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三國のダマスカス  作者: 羽有ル蛇
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群雄割拠 ―江東―

 董卓が洛陽の放棄し、長安に逃れた後、劉備は再び平原の相となっていた。

この平原では、太平道の乱以降、久方ぶりの平穏を民は味わっていた。


 そんな中、都より官軍が臨時の徴用が平原にも訪れ、悪習そのままに賄賂献金を要求し、盗賊の如く振るまい去っていく。


「糞っ!あの野郎共…なんで兄ぃは、いつから…そんな意気地無しになっちまったんだ!


お…俺の惚れ込んだ兄ぃは…もっと毅然とした男だった…ううっ…」


「益徳わからないのか?

あの役人を害せば、我らはたちまち賊になってしまう…以前の様に我等、三人だけの時とは違うのだ。


平原を預かる以上、領民もいる…もう昔の様にはいかないのだ…」


「それじや…兄ぃは領民の為に…


それで、あんな野郎に頭を下げてまで…すまねぇ!俺は頭が兄者の様によくないから…やっぱり劉備の兄ぃは、俺の惚れ込んだ男だ!」


「張飛…私も不甲斐ないのだ。

私にもっと良い知恵があったら…


諸公が連合を組んでも、打倒出来なかった董卓だ…今ではは誰も逆らえない権力を持ってしまった。


力で敵わなくても、なんとか良い知恵はないものだろうか…」


「兄者…私に心当たりがあります…豫州潁川郡には知恵者は多く、かの地なら必ずや、兄者の助けとなる者が見付かるでしょう。」


 関羽は旅支度を整えると…豫州潁川郡に向かいひたすら馬を走らせた。

潁川に着いた関羽が目にしたのは、打ち破られ開かれたままの城門だった。董卓の徴用と言う名のもとに、潁川では略奪が行われた後だった。


 関羽は息のある者を介抱し、諸々の事情を聞きいて程近い所に、居を構えるに戯志才なる人物を訪ねた。

 戯志才は、会ってもいない人物に、仕えるを良しとしないとの事で、劉備の元に案内する。途中、戯志才とも面識のあると言う郭嘉と会い、見識を広めたいとの要望で平原まで同行する。


「兄者…豫州は潁川郡より戯志才殿と郭嘉殿と言う人物を連れて参りました!」


「初めてお目にかかる…私は姓は戯、名を志才と申す。この度、関羽殿より劉備様が知恵ある者を求めていると伺い参りました。」


「同じく…潁川郡より参りました。姓は郭、名を嘉と申します。単当直に伺う…劉備様は、私共に何を御求めか?」


「うむ…私の周りには関羽や張飛の様な剛の者はいるが、政や策に秀でた者が居らず…優れた者を求めていたのだ。

戯志才殿と郭嘉殿の御二人が、求めに応じて頂けるなら…軍師として教えを乞いたい。」


「なるほど…聞きしに勝る高潔さ、この戯志才…劉備様にお仕え致しましょう…郭嘉殿は如何する?」


「端より異論ありません…この郭嘉、誠心誠意お仕え致す。」


「うむ…ならば知恵を貸してくれまいか?」


「ふむ…劉備様は、いったいどの様な知恵をお望みか?」


「お主達も知っての通り、今、天は乱れ、献帝は董卓により虐げられている…巷には董卓の暴虐と淫蕩を知らぬ者はおらぬ…」


「なるほど…劉備様は天を憂いていらっしゃるか…」


「よろしい!では、この戯志才と郭嘉の両名が、策を講じましょう!」


「戯志才殿、先ずは宮中に間者を配し、董卓に反する勢力に接触し…司徒の王允殿ならきっと力になってくれましょう。」


「ふむ…それは良い。

協力してくれる同志は、多いに越したことがありませんからな。」


「戯志才と郭嘉…青州は仙姑頂の慶橋殿は、宮中にも出入りし、顔も広い…是非協力を願おうかと思うがどうか?」


「なんと劉備様は、慶橋殿と面識がおありになるか?!

であれば…王允殿への連絡には、これ以上の方はおりますまい。」







 南陽の太守 袁術は、生来嫉妬深く狡猾であり、名門である事を鼻に掛けた嫌味な男である。奢侈な生活を好み、過酷な徴税を行った為、領政は困窮しており、近隣の諸公に金や馬等の無心を度々、行っていた。


 袁術は荊州太守 劉表に兵糧の借用を要求するが、無下もなく断られると、それを理由に逆怨みし、策謀して孫堅に密書を送る。


 袁術は、洛陽を出た孫堅の軍勢を突然劉表軍勢が襲ったのは、兄袁紹の謀であるとし、荊州共闘を呼び掛ける。


「孫堅様…袁術は狡猾な男、信用になりませぬ!」


「私も同感に御座います…汜水関攻めの際、袁術によって兵糧を断たれた事を忘れてはなりません!」


「ならば…お前達も覚えておろう?


洛陽からの帰路、あらぬ疑いを掛け、劉表は我等を襲ったのだ!お陰で我等は多くの兵を失った…劉表め!

必ずや恨みを晴らしてくれる!」


「ならばこそ、袁術の計略に乗った振りをし、劉表を討った後、返す刀で袁術を討っては如何でしょう?

我軍の水軍の練度は高く、劉表など瞬く間に討ち滅ぼせましょう!」


 孫堅は袁術に誘いに乗じ、劉表の領地である荊州の襄陽城を攻めるべく挙兵する。

孫家の誇る水軍を用い、襄陽城陥落まで後一歩のところで、劉表軍の守将 黄祖と副将 呂公により、孫堅は射殺されてしまう。


 孫堅の屍は劉表の手に落ちてしまうが、配下の桓階が、危険を知りながら劉表に対し捕虜と孫堅の遺体の交換を請う。

劉表は桓階の行為を義と判断し、申し入れを受諾し、長子孫策は父の遺体と共にに江東に引き上げ、孫家再興を誓うのだった。


 袁術は、これを受け、自らの計略を水泡とかした孫堅を、罵詈雑言をもってなじる。又、各地の諸公は酒会を催し、その死を祝った。




 書き貯めた物を出し切りましたので、事後は更新ペースが落ちます…ご了承下さい。

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