03 思い出の矢
ロビンとの死闘、勝利するのはどっちだ!
どうする、2回分を無駄にした…このままじゃ。
ロビンは手を力強く振り下ろし地面に叩き付けた、すると地面に炎の渦が走った。
魔法!?――――――コイツは魔法を使えるのか!?…何とか交わしたが、これ以上は不味いぞ。でもコイツは何故、魔法が使えたのに関わらず魔法を最初から使わなかった?…何かきっと突破口がある筈だ、この絶望的な状況を打破する方法が……。
ロビンが再び手を上げて地面に振り下ろす。
咄嗟に地面を蹴り横に飛んだ時だった左足に冷たい激痛が、足から血は出てなかったものの左足は無くなり傷口は凍っていた。
「大人しく当たって入れば楽に終わったものの…人間とは実に愚かだな。」
クソッ…ここまでか……!?ちょと待てよ、確か冒険者ギルドで魔法を使えるゴーレムを見かけたとか聞いたような。
確かそのゴーレムは魔法を使う時に身体の一部が光るという話を聞いたんだ!
何故、今まで忘れてたんだ!?その光った場所が急所の宝石がある場所じゃないか!?だとしたら自ずと道は見えてくる。恐らく急所が有るのは硬化した左腕の中だ。
鬼龍廻し・スモークアロー!―――――――――相手の左腕にわざと当てさせて、煙に晴れた一瞬の隙を狙う。
「龍騎総滅・エルバリアクラッシュ!」
流星の如く放たれた矢は硬化した左腕を繋ぐ部分を撃ち砕く、左腕はロビンの胴体から離れ地面に落下する。
「無駄だ、我は何度でも再生する。貴様は逆に自分の首を締めているのだ。」
火山の真上に―――――――――――ロビンは崩れた落ちて二度と再生する事は無かった。何故なら硬化した左腕が胴体と繋がり元通りになる前に、転移用のクリスタルを投げ付け火山口の真上に移動させたのだった。
「…やったが、ここまでか。」
「ちょ…大丈夫ですか!?」
なんだこの少年、何で魔王の城に?
まさか城に捕まった村人の生き残りか、いやでも見た事無い服装だ。
「肩、捕まって下さい。」
「すまない、本当にありがとう。」
♢
魔王城で負傷していた冒険者を背負い、城を脱出できた。
死亡したもう1人の冒険者の転移用のクリスタルを使い王都まで助けた礼に連れて行ってもらえた。
「これからどうするんですか?」
「義足も作って貰えたし、仲間達と合流しようと思う。」
「では、お元気で。」
その冒険者さんと別れ、そのあと俺はレストランぽい所へ行ったのだが。
「金…無かった。冒険者さんに奢って貰うんだった。」
空腹で死にそうだ、このままじゃ餓死しちゃうよ。
「おや、どうかされましたかな?」
年老いた黒い服の男が話しかけて来た。
この人との出会いで俺は救われる事になる、そして恐ろしい事件に巻き込まれる事にもなるのだった。
魔王に扱き使われるのは、もっと先の話なのであった。