあの子が違法呪物を使い、君の魔法式を破壊したんだ、厳密に言うと破壊したら魔法は発動されないから大量に魔力を流し続ける式と、風魔法を使用可能ではあるけど制御がきなないレベルにまで変換するのが入る信号を君の杖に入れたんだ、でも安心していいよ君の式は治しておいたから。」


「そうだったんですね、ありがとうございます。でも杖の修理までしてもらって。」


「いいよいいよ、君は生徒で俺は教師、そう言う関係だから。」


「まぁリガ気にすんなよ、カラスはずっとこんな感じだからこれ以上やっても無駄だから。」


「ヨハネスお前が言うのはなんか気に食わないが事実だからな許してやろう。」


「カラス先生、一つ質問してもよろしいでしょうか。」


「いいよ。」


「外から聞こえてしまったのですが、先生は魔力障害をお持ちなのですか、先生はあんなにもお強いのにまさか魔力障害を持っているとは思えなくて。」



魔力障害、この言葉には聞き慣れた、入学試験とか就活とか初対面の相手との会話とかでこの言葉を俺が口にすると驚かれる、それと同時に失望される。

当たり前かもしれない、この歴史上多く存在する魔法使いでも珍しい『回復魔法』の適性を持つ者での特級魔法を扱える者だからだ。


物心ついたあたりだった、俺が魔法というものについてのめり込んで行ったのは、魔法省で働いていた父親から「お前は魔法使いの可能性がある」と言われたからだ、一般市民から魔法使いが生まれるのは珍しいわけではないが稀であるから、俺も少し嬉しいような気持ちがあったんだと思う、そして当時父親から一冊の魔法に関しての本をもらった。


魔法が飛躍的に進歩したのは貴族たちが魔法を一つのファッションとして使っていた時代から約200年前の解放戦争によって一般市民にも魔法というものが世界的に浸透してきたあたりからである、そしてこの進歩の第一人者となったのは解放戦争の英雄であり最初で最後の大賢者、ニコラス・ダルクの研究によるもので、200年近くたった今でも魔法の常識というものは彼によって作られた。魔法使いは適性のある基礎魔法と基礎魔法に関連のある派生魔法、魔力さえあれば使える常用魔法などの数多くの魔法は彼によって作られるか発見された。


これもその本で知ったことだが魔法の適性を知るには『目』を見ればわかる、例えば火の適性があるものは赤く燃えるような模様が現れたりする、ほとんどは目視では分かりずらいから聖水を適量使い本人の魔力を増やし模様を濃くしたり魔石などを使い調べたりするのが一般的なのだが、名家などの血筋的に濃い魔法使いの血が流れる一族や、俺のような一般市民でも目視ではっきりと見えるほどに模様が浮かび上がることがあるらしい。だがそれを見ることができるのは1歳〜6歳と言われているが、俺は違かった。


5歳の時に病院で医師からある障がいを宣告された、それが『魔力障害』だった、簡単に言えば基礎的な魔力量が同年代や同階級の奴より圧倒的に少ない事だ。これが意味しているのは俺が魔法使いになっても成功するのが難しい事と、そもそもの適性の模様が表れる可能性すらあやしい事だ。

魔力とは心臓や脳のような臓器ではなく、魂のように実態はないが実在はしている「魔核」によって作られている、それが人体の成長につれてだんだんと魔核も成長していき、それができる場所は人それぞれだが多くの場合は血液によって魔力が目へと送られ、その人の魔力の波長が「適性」として表れる。つまりそもそもの魔力が少ないと魔核から魔力が血液によって目に送られる事がなく発見が遅れる、もしくは魔核があるのに適性が現れない可能性すらあるという事。

そのせいで結局俺の適性がわかったのは8歳の頃だった、魔法使いとは適性がわかると日常的に10級からの基礎魔法から使い続け、うまくいけば12、13歳から魔法学校に入学するのが一般的な流れなのに俺には他人より魔法を練習できる期間が短ければ総合魔力量が少ないせいで一日の練習時間も少なかった。それだけじゃなかった、俺の適性魔法は回復魔法だった。魔法には強さがある、それぞれに適材適所はあるが上から順に一位が闇と光、二位が雷、三位が土、四位が火、水、風、そして最後の五位が回復、なぜ回復がそんなにも弱いと言われているかというと、回復魔法はそもそもの難易度がかなり高く、一つ覚えるのにかなりの時間がかかるため高等魔法に挑戦し始めれるのがかなりの時間がかかる、それともう一つ、土、雷、回復の魔法は左から順に火、水、風の魔法に対して微量の適性を持つ、だから土の適性があると簡易的な火魔法は習得可能という事だが、それを主武装にすることはできないためみんな基本の適性を持つ魔法を主武装として行く。


結論は俺はただでさえ魔法使いとしてはハズレ枠の回復魔法の適性を持つものとして生まれただけでかなり魔法使いとしては負け組であるのに関わらず、魔力障害によってさらにクソということ、なんかここまできたら少し笑えてくるよ。



「失望した?」


カラスは唐突にそんなことを口にすると、リガは驚きを隠せないまま言葉を口にした。

「し、失望だなんてそんなことありません!カラス先生は私の人生の恩人です、そんなこと考えもしません。」


「本心を言ってみてよ、それであーだこーだいうつもりはないからさ。」


リガは少し考え、心を落ち着かせてから話し始めた。

「がっかりとかそういう感情より驚きが勝ちました、最初にこの部屋に来た時にはまだカラス先生は眠ってらっしゃたのですが、その時ヨハネス先生が静かにといいながらまぶたを軽く上げました、起きないかと心配になりましたがすぐに驚きに変わりました、たった一時間前に魔力切れで眠っていたのにとても大きな回復魔法の模様が現れているのをみて驚きました、その魔力は聖水によるものだというのがすぐに分かりましたが回復魔法の適性の人があんなに高度な事ができるのかという事、さらに先ほど外で聞いた魔力障害でとてつもなく魔法の鍛錬を行われてきたのだろうということに驚きました。」


カラスはそれを聞くと微笑んだ

「俺はずっとそういう感想を他人に抱かせるために頑張ってきたんだ、俺は魔法使いとして最もと言っても過言じゃないほどのハンデを持った状態で、他の魔法使いよりも強くなったらみんな驚くだろう、俺は子供の時からそれを目指してずっと頑張ってきたんだ、だからそう言ってもらえてすごく嬉しいよ。ありがとう。」


リガはとても安心した顔でこういった。

「はい、こちらこそありがとうございます。」

リガはそういうと深く頭を下げ、部屋を後にしていった。


ヨハネスはリガを見送ると、こちらに話しかけた。

「鍛錬は怠ってなかったんだな、あの話してただけでもかなり魔力が回復してる、剣士がわかるレベルで回復してるってどうなってんだお前。」


「努力の成果だよ。」

俺は諦めなかった、他の魔法使いは順調なのに俺は他のやつの何倍も努力してやっと追いつける、それが気に入らなかった、だから見返してやりたかったんだ、俺の先を歩いてやってる奴らをこっちはダッシュで追い抜かしてやりたかったんだ。

だから色々やった、医療用の聖水を毎日飲み続けることで無理やり魔力量を増やしたり、魔力量が少ないなら回復量を増やして練習できる時間を増やしてやろうという考えでそういう練習をしたり、数えきれないことをやった。

父さんも母さんもそれを応援してくれた、だから今の俺がいる。


オプティモス学園に異端児として入学し、決闘を挑んできた奴らを全員ボコボコにしてやって、在学中に実績を大量に残して卒業とともにヨハネスとティラナと一緒に冒険者となった、そこでは金銀財宝と名誉を大量に獲得した、遊んで暮らせるほどに。でも俺ら3人はなんというか変人なのがその時に確信した、だって二人は卒業して4年で母校の教師に、俺は二人と別れた後2年フリーターしながらやりたい事とかやり残したことやって結局ここにいる、なんか運命みたいだな、子供の頃からの目標も果たしたのに。

「そうだヨハネス、俺魔力の回復で腹減ったからどっか飯屋行かせてくれ。」


「まだ昼飯食って三食目行くにはまだ時間早いぞ、まぁ俺もお前待ってる間に鍛錬とかしてたから腹減ってんだよな、行くか!」


二人はそういうと部屋を後にし、街へと行った。

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