俺とAIと悪役令嬢と
ロボットの戦闘シーンはまだ出ません。
プロット無しの見切り発車なので、設定に齟齬が出ても気にしないでください。
目の前に、悪役令嬢がいた。
……誰だっけこいつ?
悪役令嬢、だとは思う。
この葵修二(※ペンネーム)、ゲームディレクターとして開発したゲームは16本。そのうち乙女ゲームは計5本。
乙女ゲーだけでも、趣味と実益を兼ねてプレイした本数は数知れずだ。そして俺の灰色の脳細胞が、こいつはその中のどれかに出てきた悪役令嬢の一人だと告げている。
うん駄目です。名前も登場したゲームタイトルも思い出せねーわこれ。
つーか判断材料が金髪ドリルだけってなると、似たような悪役令嬢が多過ぎる。最後に遊んだのなんて10年くらい前だぞ確か。
しかしこれでも乙女ゲー制作経験者だ。多少なりともプライドがある。なんとか思い出そうと頭に手を当てれば、目の前の悪役令嬢も鏡写しのように同じ動きをしていた。
……鏡写しっていうか鏡だこれ。
周りを見渡せば、馬鹿広い部屋だった。目の前の鏡はご立派な化粧台に備え付けられたものだ。部屋の中央には天蓋付きの寝台が鎮座しており、白いシーツが窓から差し込む夕日の色に染まっていた。
室内に自分以外の人は見当たらず、つまり、鏡に自分ではない別の誰かが映っていたという可能性もないだろう。
……あれ?
ということはもしかして、俺、悪役令嬢になってる?
これが世に聞く異世界転生というやつ? 俺死んだの?
いやいや、ちょっと待ってほしい。死んだ覚えは全くないんだが。
生前(?)、乙女ゲー以降も別ジャンルでゲームディレクターを続けていた俺は、確か「次はファンタジー物を作ろうぜ!」というざっくりした方向性だけが制作会議で決まって、会社の金で取材と言う名の社員旅行をしていたはずだ。
それで俺はヨーロッパの、適当な遺跡巡りツアーに参加して、コースを外れたところにあった遺跡が気になったんでちょっと寄り道したら変なロボットが目の前に現れて―――
《質問:当機を呼びましたか?》
そうそう、こんな感じで頭の中にダンディなバリトンボイスが聞こえて「契約しました」とか言われたんだよなって誰こいつッ!!!
《返答:当機はマスターと契約した機械仕掛けの神、機体番号X3-45、機体名称ドライコインです》
出たよ神様。俺が悪役令嬢になったのってこいつのせいじゃねーの?
異世界転生とか神様が出てきて「間違っちゃったごめーんねお詫びに異世界に転生させてやろう」がお約束だろ……。そこんとこどうなん? お前がやったんだろ!?
《否定:当機を始めとするX3モデルは人工知能による契約者の補助を主幹として設計されております。異世界、及び平行世界への移動能力は有していません》
えぇ~本当に~?
《返答:当機ではなく、当機が封印されていた遺跡に原因があります。当機と契約した際に、異なる世界へ魂を転移させる機構が仕込まれていたようです》
やっぱお前のせいじゃん!
《否定:当機はあの遺跡に封印されていただけであり、開封したのはマスターです。つまり当機が介入可能な要素はないため、責任はマスターにあるかと》
いやいや、封印されてたってことはなんか悪さして封印されてたんじゃね?
それで封印が解けた時には異世界に飛ばすって方法で対処しようとしたとか?
《否定:当機への封印は悪因悪果を由来とするものではありません。例えるならば『新品未開封』が該当します》
ところでお前どこいるの? あの4メートルくらいあったボディはどこ?
《返答:マスターの存在する位相と異なる位相の空間で待機しています。マスターの召喚承認がない限り、物質空間に出現することはありません》
でも頭の中に話しかけることは出来るのか……。
つーかデウスなんたらってなんなん?
《不具合報告:マスター権限レベル1。環境脅威レベル0。合計レベル1のため、その質問に返答することが出来ません》
……その権限とか脅威レベルってどうやったら上がるの?
《不具合報告:マスター権限レベル1。環境脅威レベル0。合計レベル1のため、その質問に返答することが出来ません》
ポ、ポンコツゥーーー!!!
契約者への補助とか全然できてねぇじゃねえか!!
《感想:質問が悪いです》
うるせえポンコツバーカバーカ!!!
……まぁ、いい。いや全然よくはないがまずは落ち着こう。頭の中の声は
《提案:当機のことはドライコインとお呼びください》
……頭の中の声は
《提案:当機のことは是非ともドライコインとお呼びください》
…………ドライコインは遺跡が原因で俺が異世界転生したと言っていた。
《訂正提案:死んではいないので『転生』と表現するのは不適切と思われます》
いーんだよ他にいい感じに伝わるワードが思いつかなかったから!
とにかく遺跡が原因でこんなことになってんだろ?
こっちの世界で同じような機能の遺跡、それかお前の仲間を見つけたら帰れるんじゃね?
《否定:この世界にトランク、当機のような機械仕掛けの神と契約可能な遺跡のことですが、トランクの存在は観測できません》
お前が見つけきれてないだけじゃねーの?
《否定:他モデルなら兎も角、X3モデルには存在世界のトランク座標、及び他の機械仕掛けの神の契約者の座標を全て把握する機能が搭載されています。この世界にトランクは存在しませんし、マスター以外の契約者も存在しません。これは確定情報です》
じゃあ俺はどうやって元の世界に帰ればいいんだよ。
《質問:帰りたいのですか?》
あったりまえだろおおお!!!
いいか、俺は悪役令嬢だ! 名前はまだ思い出せてないが多分きっと間違いなく悪役令嬢だ!
そして悪役令嬢がいるってことは、この世界は乙女ゲーの世界だということだ!
悪役令嬢に転生したことよりも、乙女ゲーの世界に転生したというのが問題なんだよ!
《質問:問題点が不明です》
いいかお前は乙女ゲーを知らないようだから教えてやる!
乙女ゲーってのはな、貴族社会で! 身分の低い若い女が主人公になって! 身分が最高に高い複数の若い男(婚約済み)を相手に恋愛シミュレーションをするゲームなんだよ!
これが問題なんだよ!!
《質問:婚約者のいる男と堂々と不倫する点で人道的問題のある、背徳感を楽しむ遊戯ということですか?》
ちっがーう!!!
つまりだ!
将来的に国の中枢を担うことが確定している連中の全員が! 恋愛にかまけて簡単に婚約者を捨てたり身分を捨てたりするような、正常な判断力を失う点にかけて最高レベルの素質を持ってるんだよ!!
《感想:恋の病とも言いますし、若さゆえに致し方ないのでは?》
恋の病にしても限度があるだろ! 人によっちゃ白昼堂々刃傷沙汰だぞ!?
これが一人二人ならまだいい! 他のまともな奴がカバーするからな!
だが全員だぞ全員! 国の将来真っ暗だぞ!!
貴族にとって結婚ってのは公務なんだよ! どいつもこいつも感情優先して公務を放棄してんじゃねぇーーー!!!
こんな国にいられるか! 俺は故郷へ帰らせてもらう!!
だから帰して! はやく! はやく! はやくぅー!!!
《納得:相当に偏見が入っているように見受けられますが、危惧案件は理解できました。そして結論から申し上げますと、当機から提案できる帰還手段は存在しません》
クソッしょうがねえな! この世界を楽しむかぁ!
《感想:順応が早過ぎる》
嘆いても事態は好転しないって、長年のゲームディレクターとしての経験で知ってるからね。
―――わたくしの話をお聞きなさってーーー!!!
頭ん中うるさっ! ボリューム! ボリューム下げて!
てか誰!? このポンコツに対話人格インターフェースがもう1個あったのか?
《否定:当機に搭載されている人工知能は一つだけです。状況から判断するに、この肉体の本来の持ち主ではないでしょうか》
―――ちょっと!? さっきから何なんですの貴方達! 急に頭の中で声がするし、身体の自由も利かなくなって! そもそもさっきから話しかけているのにわたくしだけ無視してるんじゃないですわよ!!
おいポンコツ。こいつの声って今までも聞こえてた?
《否定:先ほどまで聞こえなかったのは、魂が対話可能な状態まで同調するのに時間がかかっていた模様。それと当機のことはドライコインとお呼びください》
あー、周波数を合わせるみたいな感じか? まぁその辺の理屈はいいや。これで一つ問題が解決したし。
へい悪役令嬢、アンタのお名前を教えてください。さもなくば部屋を飛び出して適当な使用人を捕まえて自分の名前を確認するぞ。
《感想:その内容で脅迫になっているのでしょうか?》
気が触れたって噂が立つからなるんだなぁこれが。怖いね。貴族社会。
●
マリア。マリア・フォン・ゴルディナー。
ゴルディナー公爵家の一人娘で、リントヴルム王国第一王子リギア・リントヴルムの婚約者。
半年後には、国中の貴族が通う学園に入学する予定となっている15歳。
頭の中の声に教えてもらった、悪役令嬢のプロフィールだ。
名前さえ分かってしまえば(ついでに婚約者も判明すれば)、思い出すのは容易だった。
登場するゲームのタイトルは、『騎乗士の胸に抱きしめて』。発売したのは20年くらい前。
主人公である平民の少女が騎士の資質を見出され、特待生として貴族の学園に入学して3年間を過ごし、騎士を目指すというあらすじだ。
なんで騎士になるために貴族の学校に? 行かせるなら騎士学校とかじゃない? と思うかもしれないが、そこは乙女ゲーのシナリオの都合なので気にしてはいけない。
攻略対象は5人で、全員主人公と同学年として入学する。
リントヴルム王国第一王子、リギア・リントヴルム。
リギアの乳兄弟、グレイ・フォン・アトライア。
宰相の長男、ヴァイト・フォン・イーリッヒ。
騎士団長の長男、レオニス・フォン・ガーヒリテア。
国家宗教の司祭見習い、ニオス・マリウス。
隠し攻略対象はいない。
数回ある選択肢の度に5人の中から誰かを選び、共通ルートの終了時に一番友好度が高いキャラのルートに進む。
バッドエンドも無ければ友情エンド・ノーマルエンドも無い。シンプルな分岐システムだ。
ちなみにニオスだけ貴族ではないものの、ニオス以外は全員バッチリ婚約者がいる。うんうん、略奪愛だね。しょーがねーだろ乙女ゲーなんだから。
20年も前のゲームなのに割と覚えているが、なんてことはない。この『騎乗士の胸に抱きしめて』、実は記念すべき俺が作った乙女ゲーの1作目だ。
《感想:記念すべき作品のわりに全然思い出せていませんでしたね》
うるさいよポンコツ。まぁ言い訳させてほしい。
だって作ったの20年くらい前だぞ。続編を何作か出してたならまだしも、俺たちが作った乙女ゲーは5作とも単発だ。作品間の繋がりもないし、新しいゲームを作っていたら忘れてしまうのも仕方がないと思う。
ほら、中学生の頃に書いた黒歴史の厨二病ノートとか、オリキャラの名前とか能力とか設定とか、30くらいになるともう記憶が曖昧で思い出せなかったりするだろ?
つまり汝に罪無しでフィックスです。俺は悪くねえ!
無事思い出せて安心したせいか、ちょっと催してきたな……。ヘイ悪役令嬢、トイレ何処?
―――お手洗いですの? それなら部屋の奥にある扉に、ってちょっとお待ちになって!? 貴方がなさるんですの!?
そらそうよ。
―――ふざっけんじゃないですわよー!? 主導権! 主導権をお戻しあそばせ!
いや戻し方分かんないし。なんで意思疎通出来てるのかも分かんないし。
―――ちょっとそこのポンコツさんとやら!? どうにかできないんですの!?
《反論:当機の名前はドライコインです。肉体の操作権はマスターに定着していますので、結論から言えばどうすることも出来ません》
―――あ、待って。お待ちになって。待てっつてんだろゴラァ! せめて、せめて目をつぶってーーー!
●
……ふぅ。スッキリした。水洗なのはよかったけど、流石にウォシュレットまでは存在しないか。
―――うぅ……。殿下でもお医者様でもない男性に見られた……。もうお嫁にいけませんわ……。
15の小娘の裸なんかで今更興奮もしねーよ。
―――ですが先程話していた内容が本当なのだとしたら、わたくしが婚約破棄されないように、対価として身体を差し出すしかないのでは……!?
あー、言い難いんだけど、そもそもどのルートに進んでもリギアはマリアとの婚約を破棄するから嫁に行くこともないんだよね。
―――……は?
《質問:婚約破棄されるのは、ルートに入った対象の婚約者ではないのですか?》
そっちも専用ルートに入ってから破棄されるよ。ただ、第一王子ルートに進んでも進まなくても、マリアだけは確定で婚約破棄されるんだよね。ルート分岐とかキャラ選択とか関係なしに。
それでマリア本人は逆恨みして敵国に寝返るんだよね。その後は戦争になって戦場に出てきた主人公を殺そうとして、逆に攻略対象達に撃退されて殺されるっていう結末。
あ、王子でトドメを刺したらちょっとだけ追加会話があるよ。「最期は、せめて俺の手で……」って1文だけだけど。
―――…………。
《確信:ではその際、当機の本体を召喚して救助すればよろしいのですね。ご安心くださいマスター。X3モデルは機械仕掛けの神の中でも最弱なのですが、それでも生身の人間程度なら圧倒できる程度のスペックが》
あ、それ無理。この世界、戦闘用ロボットがあるし。
ほら、タイトルにもなってる『騎乗士』ってのが戦闘ロボットのことなのよ。こいつを操縦する連中を纏めて『騎士』って呼ぶの。
主人公は騎士の資質、つまり騎乗士の操縦に必要な資質があったから、って理由で入学するわけだしね。
《不具合報告:理解不能。
……演算中。
…………演算中。
………………演算中。
質問:乙女ゲームの話ですよね?》
乙女ゲーだね。
《質問:乙女ゲームとは、女性を主人公として、複数の男性の中から誰か一人を選んで、恋愛シミュレーションをする遊戯なのですよね?》
うんうんそうだね。ゲームによっては全員と結ばれるハーレムエンドとか、誰とも結ばれない友達エンドとか、あるいは婚約破棄された相手から刺殺されるバッドエンドとかあったりするけど。
《質問:恋愛シミュレーションのどこに戦闘ロボットが登場する要素が?》
いい質問だポンコツ君。《ドライコインです》乙ポイントを1点あげよう。
ちなみに乙ポイントとは俺のいた会社で使っていた「乙女ゲーの制作中に面白いアイディアや着眼点を発表したポイント」の略だ。ポイントが貯まると金一封が出たりするし、最終的に名前と制度だけが残って、乙女ゲー以外の制作でも使われるようになった。
あと質問にも答えよっか。当時な、『ガ』で始まって『ム』で終わる
《提案:危険なワードは当機の方で伏字を入れますので、誤魔化さなくて結構です》
あ、マジで? じゃあ言うけど当時ガ〇ダムで美少年5人が同じ中学校に通いながらガ〇ダムパイロットになるって話があって、まぁガ〇オタからは大顰蹙だったらしいんだけど、これが一方で世の女性たちに大受けしたのね。
もう凄かったよ。ゲームとか雑誌とか、どれもこれもそれまでの5倍とか10倍とかの売り上げになったらしい。
それで同時期にある会社がロボットが出てくる乙女ゲーを出したのね。そしたらその会社の乙女ゲー平均売上本数の10倍以上売れちゃったらしくて。世はまさに、ロボット&乙女ゲー時代。
乙女ゲーとかギャルゲーは元々『ADV』ってジャンルだったんだけど、『ロボット・アンド・乙女ゲー』の頭文字を取って『RAO』ってジャンルで独立して語られるまでに。
となるとまぁ、ゲーム開発者である俺らも影響を受けるわけよ。
《確信:特別な理由もなく、単に流行にあやかった訳ですね≫
ザッツライトその通り!
《質問:儲かりましたか?》
ボチボチどころかスゲー儲かった。1作目は無理だったけど、残りの4つは開発スタッフ全員で取材と言う名の社員旅行に行けたしな。それがまぁ習慣になっちゃって、その後は乙女ゲーとかジャンル関係なく、新作を作る度に取材のために社員旅行するようになったんだよなうちの会社。
《質問:そのせいで当機がマスターの危機を排除できる可能性が著しく低下しているのですが、それについて何か考えがありますか?》
婚約破棄されても寝返らなきゃ大丈夫だろ。
《提案:本人の暴走ではなく、家の事情で亡命、売国し、王子一行と敵対する可能性があるのでは?》
あー、うーん。その辺は設定でも詰めてなかったから分かんねえな。まぁとりあえず……。うん?
ノックの音。続いて扉越しに「マリア様、御夕食の準備が整いました」という声が聞こえた。
扉を開ければ、若いメイドが立っていた。名前が分からん。というか普段どういう態度をしていたのかも分からんし、ついでに言うとどこに行けば晩飯にありつけるかも分からん。
ヘイ悪役令嬢、なんとかしてくれ。
……。
…………。
………………あれ?
《報告:マリア・フォン・ゴルディナーの魂は依然として存在していますが、応答がありません。一連の話にショックを受けている模様です》
これからお前は婚約破棄されて売国奴になって元婚約者に殺されるって聞いたらそうもなるか……。
マリアは根っからの悪人って訳じゃなくて、シナリオの都合で悪役に仕立て上げられるだけのちょっとオホホ笑いが似合い過ぎるだけの御令嬢だしな。
「……お嬢様? どうかなさいましたか?」
《報告:怯えている様子もありませんし、マリア・フォン・ゴルディナーは普段から高圧的な態度では接していないと思われます》
じゃあ普通に話す感じでいいかな。
「いえ、なんでもないわ。お父様とお母様は同席するのかしら?」
「はい。本日はそのように承っております」
「そう。すぐに行くから、先に戻っていてちょうだい」
「かしこまりました」
メイドはお辞儀をして、その場を去っていった。
あー、なんとなく思い出してきたというか知らないはずの記憶が蘇って来た。そうだよな。記憶は脳に蓄積されるから、マリアの記憶だって思い出そうとすれば思い出せるよな。これならどうにかなりそうだ。
多分こっち、と微妙に不安になりつつも、無事にダイニングルームに到着すれば、テーブルには一組の男女が待っていた。記憶の通りならマリアの両親のはずだ。
ちょうどいい。さっきドライコインに伝えようとしていた『とりあえず』のために親父を頼ろう。
「お父様、お食事の前に、一つお願いしたいことがございますの」
「おお、マリア。今度は何が欲しいんだい? 新しいドレスかい? それともアクセサリー? いや、それともリギア殿下を呼んでお茶会をしたいのかな?」
駄々甘である。マリアには「父親に溺愛されている」と設定していたし、マリア本人の記憶の中でもその通りだったので、
「いいえ、お父様。わたくし―――」
すこし、荒唐無稽な頼みをしても行けるだろう。
「自分の『キャバリエ』が欲しいんですの」
つまり、日本円換算だと1機でも軽く数百億円はするであろう、専用機のおねだりである―――!
異世界転生の1話って大抵同じパターンなので、1話から『これまでのあらすじ』で
①ハイ俺死んだー!
②異世界転生してんじゃーん!
③チートもろたでー! or ドハマりしていたゲームに出てきた悪役令嬢に転生してるやんけ!?
ってかんじで3行でまとめるとかやっちゃ駄目なんかなって。誰かやって(他力本願)