序章 ―北軍の進軍 4―
チヌークの前後のローターに火が入り、爆音が整列した隊員の耳をつんざく。
小隊装備のジープやバイク、対人レーダーはご丁寧にもチヌークに積載済みだ…隣には千葉一曹率いる一班が点呼を終え、乗車の指示を待っている。
先程とは打って変わり、個人装備で身を固めた小隊長が整列した小隊の前まで歩み出ると腹を決めたかの様に目付きが厳しくなった。
「1400をもって情報小隊は偵察の任に就く!
これより実弾を装填、戦闘に備える!
発砲は極力避ける様に!
各班はチヌークにて新潟市内へ前進、到着後班長の指揮にて散開…連絡は満に!
通信コードは小隊本部がブラボー、一班アルファ、二班ベータ、三班ガンマ…乗車!」
「乗車!!!」
爆音の中、皆中腰でチヌークの後部ハッチに駆け込んで行く。
機内にはすでに安全帯で固定されたジープとバイクが所狭しと積載されている…操縦士が乗車人数を確認し、何やら無線で指令部とやりとりを終えるとローターの爆音が更に大きくなる。
後部ハッチの隙間から見える営舎が気が付けば見えなくなっていた…そして、誰かしら言ったでもなく、皆思い思いにドウランで顔に迷彩パターンを描きだす。
今朝電話を寄越した後藤三曹も、顔にはみじんの余裕もない…程無くして機内アスピーカーから直に目的地に着く事が告げられ、二機のチヌークは山間部を縫うように飛行機する。
山間部を低空で行くのはレーダー対策の一貫で、正直乗り心地は最悪だ。
だが索敵に引っ掛かるよりはいい…このチヌークは人員・物資・車両の輸送が目的であり、薄いベニアの様な装甲は間違っても戦闘には向いてないからだ。
二機の分岐ポイントが近ずく…すると突然のアラート!何かしらのロックオンを知らせる警報が機内に鳴り響く!
下の森林から白い煙を吐きながら僚機に向かう発光点が見えた…
「RPG!!!」
誰かの叫び声が聞こえた、次の瞬間乗員二名と共に千葉一曹率いる一班の班員は塵となった…
操縦士に降下を促し、輪止めを外す、安全帯に手を掛け車両の展開準備をする。
急降下にガタガタと機体は悲鳴をあげる…ホバリングするチヌークの後部ハッチが開き、勢い良くジープとバイクが飛び出して行く。




