そしてたまごの花火職人は夜空に打ち上がり、美しいコスモスの華を咲かせた
ヒュルルル――――――――ドッパーン!
冬の夜空に浮かぶ花火は美しい。
この町では雪景色と雪山があるため、花火が上がるたびに七色に輝いて映る。
幻想的な花火を打ち上げるのは、たまごの花火職人。
おいおい、たまごって事は、ド素人当然じゃないかって。
味噌漬けにされた熟成たまごのように、味わい深い色味を出せるのが、熟練のたまごの花火職人ってものだぜ。
玉屋って言いたいんだろうって?
フッ……青いな坊や。青色の輝きを出すために積み重ねた努力を知らずに、言葉だけを聞きかじったな。まったく青いおしりが隠せていないぜ。
おっといけねぇ、お喋りに花を咲かせている場合じゃないな。
今夜の冬の花火大会は御嬢が彼氏を連れて来ている。事件の解決に乗り出したと見せかけての、デートなのさ。
御嬢と彼氏と金星人のマヤと金魚人、それにジーコや黒いコスモスが金魚ビール片手に大盛りあがりしている。
真冬に花火と金魚とビールなんて風情がないなんて野暮は言っちゃいかんよ。
雪景色に澄んだ空気、美しく咲く大輪の花。鮮明さと美しさは冬の花火が上なのさ。
たまごの花火職人だと言葉がぶれていけねぇぜ。思わず、おいらって言っちまう。
なんだ、まだいたのか坊や。今ならロマンチストの黒いコスモスも手折るチャンスだぜ。
とっておきの花火をあげてやるから|告白よ。
どデカい花火の種に火をつけてやる。
ヒュルルル――――…
ドッカーン!!
特大花火は、今夜一番の高さで大きく咲く。派手に消え散るのもまた、告白という花火の醍醐味だ。
たまごの花火職人としては、坊やが夜空を彩るコスモスと、打上げ花火のコスモスと、言葉選びに気をつければ咲く花もあると思っているのさ。
「そのとっておきのはずの花火は、私が咲かせるタイミングを指示したはずだよね」
おっと、御嬢の目が三日月より細く刺すような視線になったぜ。
すまねぇ、坊や。たまごの花火職人が手助け出来るのはこれまでだ。
怒り狂った御嬢は、たまごの花火職人の私のおしりに火をつけた。こいつは不味い。
たまごの殻ごと焼くと、熱さで爆発する。御嬢の炎は電子レンジと同じだ。
私は慌てて花火の筒に逃げ込み、火薬に点火した。
花火には色の変わるものがあるのだよ、御嬢。
ヒュルルル――――……パァーン!
煙に紛れて入れ替わり、私の変わり身となったたまごの花火は、夜空に綺麗な黄金色のコスモスの花を咲かせた。
私は別の花火で宙に飛び、パラシュートで夜闇に消えた。
お読みいただき、ありがとうございました。この物語は、なろうラジオ大賞5の投稿作品となります。
青いおしりとひよこの殻と、表現に迷いましたが、文字数の都合で青いおしりに。
レンチンたまごで破裂を小ネタにするため、たまごが殻ごと焼かれるネタになりました。加熱により熱くなり過ぎるて破裂するのは、電子レンジと同じ模様。
爆散するものとして、悲しい被害の代表はレンチンたまごでしょうが、他にも薄かった封筒を突き破るレンチン銀杏、フタをするのを忘れたフライパンのポップコーン、自販機から勢いよく出てくるコーラの開栓時、シャンパンのコルクなど挙げると結構開封時も危険ですね。
応援、いいね、評価、ご感想等があればよろしくお願いします。