『速記修行の功徳のこと』
今は昔、筑紫国に登坂の塞という塞の神がいらっしゃった。そのほこらに、速記修行者が泊まって寝た夜、夜中になったかと思うとき、多くの馬の足音がして、人も大勢やってきたかと思うと、塞の神はいらっしゃいますか、と尋ねる声がする。
ほこらに泊まっていた速記修行者は、不思議なことだと思いながらきいていたが、ほこらの中から、いるぞ、と答える声がする。速記修行者は、一層不思議なことだと思いながら聞いていると、あす、新入生歓迎会にいらっしゃいますか、と尋ねる声がして、いやそのようなつもりはありません、何かあるのですか、と答える。あす、邦文速記研究会の新入生歓迎会に、一年生がやってくるということで、幹事長、副幹事長、指導部長、企画幹事が勢ぞろいするのを御存じありませんか、と言うと、そのようなこと、聞いておりませんでした。お教えいただいてありがたいことです。どうして行かないなどということがあるでしょうか、必ず伺いましょう、と言うので、では、あすの昼前ごろです。必ずお越しください、お待ちしています、と言って帰っていった。
教訓:毎年新入生が入ってくるのが、何よりの喜びです。