機関車に叩きつけられるかわりに――
機関車に叩きつけられるかわりに身を巡らして、足からぶつかる。
真横に着地――さらに真横に飛び立つ――異星兵の頭に肘から突っ込む。
パルス――青い攻撃球がルカの左膝関節パーツを半分もいだが、相手は角がへこみ、大きな口が開いた。砕けた歯、噴き出す血が喉でごろごろ鳴っている。
制式拳銃を口に突っ込み、二度引き金を引く。
後頭部から飛び出した弾がレールに跳ね返って、ガラスが割れた。
ルカは立ち上がり、さらに二発、胸に撃ち込んだ。
波状攻撃。洪水。
超精密支援迫撃砲――爆発と一緒に前進する人間兵――第十三次オロモウツ操車場の戦い。
ルカも自分のライフルと戦闘用の山刀を拾って、前進する。
人間兵――折り重なる死体。異星兵――折り重なる死体。
燃える工場、潰れた客車。弾がぶつかる。
のけぞって、のけぞって、吐きそうになる。
体が戻って、撃ち返す。
異星語の毒つき。悲鳴。どす黒い脳漿と骨片。
弾倉を換え、敵の塹壕に飛び込む。
炸薬のにおい。敵の指揮官――下半身が焦げたクレーターのなかに消えている――焦げた臓物がナマコ板に飛び散っている。
地球人の腹からは絶対に見えない臓物。
塹壕の物置き――煙草、戦闘糧食、勲章、家族の写真――全て異星人のものだ。
〈任務更新:重機関銃陣地を制圧せよ〉
ドローン映像がルカの感覚にまとわりつく――ここから五百メートル。
走れ。
ジグザグの塹壕に死体が転がっている。顔がなくなった死体。
湾曲した剣が振り下ろされる。
ドローンの映像にない――ステルス迷彩。
左腕で防ぎ、刃が半ばで止まる――右手のアサルトライフルで剣士の腹部を吹き飛ばす。
ドローン映像が次の道を青い光の矢印で導く。その甘ったるい感覚。
重機関銃陣地には四人の異星兵――少年兵。ライフルに残った最後の一発を撃ち込み、大型ナイフを抜いて襲いかかる。
射撃手が泥の溝に落ちる。ルカの切り落とした首がその上に落ちる。
耳障りな叫び声。
少年兵がルカの腰にぶつかり、ルカはそれを逆さに持ち上げる。重機関銃の横に大きな箱――射撃援護用付随端末。
ぶつけて、拾って、ぶつけて、拾って――端末が爆発してガラスが吹き飛ぶ――ぶつけて、拾って――機械から流れ出た液体がルカと異星兵の皮膚を焼く。
最後のひとりがうずくまっている――震える。失禁している――投げたナイフで頭蓋を割った。
〈任務更新:退却援護〉
十三回目の失敗がルカの感覚に不快さを残す。
ルカのいる以外の全ての塹壕から異星兵が飛び出した――逃げる人間たちを追うために。