第9章: 一人きりの力と寂しさ
2023年11月5日、土曜日
深夜の静寂よ、私の唯一の聞き手よ。
ミドリアの惨劇から逃れ、私は次の町を目指して一人旅を続けている。道中、森の奥深くで野宿をすることになった。篝火を囲み、星空の下で夜を明かす。この状況は、以前なら冒険心を掻き立てられたものだが、今はただの寂しさが心を支配している。
今日は道中でモンスターに遭遇したが、以前とは違う。私の剣は確実にその生き物を倒し、私の動きは以前よりもずっと機敏であることを感じる。戦いの中で、私は確かに強くなっている。しかし、その強さが、今は何の慰めにもならない。
炎が揺らぐ中で、リナのことを思い出す。彼女がいたら、この静けさはどれほど心地よいものだったろうか。彼女の声があれば、この夜の静寂はどれほど温かく感じられたろうか。
孤独は、剣の傷よりも深い。勇者である私が、この旅の中で直面する最大の敵かもしれない。人々を救い、国を守るために戦う勇者が、こんなにも人の温もりを求めるとは皮肉なものだ。
夜風が篝火の炎を揺らし、影が踊る。私はその影を見て、一人ではないような気を紛らわせようとする。しかし、影は黙ったままで、私の寂しさには答えてくれない。
明日には新たな町に着くだろう。また新しい顔ぶれ、新しい声に出会える。だが、今宵は星々が私の唯一の仲間だ。
P.S. 明日は明日、新たな勇気を持って歩を進めよう。孤独を知ることで、人々との繋がりの大切さをより深く理解できるはずだ。
以上。