第4章: スライムとの初陣
2023年10月31日、月曜日
さて、日記よ、今日は私の勇者としての初めての戦いの話をしよう。
朝、夜が明けると同時に出発した。城の門をくぐり、見送る人々の声援を背に冒険が始まった。しかし、想像していた壮大な冒険とは裏腹に、最初の敵は…スライムだった。
そう、その通り、ただのスライム。緑色でぷるぷるしていて、なんとも言えず愛らしい…そんなやつだ。
勇者の剣を抜いた私が、この小さな生き物に苦戦するなんて、誰が想像しただろうか? 剣を振るうたびにスライムは分裂し、分裂するたびに数が増えていく。なんということだ、数学の授業で「分数」を習ったのはいつのことだったか。
戦いは意外と…というか、かなり手こずる。私の剣の腕は学校の体育の授業程度で、どうやらスライム相手にも通用しないらしい。ひとつ、ふたつと分裂するスライムの群れを前に、私は思わず「ここで立ち止まるわけにはいかない!」と叫んだ。
しかし、内心では「こんなはずでは…」と恥ずかしさと焦りが交差していた。あの勇壮な式典を思い出すと、なんとも言えない気持ちになる。王様、すみません、私、スライムに苦戦しています…
結局、剣ではなく、靴で押しつぶす戦法に切り替えた。そうしたら、なんとかスライムを退治することができた。ああ、勇者らしからぬ戦い方で恥ずかしい限りだが、戦いには勝った。勝ったが、戦いの後、靴はべとべとになってしまった。
今夜は、そのスライムに汚れた靴を見ながら、勇者としての自分について、少し考えてみよう。スライム一匹に苦戦する勇者など、聞いたことがないが、まあ、これも一つの経験だろう。
P.S. 明日はもう少しマシな戦いができるといいな。スライム、君には感謝している。おかげで私はまだ成長できる余地がたくさんあると知ったから。
以上!