11 決戦(3) 決戦
魔石とは便利なものである、料理の火を出せて水道の水も出せる、ドライヤーのように風を出せる。他にも色々出来るが、一歩間違えるとそれは絶滅戦争を引き起こすことも出来るのだ。
七月二十八日、二週間と三日で建てられたとは思えないほどに鉄壁にできた要塞は今までで一番の活気を見せていた。
「それはここに置いてくれ、おい待てお前はここのをあっちに持っていくんだ。」
「これここに置いておきますね。」
「ありがとう、まったこれをあそこに頼む。」
ダンジョン内が決戦に備えて騒がしくなっている中、司令部に一人の男が入ってきた。
「あっ、カラスさんおはようございます。」
「おまようレヴィ、早起きだね。」
「レヴィは早寝早起きを心がけているので!」
本人は一言もそんな事は言っていないのだが、えっへんと言っているような気がした。
「おはようカラス。」
「おはようヨハネス、パートナーはいないんだな。」
「ティラナからの伝言だ、最深部あたりに来てほしいってよ。」
「そうか、わかった。」
「あら、意外と早かったわね。」
「どうせお前が夜通しこれの解析をしてるんじゃないかと思ってな、結果を聞くために早起きしたんだ。」
二人の前にはティラナが見つけた魔法式があった。
「この魔法式でわかったことがあるの。」
そう言うとティラナはカラスの耳元で囁いた。
そのティラナの言葉を聞くとカラスは目を大きく見開き、少しの間に考えをまとめた。
「ありがとう、これで不安要素が消え去った。」
カラスは急足でその場を離れようとした。
「待って、私はどっちに入ればいい?」
「そうだな、俺は先に行っているからヨハネスとソロモンとキルケを連れて一緒に来てくれ。」
「わかったわ。」
「ジャズ!いるか!」
「いるよ、どうしたんだい君が焦るなんて珍しいね。」
「予定が変わったんだ、ここの総指揮はメーディアに任せる。俺は数人を連れて54層に行く、メーディアにも詳しいことを伝えたいがどこにいるかわかるか?」
「今彼女は用事があるから僕から伝えるよ。」
「わかった。おそらくここに出てくるのは本隊の連中ではあるがこれはおそらく陽動、これで俺らを倒す予定ではあるだろうが本来の目的はおそらく別でそれがおそらく54層の別働隊だろうと言う結論になった。」
「ちょっと待って、君たちの考えを疑うわけじゃないけど魔族がそっちに行くと言うことかい?」
「おそらくな、ティラナがあの魔法式は少数の魔物を上に送るのであろうという考えらしい。」
「らしいって、、これはこの国の運命が結構かかってるんだけど適当だね。」
「適当かもしれんが、それでも俺はあいつを信じるさ。」
ジャズはそれを聞くと安心するように笑った。
「OKしっかり伝えるよ、時間がないのだろう急ぎな。」
「頼んだ。」
カラスはワープポイントを使うと二層上の第54層に向かった。
54層に着くとしっかりとティラナ達が来ているのを確認した。
「集まってるな。」
「そりゃあそう指揮官様のご命令ですから。」
「ソロモンそれじゃカラスは嫌味と受け取るぜ。」
「あら、ヨハネスも結構こう言うのしてるじゃない、人のこと言えないわよ。」
「みんなよくそんなに雑談できるね、見なよカラスのあの顔。」
「キルケだけだよ俺のこの焦りを感じ取ってくれるのは。」
「そんなに焦ってもやることは正直もう無いわよ、説明も全部しちゃったし。」
「どうせカラスがなんかやるって言ったってヨォ、俺らはどうせカラスの介護だろ?」
「ソロモンこれが終わったらたっぷり矯正してやるから覚悟してろよ。」
「ヒュー、カラスさんはこえぇなぁ。」
ソロモンが茶化す中、ヨハネスが聞いた。
「なぁ、俺ら今から魔族とやるわけだろ?それなのに5人で行けるのか?」
「僕もそう思いましたが、カラスさんの決断なので僕はあんまり気にして無いです。」
「キルケはやっぱ俺の味方だなぁ。」
「何よ私たちは違うみたいな言い方。」
「そうは言ってないじゃないか。」
「まぁまぁお前ら、そう言ってるうちに敵さんどもは準備が出来たみたいだぜ。」
ソロモンがそういうと下層から地響きと轟音が聞こえてきた。
「おりゃぁ!」
リッチは自身の前にいる魔獣を盾で吹き飛ばした。
「すごいですねあの盾を持った人、レヴィと同じような年齢に見えるの日すごい力、、、」
「レヴィさんは僕達を見るのは初めてですか?」
「えっあっごめんなさい私冒険者の人と一緒に仕事をするのは初めてだったんです。」
「別に怒ってませんよ。」
ジャズはレヴィと会話としつつ前方の敵に対して軽く剣を振り上げると斬撃が遠くに行くほど大きくなり、敵を薙ぎ払った。
「皆さん本当にお強いですね。」
ジャズは軽く笑う。
「これでも特級ですから。」
「はぁはぁ、ダンジョンブレイクってこんなのなのか。」
「お前ダンジョンブレイクは初めてか?」
「あぁ。」
「なら災難だったな、初っ端がこれだと冒険者を辞めたくなる。」
「え?」
「これはたった1ウェーブ目だからな。」
「もっと砲弾を打ち込め!前線の奴らに楽をさせないと負けるのは俺たちだ!」
一人の女が警備のついたテントの中に入っていった。
「報告!ただいま2ウェーブ目が終了、負傷者0。砲弾長殿からの伝言で、計画通り遂行可能。とのこと。」
「ありがとう、下がっていいわ。」
女はテントから出ていった。
「はぁ、結局私がこの仕事をすることになるなんて。レヴィの隣に居たかったわ、でも仕方が無いか。」
「面倒なのは私が買ってやったんだから、しっかりやっつけなさいよ、カラス。」
カラス達の前方には3人の魔族と複数の魔物がいた。
1「驚いた、我々の動きを察知出来るものが今の時代にいるとはな。」
ソロモンはじっくりと見つめた。
「ヘェ〜あれが魔族ねぇ、俺は魔人と会ったことがあるがなかなか似ているってのは確かだな。」
「まぁ確かに似ているな、殺意以外は。」
1「我々をあの臆病者と比較してほしくないですね。」
2「そうだそうだ!僕らはあいつらとは核からして違うんだ。」
3「そう言うな、人というのはこういう生き物なのだろう。」
「お前らも、俺たちと同じ人類に分類されるんだけどな。」
カラスがそういうと二人目の魔族がカラスに向かって勢いよく手を向けると雷魔法を眉間に向かって素早く発動したがカラスはそれを軽く避けると、後方の岩が一瞬で爆発した。
2「あはっ、すごいすごい!君今のを避けれるんだ!面白いなぁ、ねぇゾデス僕あいつと戦いたい!」
1「ムーア、作戦通りに行くと最初に言いましたよね。」
3「まぁいいじゃないか、どうせ全員やればそれで終わりじゃないか。」
「ゾーダまで、、、わかりました、しっかりやりなさいよ。」
「ティラナとヨハネスはゾデスとかいうやつを、ソロモンはゾーダの相手、俺はあのガキをやる。キルケはソロモンと俺の支援を頼む。」
全員が頷いた。
「さぁ魔族、俺を楽しませてくれよ。」
「さぁ人間、我を楽しませよ。」
少し前
メーディア「大賢者様は私たちの前にそんな簡単に姿を見せてよろしいのですか?」
ニコラス「あぁ、それはね。」
メーディアはゴクリ吐息を飲んだ。
「ただ単にお話ししたくなったから。」
メーディアはずっこけた。
「いや誰でもいいんじゃないよ、賢者とカラス御一行だけだからね。」
「そ、そうなんですね。」




