④騙し札/欺術符/民生化技術/精術安定化回路
■精術武具は使用者との適性や習熟度が重要な意味を持つ。たとえ互いに熟知した間柄の人間の間で譲渡されたとしても、その精術武具の個々の特性に習熟する事ができなければ活用は難しいと言われている。これにより精術武具は盗んでも利用は困難だとされている。
■だが、高価で希少な精術武具を盗んだり不当に売買する行為は後をたたない。それ故に元の持ち主の精術的特性を再現し、精術武具に誤認させる意味の特殊な術符が開発されることとなった。これが欺術符、または騙し札と呼ばれる物である。
■一見して騙し付だとわからないように偽装されているのが大半――、しかし盗品を回収しようとする者や官憲では騙し札への追求は厳しく行われており、検出方法の発達と偽装方法の発達とでいたちごっことなっていると言う。
■しかしその一方で、欺術符の技術を応用して、精術機構を民生用の器具へと転用しようという動きも現れている。
例えば氷精系技術を応用して冷却装置を作り上げたり、食料保存装置を作り上げ軍隊の食料兵站の効率化を図るなどが、積極的に研究されている
■浴室のシャワーなどで用いられるボイラーも、かつては運用する人間が必ず必要だったのが、こうした技術応用により自動化が進み、大都市部ではボイラーの無人運転も進みつつあるという。
■変わったところでは、火精系技術を応用した水蒸気爆発エンジンが開発されており、これを組み込んだ河川運河船がこの2~3年で実用段階に到達している。このため運河船の速度が向上しており、大都市間ではかつては徒歩や馬車で一週間以上かかっていたのが運河船利用で2日ほどで移動可能となっているほどである。
■この欺術符を応用した、精術適応の汎用化の技術を【精術安定化回路】と呼んでおり、今なお研究が続けられている。
精術の行使には術者の適性が重要となるが、この精術安定化回路を用いることで、適正のない人にも精術装置の仕様が可能となる。
ただし、効率は概ね60%程度であり、技術向上により70%まで発揮可能な装置もある。
民生用においては60%でも支障は無いため、これが民間普及を後押しする結果となっている。