転生
私は気が付くと応接室のようなところに座っていた。
向かいには長机が置いてあり、そこに5人のスーツを着た男女が座っている。
なんか面接をしている気分である。
私が目を覚ましたことに気が付くと、5人が突然拍手を始めた。
「おめでとうございます!! この度、山田様は異世界転生者に選ばれました!!」
頭が追いつかない。しかし、異世界転生という言葉には聞き覚えがある。現世で事故にあった主人公が、反則的な特殊能力を手に入れて異世界に転生し活躍するという、正直子供じみた話である。まさか、自分がその当事者になるとは思いもしなかった。
「なんで私が選ばれたのですか?」
私が尋ねると中央に座っていた部長のような貫禄のある男性が答えた。
「それは私たちの上司である神が決定した事なので詳しくはわかりませんが、亡くなる際に強い後悔があった人間を優先的に選択しているということになっています。」
「転生したら何をすればよいのですか?」
「転生したからと言って、何かをしなければいけないわけではありません。新しい人生を謳歌してください。」
「異世界転生すると、何と言いますか、、特殊な能力を得るみたいなものがあると思うのですが、私には何か能力が与えられるのですか?」
その質問をすると、しんと静まり返った。しばらくして、一人が口を開いた。
「山田さん。あなたが生前何をやっていたか覚えていますか?
あなたは創値学会の広宣部に所属しているときに、組織にとって不都合という理由だけで何の罪もない人を30人ほど自殺に追いやっていますね。
そのような人間に特殊な能力が授かるとお思いでしょうか?」
私が何も口にできずにいると、他の一人が発言した。
「まぁ、そんな人間でも異世界に転生できるのだから感謝してください。」
中央にいる部長が腕時計を確認する素振りを見せ、締めの言葉に入った。
「それでは、これより山田伸二を異世界に転生する。神のご加護を。」
結果、私は無能力で異世界に転生することになった。




