「それで僕がしたのはそのテロリストの口を塞いで、――
「それで僕がしたのはそのテロリストの口を塞いで、喉を切り裂いただけ。あとはあの子たちが全部きれいに片づけてくれたよ」
環境テロリストの〈キツネとブドウ〉版があらわれたこと、そのアジト、そして抹殺。
ユーラーは三人の機体をつけられるとすぐに結果を出した。
世のなかには命をかけて社会の闇を暴こうとするのだが、〈キツネとブドウ〉を暴いて出てくるのは最高幹部のうち四人が酔っ払いであるという嘘か本当か分からない真実だ。そして、その真実が世間に暴かれないよう、ユーラー率いる保安隊員が暗躍するというアホみたいな構図が出来上がっていた。
ちなみに外の人間からは〈キツネとブドウ〉は〈デシデリウム〉と呼ばれている。意味はラテン語で切望であり、キツネとブドウに切望をあてるあたり、かっこつけたものがいるのだろう。
「誰が〈キツネとブドウ〉なんて名前にしたんだ?」
「お前だろ」
「いや、違うよ。だって、名前の登録とかした覚えねえもん」
「わたしも知らんのですよ」
「まさか、幽霊とか」
「そんな話すんな。夜中にひとりでトイレにいけなくなっちゃうだろ」
「メアリーを借りればいい」
「おれのメアリーを邪な性的感情のこもった目で見るんじゃない」
「うわ、ハイスコアだ!」