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桃色の秘密

色がなけりゃ消えてしまう恋も、

まだ愛していようか。

いつかは消える火を今全て使おうか。

今日も拓也くんを見つめる。運動も勉強も何でもできる男の子。こんなの、恋しちゃう。

「なんか、梨花って最近神田のことずっと見てない?さっきの授業とか。」

「み、見てないよ!私と拓也くんがちょうど被る位置にいるからじゃない?!」

焦って言ってしまったのでもしかしたら気付かれるかも・・・!

「へぇー?怪しいですなぁ。」

「ゆ、結奈こそ。海飛くんにめっちゃ積極的に話してるじゃん!」

「いやいや、あれは委員会が忙しいの、最近。話したくて話してるわけないじゃん。海飛は好きな人いるしさ。」

「へぇー?怪しいですな。」

「真似すんなし。」


・放課後・

やっと授業が全て終わり、部活もないので早く帰れる。親友の結奈は部活があるので、今日は私一人で帰らないといけない。

そうやって歩いていると「秘密箱」と書かれた箱を見つけた。

紙に秘密を書いて箱に入れる。そうすると、その秘密を自由に操れるらしい。要するに無かったことにしたり、願いを叶えたりする事ができるのだと説明に書いてあった。

もしこれを使って拓也くんの心を振り向かせられたら、なんて想像する。

でもこんな子供騙しみたいなの信じたら馬鹿馬鹿しいよね。でも私は試してみたかった。心と奮闘の末、秘密箱を使うことにした。


・翌日・

「有田ー。」

拓也くんから呼ばれた。

「ちょっと昼屋上来て。」

なんだか嬉しかった。確定したわけではないけれど、これで告白をしないというパターンは稀だと考えたからだ。

「梨花ーさっき神田に呼ばれてたよね?!」

「うん。」

もう、結奈は観察力化け物なんだから。

「やっぱ恋とかそういうやつだよね。」

「そ、そんなんじゃないでしょ!どうせ、また仕事の話でしょ!」

「ねー梨花ぁ、顔赤いよ?」

「だってぇーー!」

完全にバレているのは分かっていたが、ここまで言われるとは思っていなかった。

「神田が梨花に告白かぁー。まあ両思いだしいいね!」

「もうそれ以上言わないで。恥ずかしいから。」


・昼・

「あのさ、ずっと前から有田のことかわいくて、優しくて好きって感情あって。そのよかったらお付き合いとかしませんか。」

「はい、勿論です。よろしくお願いします。」

あの秘密箱効力高すぎる。発展早すぎますよ。

「た、拓也くんはこういう恋愛経験とかあるの?」

「え、あ、付き合うとか?これが初めてかも。」

「そうなんだ。」

意外だ。拓也くんはこんなにかっこいい人だからもっと素敵な人と付き合ってたのかと思っていた。

しばらく沈黙して歩く。

「じゃあ、今日はありがとう。またね。」

「う、うん!ありがとう!拓也くんよろしくね。」

そして二人は教室に戻った。

そのあと何回か梨花に聞かれたが何となくごまかしておいた。付き合ったなんて今言ったら驚愕して椅子から転がり落ちるだろうから。


・数ヶ月後・

今年は大学受験を控えているので、私から拓也くんとは別れた。拓也くんも寂しそうではあったがお互いのためと言って割り切っていた。秘密箱にありがとうとお礼を言いたかったが、小さくて風にでも飛ばされたのだろう。見ることはなくなった。


ー数年たったある日

私は大学に通うようになった。大分前にK大を受験し、合格した。秘密箱のことはまだ覚えていてるが、拓也くんは本当に思い出の一部なので感謝は忘れかけている。

それに、今は田坂直人という人と交際中だ。

でも最近相手の重病が発覚し、以前のように同棲はできなくなった。


大学内では不幸が続いた。サークル内で怒られたり、遅刻が増えるなど高校の時がよっぽど良かったと。


・4月3日・

いつも通り、通学に電車を使う。そして駅で下車し、階段を上る。階段で後ろに転んでいくのが分かった。大きく転倒し、頭もぶつけた。私は頭に紙に書いてある文字が浮かんだ。「願いをかなえる代わりに、貴方に不幸が訪れます。」

「桃色の秘密」を書かせていただきました。恋心にまつわるお話ですね。皆さんは恋をしたことはありますか?とそれはさておき。「神田拓也」との恋を叶えるべく、「有田梨花」が秘密箱を使っていましたね。注意の「願いをかなえる代わりに、貴方に不幸が訪れます。」を理解していなかったせいで不幸故に命まで落としてしまったのですね。一つの恋心が招いた不幸と言えます。恋は甘くて幸せなはずのものなのに。そういう物語です。

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