10 決戦(2) 日常
常用魔法はモノだけを見ると便利だがそこまでではない。
常用魔法には有名どころだと収納魔法と結界魔法、支援魔法があるがなぜこれらが常用魔法と言われるかは圧倒的な使い所と使用時間の長さである。だがこれらは消費魔力は他のと比べれば圧倒的に低いが長時間発動するためデメリットもある。例えば収納魔法は一生発動しないといけないと不便ではないがその方が便利なためみんなずっと発動するが、これは消費魔力によって収納量が変わる、例えば普通の魔法使いなら適正量は7Lほどが適正だと言われているがこれを少しでも増えると何かしらが一定時間で適正量まで消えていくというデメリットがある、そのためこの魔法に大事なものを入れるものは多くない。え?別に気にしていればそこまでじゃないって?そりゃもっとあるとも、適正量超えてなくても何か消えていたりとか、カラスを見てみるとカラスは魔力総量が多くないため実際に入るのは3Lもないとかがある。正直これ以上のちっさいデメリットがあるから魔法使いはこれを穴の空いたポケットだと思って使っているくらいで、本当に大事なものを運ぶときは一個しか入れないとかだからよくわかるだろう。これは収納魔法ではなく常用魔法全てに言えることなのだ。
(どしようかな右手でレヴィを抱えてて、もう片方でこの馬鹿を引きずっているから扉を開けられないなぁ、よし。)
「たのもー。」
カラスはそう言うとメーディア達のいる部屋の扉を蹴った。
メーディアは白目を剥いたレヴィを片手で持ち上げているカラスを見て紅茶をおくと静かに激怒し、ヨハネスとティラナはこちらを慈悲の目で見つめてきた。
「カーラースー、なぜレヴィをそんなのになったのか聞かせていただけますよね?」
「よしメーディア落ち着けこのままだと全面戦争が始まってしまうぞ待ちたまえ。」
「そうだメーディアカラスの言うように一回待ってカラスの隣を見てみろ。」
ヨハネスの言葉を聞いたメーディアはカラスの左手を見た。
「え、誰それ。」
「ごめんなさいねメーディアちゃんおじさんが驚かせる気はなかったんだけどこうなっちゃった。」
「ねぇカラスなんでこんなおじさんをここに連れて来たのよ。」
「確かにこんなおじさんだがレヴィを気絶させたのはこのクソじじ、、、ゲフンゲフン、この大賢者だからな。」
メーディアはカラスの言葉を聞くと鼻で笑った。
「カラス、大賢者が生きているわけないでしょう。あなた疲れているんじゃないの?」
「失礼だなこの後輩は、ほれ見ろ!」
そう言うとニコライは自身の手から光・闇・回復の魔法を同時発動してみせた。
メーディアはそれを見た瞬間デジャブのように倒れかけたがヨハネスのファインプレーで頭を叩き気絶させなかった。
「あ、危なかったわ、目の前に英雄が現れた反動で気絶しちゃった。」
それを聞いたニコライはカラスに聞いた。
「なぁカラス、俺が最後に復活した2年前ってこんなことなかったよね、俺って時代の変化でそんなに誇張されてるのか?」
「まぁ多少はあるがお前が前会ったのはティラナとヨハネスだろ、こいつらは肝座ってるからあんま当てにしない方がいいぞ。」
「おいおいカラス、俺とティラナに対しての風評被害じゃないか?」
「そうよそうよ、私たちはあんたのバケモンぶりのせいでこうなったのよ責任をとって金よこしなさい。」
「話が飛躍しすぎだろ。」
カラスがそういうと3人は笑った。
その様子を見ていたニコライが情報量に驚いているメーディアを見て言った。
「なぁメーディアさんだっけか、君って四代目の闇の賢者だよね。」
「えっあっはいそうです大賢者様、私は四代目 闇の賢者のメーディア・モルドバです。」
「モルドバ家の子なんだ、へぇ似てるね。」
「似てるとは一体何とでしょうか?」
「初代の子にだよ。」
その言葉を聞いたメーディアは先ほどのわけがわからなくなった顔から一気に真面目になった。
「あいつはねぇモルドバ家の名前を一気に広めたすごいやつだったからね、今でもそう言うところを尊敬してるけど他にも尊敬してるとこがあってね、彼誰にでも優しいんだよ。生物なら何にでもね。」
メーディアはそれを聞くと嬉しそうに笑った。
「君もその感じがする、きっといい魔法使いになれる。いや、いい人になれるよ。」
「ありがとうございます。」
「うぅ。」
ふと見るとレヴィが目を覚ました。
「お、白雪姫が起きたぞ。」
「ヨハネス別に白雪姫は別に寝てばっかじゃないんだぞ。」
「でもあれ寝てから本番みたいな者じゃない、あぁ私も一回ぐらい白雪姫になってみたいわ。」
「らしいぞヨハネスやってやれよ。」
「やだよ俺なんでいちいちそんなのやらないといけないんだよ。」
レヴィは寝ぼけながら言った。
「レヴィは、寝ていたのですか?確か目の前に大賢者ニコラス様が幽霊となって出てきたところまでは覚えているのですが、、、」
「失礼だな俺は生きてるよ。」
「わー!お化けー!」
「違うってほら。」
そう言うとニコラスはレヴィの手を引っ張って自分の頬を触らせた。
「はぁっ!レヴィは今大賢者様のほっぺたを触っています。すごいです思っていたよりぷにぷにです!」
「そうだろう、こう言うところはこだわっているからな。」
レヴィとニコラスが話しているとメーディアがカラス達に話しかけた。
「ねぇあんたらなんで大賢者様と一緒にいるのよ。」
「メインで一緒にいるのはカラスだけだぞ、俺とティラナは一回だけあったけどそれはカラスがカミングアウトしてくれただけだからな。」
「親友なのに隠し事があるのは嫌だったからな。」
「カラスってそんな一面あったのね。ってそんなこと聞きに来たんじゃなくてなんであんたはなんで大賢者様といっしょなのよ!」
「あぁそれはなかくかくしかじかでな。」
「はぁ!?あんたが後継人の候補生!?でも冷静に考えたらそうね、あなたは魔法を理解しきれているからそのハンデがあってもその信じられない実力があるのよね。」
「わかってんじゃんかいいねメーディア。」
「、、、なんかあんたに名前呼ばれたらきもいわね。」
カラスは静かに傷ついた。
「まぁいいわ、カラスが来たのはレヴィを送ってくれたってことでいいのよね。」
「あ、あぁそうだぞ、俺のせいでもあるからな、責任を持って届けに来たんだ。」
「お礼を言うわ、ありがとう。」
「いいってことよ、ああそうだこれ渡しておくよ。」
そう言うとカラスは収納魔法から鞭を出した。
「えっ、もしかして作ってくれたの。」
「あぁ、いい素材を見つけたからな作ってみたんだ、使ってみてくれ。」
「えぇ絶対に使うわ、ありがとう。」
その笑顔は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「っ、そうかよかった、じゃあ俺用事あるからじゃあな。」
「なんだお前もう行くのか。」
「悪いなヨハネス、まぁティラナとお菓子食っとけよ。」
「当たり前だろ!」
「この二人は気に入らないけれどまぁありがとう、じゃあね。」
カラスは部屋を出ると、歩きながら考えていた。
(あいつ、あんな顔できたんだな。)
その時、メーディアはこう考えていた。
(カラスが私に作ってくれた、、、ふふっ嬉しい。)




