1 お久しぶりです学園
この世界には魔法がある、火・水・風・土・雷・回復・闇・光の基礎魔法が存在する、火・水・風の三大基礎魔法、三大基礎魔法の適性を少し持つ土・水・回復の六大魔法、土の適性を持つ闇、雷の適性を持つ光、この世界の魔法は今現在解明されているだけでも複雑に絡み合い、それぞれが機能しあっている。
「よし、これで終わりだよカラス君、いや、カラス先生お疲れ様だね。」
学園長が書類を確認しそう言った。
「疲れた、教師はみんなこんなことやっているのなら効率悪すぎないですか。」
ソファに背を大きく掛けながらそう言った。
「いや、普通ならこう言うのは政府がやってくれるけどそれは新卒が増えるシーズンだけだからね、今は春だけどシーズンは過ぎてしまったからね、短期とかだったらまた話は変わったんだけど仕方がないね。」
学園長が言い終わるとちょうど良いタイミングで部屋の扉が開き、ヨハネスとティラナが入って来た。
「おっ、良いタイミングで来たっぽいな、お疲れさん。」
「カラス、悪いけどまだやる事あるからついて来て。」
「えぇ、まだあるのかよ。」
「別に書類にサイン書けとかじゃないからさっさと来いよ、ほら。」
言われるがままについていくと、職員室についた。
「あ〜なるほどそうか教師だから俺の席はここにできるのか。」
「カラスのデスクはなんとなんと、、、ここです!」
ヨハネスが指した先は後ろにはティラナ、右にヨハネスという俺のためだけにあるかのような場所だった。
「、、、なんで的確にここだけ空いてるんだよおかしくないか。」
「そう言われてもここが空いてたんだもの、仕方ないわよねヨハネス。」
「そうだぞ。一応勘違いされそうだから先に言っておくが俺らがここに無理やりしたとかないからな、本当に単なる偶然だぞ。」
「本当だかね。」
カラスが怪しみながら言うとティラナが言った。
「まぁこれはどうでも良い話で、こっち説明しとくね、必要なものとかは一応ここにあるからね。」
(やっとちゃんとしたこといったな。)
カラスがそう思った後ヨハネスが時計を見て言った。
「俺ら何やかんや移動とかでもう昼になっちまったな、じゃあ食堂行くか!」
「食堂か懐かしいな、学生の時は世話になったな、って、教師って食堂で飯食ってたか?」
カラスがそう言うとティラナが言った。
「それは単純な話よ、私たちこの学校出た後冒険者になってやりたいとこまで行って私とヨハネスがこの学校に教師として戻って来たのって4年後でしょ、なんか学生気分抜けきれないのとあと普通に学食がうますぎるのよね。」
「しょうがないよな、俺ら冒険者の時ずっとカラスが飯作ってたから俺らここしかなかったもんな。」
ヨハネスが頷きながら言ったが、自炊しろよとカラスは思った。
「まぁ良いんだよそんな話、さっさと行こうぜ。」
三人が歩いていると、一人の赤髪の少女がこちらに駆け足で来た。
「先生達ー今日もラブラブしt、、、誰?!ティラナ先生浮気?!」
「だったら俺がいるのおかしいだろって、説明するぜ!こいつが俺らの親友であるカラスだ!今日から学園で教師をするぞ!」
二人が俺を真ん中にして紹介すると、少し恥ずかしくなって二人の頭を軽く叩いた。
二人がしゃがんでいる間にまた金髪の少女と金髪の少年がこちらに来た。
「先生達ー今日もラブラブしt、、、誰?!浮気現場?!」
少女がデジャブなことを言うと少年が言った。
「ナイア少しは真面目なことを言ったらどうですか。」
「説明するぜ!こいt」
説明し切る前にもう一度頭を軽く叩いた。
このままだと埒が開かない気がしたため自分ですることにした。
「初めまして、俺の名前はカラス・フラメル、このバカどもの親友で今日からここで教師をすることになったんだ、よろしくね。」
説明すると三人は反対をむいて小声で話しだした。
「カラス・フラメルって確か学園を主席で卒業した人よね。」
「そんなので説明し切れる人じゃないですよチュニス、学園在籍時に新しい汎用魔法式を7つ見つけて他にも数えきれないほどに魔法界に貢献したバケm、、、天才ですよ!」
(聞こえてるんだよなぁ)
「そうだぞそうだぞ俺らのカラスはすごいんだぞ。」
ヨハネスは頷きながら言った。
(なんでお前が嬉しがってるんだよおかしいだろ、あとお前らのじゃねーよ。)
カラスが困惑しているとティラナが言った。
「みんなとりあえず食堂いきましょうよ、そこで色々聞けば良いから。」
「は、初めまして、私はチュニス・ソフィアと言います。」
「私はナイア・ウルムチ!よろしくね先生!」
「ナイア初めましての人には敬語でしょう。姉がすみません、僕の名前はプラタ・ウルムチと言います。」
どうやら最初の赤髪はチュニス、後の金髪の少女と少年はナイアとプラタと言うらしい。
「驚いたな、名家の人間だったのか。」
チュニスが質問をした。
「カ、カラスさんって確か昔に妹を助けてくださいましたよね、ありがとうございます。」
ヨハネスが驚きながら言った。
「カラスいつの間にそんなことしていたんだよ。」
「お前とソフィアが新婚旅行していた頃じゃなかったかな。」
「「先生達本当に結婚してたの?!」」
チュニスとナイアが驚きながら言った。
「は?お前らこんな仲よさそうなのにそんなことも言ってなかったのか?」
「いつかは言おうと思っていたわよ、そうよねヨハネス。」
「いつかはな。」
俺は反射的に頭を抱えた。
「一個ずつ説明するぞ、こいつらは冒険者の時に結婚してな、やめた後に新婚旅行に行っていたんだ、俺はやめた後は一人で別の用事を済ましていたから実際に見てはいないが、まぁこいつら鳩で大量に手紙と写真送ってくるのなんの。」
「カラス先生は大変だったんですね。」
プラタが哀れみながら言った。
「わかってくれるかプラタ君、本当にこいつらは学園で出会った時から今まで本当に本当に酷いもんで。」
「まぁそれは良いんだ、チュニスさんの妹さんを助けたのはチュニス家の管轄の領地に行った時にたまたまだな、いやぁ助けれてよかった。」
「なんか私意外だったわ。」
チュニスが考えながら言った。
「先生達とかの話聞いてたらカラス先生ってもっとゴリゴリに強そうな見た目してるのかと思ったけど、全然そんなことなくて、どちらかといえば弱そうだもの。」
「そうなんだよな〜コイツぱっと見は雑魚そうなのに強いったらなんの。」
ヨハネスが言うとティラナも続けて言った。
「そういやもうすぐ学園祭よね、カラスあれやってよ。」
「あれ?」
「生徒対抗戦のセーフティよ、セーフティは強ければ強いほど良いからね。」
「あーまあいいよ、断る理由もないしね。」
話していると、食堂のすぐそばの庭が騒がしいのに気づいた。
「やばいぞ!リガが決闘するらしい。」
「あのリガが?!見逃せねぇ行くぞ!」
「リガ?」
カラスが聞くとティラナが答えた。
「リガ・マニラ、風の名家マニラ家の長男。そうだカラス、あんたセーフティして来なさいよ。」
「別に決闘にセーフティなんて言葉ないだろう。」
「細かいのは良いのよ、とにかくなんかあった時ようによ。」
「俺らも行くぞ。」
食堂を出ると人混みができており、かき分けていくと中央あたりに二人が見合って立っているのがわかった。
「リガ、今度こそ決着をつけてやるよ。」
「つけるも何も君いつも僕に負けっぱなしだろう、まぁいいさ、これで僕の記録が伸びるからね。」
ナイアが言った。
「左にいるのがリガ、右のあいつにいっつも決闘挑まれてるけどいっつもリガが勝ってる、いつになったら諦めるのかな。」
「まぁこんなやったんですから何かしら秘策的なのはあるんでしょう。」
プラタが見つめながら言った。
審判の生徒が合図をすると、リガが風魔法を発動すると相手はすかさず結界魔法を発動した。
(さすがは学園の生徒だな、両方無詠唱なのに質のいい魔法を発動する。)
リガが杖をかざすと、相手から謎の魔力の流れをカラスは感じ取った。
「まずい。」
カラスがそう言うとリガの杖から赤黒い火花が散った。
「なんだこれ、制御が効かない!」
リガが強く杖を握りしめたが杖からは大量の魔力が流れ出し、風魔法が暴走しているのが目に見てわかった。
「これってやばいやつじゃないの。」
ナイアが風に押されないよう抵抗しながらいった。
カラスは杖を出しながら数歩前に出た。
「カラス先生!危ないって!」
「大丈夫よチュニス。」
「ティラナ先生いくら信頼しててもこれはダメじゃないの。」
「見てればわかるわよ、カラスの強さが。」
(リガ君は想像以上の子だな、暴走状態なのにできる範囲での魔力制御と魔法式を書き換えを行っている。)
「リガ君聞こえるかい。」
「誰ですかあなた!危ないです離れてください。」
(驚いたこの制御は結構精神的にくるのに他人をしっかり気遣いができる、こんな逸材を今ここでおわらせない。)
「俺が君の魔法式を変換する、君は魔力制御に集中してくれ。」
(何を言っているんだあの人は、もう魔法式が存在していないほど崩れたこれを直しようがない、それに他人の魔法式をいじるなんて常人の技じゃない。)
「いいですから離れt、、、」
(いや待て、なんだこれ、放出されている魔力が整い出してきた、あの人まさか本当に魔法式を、まさか、本人ですら直せないものを家族でも親友でもない他人が何故?今はそんなのを考えている時間じゃない、あの人の言う通り魔力制御に集中しよう。)
しばらく経つと魔法式は完全に戻り、魔力も漏れ出さなくなった。
「よか、、った、、、」
そう言うとリガは膝から崩れた。
「リガさん!」
「大丈夫だプラタ、魔力を一気に放出し過ぎたんだ、これを飲めば大丈夫。」
カラスはそういうと懐から小さな瓶を取り出し、リガに飲ませた。
「念の為保健室に連れて行ったほうがいい、ヨハネス頼んだ。」
「おうよ。」
「さて、これでリガ君は大丈夫だ。」
カラスは応急処置を済ますと、リガの対戦相手の方に近づき、問い詰めた。
「君のそのブレスレット、どこで手に入れた。」
「こ、これは母さんがデパートで買ってきてくれたんだ。」
カラスは胸ぐらを掴みさらに問いただした。
「三級相当の呪物がデパートにある訳ないだろう、どこで手に入れた。」
「カラス!」
ティラナがそう言うとカラスは冷静さを取り戻し、ゆっくりと地面に置いた。
「後はこっちでなんとかするから、休んでなさい。」
「そうだな、、悪、、い、、、」
カラスは言い切る前に眠りに入った。
「カラスったら魔力総量他の人より驚くほど少ないのよ、だからさっきすんなり聖水出してリガ君に飲ませてたでしょ。」
「なんかカラス先生って色々意外ね。」
チュニスがそうぼそっと言った。
「そうね、色々と。」
カラスの顔はどこか清々しかった。




