リスタート
交通事故にあったことを覚えている。
死角のある青信号の交差点を、流れに沿って直進していたら、横から猛スピードで信号無視の車が突っ込んで来たんだと、今は理解している。
そのあとに意識を失って、気づいたらここにいた。
暗くて、狭くて、苦しい。
聞こえる音はくぐもっていて不鮮明だ。
ただどこか、懐かしい様な気はした。
もがこうにも上手くもがけず、言いようのない不安に支配される。
一方で、周りの壁のようなものが、しきりに私を押し出すように動いていることも感じられ、その動きに合わせる様に、なんとかはい出ようとする。もがけば少しずつ、自分の位置が変わっていっているらしい様子も窺える。
狭い中で体を動かし、恐らく出口だと思われる方向に、体の向きを変えたりしつつ、進んでいった。
どれくらいの時間そうしていたのか定かではないが、とても長い間そうしていたように思う。
そうしている内にやがて、明かりを感じた。
光は見えなかったが、確かに明るいと、感じられた。
体の圧迫感が頭からなくなっていき、聞こえる音もクリアになる。
そして目の前にある朧げな白黒の景色を見る。
そうして私は、再び生まれた。