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三國のダマスカス  作者: 羽有ル蛇
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序章 ―北軍の進軍 6―

 野戦特火の行った火力支援は、指定した座標の地形を変えるには充分の効果だった…


 着弾地点は戦闘前は森林が鬱蒼と茂っている小高い山の中腹だったが、今は山の形は変わり…あれほどしげっていた木々は着弾の直撃と衝撃で薙ぎ倒され、打ち砕かれている…無論、そこに潜伏していた敵勢力の姿はない。


 あらかた…木々と同じ運命を辿ったか、撤退を余儀なくされたと言ったとこだろう。


 近代戦はサーチ&デストロイと言うが、それは市街地に限定した物だ…ブッシュ戦や山間部での戦闘は忍耐が物を言う…しびれをきらしたり、焦った者達から消えていく…戦争なんてそんな物だ。


 橋本は班員を集合させ、三班の状況を確認する…

バイク組の兼村士長は骨折、小橋三曹は開放骨折…バイクはもはや自走出来る状態ではない。

 ジープの方はアブソーバーがいかれただけで何とか走りそうだ…車両に乗車していた後藤三曹以下陸士は、打撲程度で行軍に問題ないだろう。


 橋本は無線で負傷兵の回収を小隊本部に頼むと、前進を再開した。


 橋本率いる三班はマップ上では谷川岳に差し掛かった辺り、当初の展開ポイントにすら到達出来ていない…がしかし、新潟から上陸している北軍は少なからず、既に群馬にさしかかろうとしている…


 本来なら車両を駆使して前進する所だが…北の進行状況が読めない以上は車両では的になるだけだ…橋本は意を決して班員に車両の投棄を告げ、車載していた無線の予備電池や弾倉を回収をする。


 徐に進行方向に広がる森林に目をやると、橋本は

班員に指示を出す。


「陣系は横列!各員距離を10m!前進!」


 誰も異を唱える者はいない…いや…橋本すら初めての戦闘行動で混乱気味なのだ…正常な頭の者などいやしないのだろう。


 生死を賭けた戦闘…考えただけでアドレナリンが分泌される…妙な高揚が班を包む…


橋本は一抹の不安を拭い去る様に足を踏み出した。

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