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第18章: 船上での遭遇と突然の真実

2023年11月20日、日曜日


日記よ、海は広く、そして時には厳しい現実を投げかけてくる。


ついに始まった船旅。希望に胸を膨らませ、足取りも軽やかに船へと乗り込んだ。港を離れる船から、静かに後退する町の景色を眺めていたその時、予想外の再会が私を襲った。


甲板の隅、昨日私の財布を巧みに盗んだリナに瓜二つの少女がいた。彼女は一瞬、私の目と合わせ、そしてすぐさま視線を逸らした。その動きは昨日の彼女と同じだ。はっきりとした証拠はないが、心の奥底で確信していた。彼女が、私の財布を盗んだスリだ。


一瞬、怒りが湧き上がる。だが、その感情を抑え、冷静を保とうと努めた。なぜなら、船はすでに出航しており、どちらにしろ彼女とはしばらく同じ船上で過ごさざるを得ないのだから。


彼女は悪びれる様子もなく、船の端に座り、海を眺めていた。私は彼女の隣に静かに腰を下ろし、「なぜ、盗む?」とただ問いかけた。彼女は驚いたように私を見つめ、その後、瞳に映る海の色と同じ青さで満ちた目に涙を浮かべた。


彼女は話し始めた。彼女の話には、生きるための苦悩と、選択肢がないという絶望が含まれていた。私は黙って聞いた。そして、話が終わると、彼女は「ごめんなさい」と小さくつぶやき、盗んだ金の一部を返してきた。


それは失った全てではなかったが、彼女の後悔と反省が感じられるものだった。怒りよりも、彼女に対する哀れみが心を占めた。私たちはしばらく言葉なく海を見つめ、それぞれの思いに耽った。


P.S. この出会いが、この旅にどんな意味をもたらすのかはまだ分からない。しかし、一つ確かなことは、人生とは予期せぬ出来事の連続だということだ。そして、時には許しという形で、新たな始まりが訪れる。


以上。

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