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第8章: ミドリアの悲劇

2023年11月4日、金曜日


日記よ、今日は重い心でペンを取る。


夜が明けたとき、ミドリアはもうなかった。魔族の奇襲により、一夜にして町は灰燼に帰した。炎が空高く舞い、叫び声が夜明けの静けさを引き裂いた。


リナも、あの優しい微笑みも、もうこの世にはない。彼女は最後まで人々を守ろうとしていた。その勇敢な姿は、私の網膜に焼き付いて離れない。


逃げる間もなく、私は剣を取り戦った。しかし、数の暴力には勝ち目がなく、次第に追い詰められていった。最終的に、生き延びるためには逃げるしかなかった。勇者としての義務を果たせず、ただの臆病者のように森へと逃げ込んだ。


私はどこかで道を見失った。勇者であることの意味、人間であることの重さ、そして生きることの痛み。全てが混ざり合い、心の中で渦を巻いている。


リナを思うと、心が痛む。彼女の死を、そして町の滅亡を防げなかった無力さが、私を苛む。勇者の剣を持つ手が震え、剣が重く感じられる。


今夜は、どうやって眠りにつけばいいのか分からない。明日、また太陽が昇るとしても、その光がこの心の闇を照らすことはないだろう。


P.S. リナ、そしてミドリアの人々へ。私の無力を許してほしい。あなたたちの記憶は、私の胸の中で永遠に生き続ける。


以上…

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